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自分の子どもがサッカー選手なら、「少しでもうまくなってほしい」「試合に出て活躍してほしい」と願うもの。前回は、そのために「親として何かできることはないか...」とはやる気持ちを抑えて、まずは「しつもん」によって子どもの『なりたい自分』を知ることが大切であるとお伝えしました。今回は引き続き、子どもたちとのしつもんコミュニケーションを促す「考えてうまくなる しつもんサッカーカレンダー」をご覧いただきながら、子どもたちが『なりたい自分』に近づくために必要な"行動"を、どのようにして導けばいいのかについて考えてみましょう。(文・写真/サカイク編集部)
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■『なりたい自分』から『毎日の行動』に落とし込むしつもん
「子どもの『なりたい自分』を聞いてはみたけど、なんだか突拍子もなくて...」
「しつもんサッカーカレンダー」が最初になげかけるしつもん、「今月が終わったときにどうなっていたら最高?」を実際にやってみると、最初のうちはそんな思いを抱くことでしょう。あるいは、「なんだか漠然としてて...」という印象かもしれません。でも、そこでまずお父さんお母さんにしてほしいことは、子どもの出した答えに共感し、子どもなりに答えを出せたことを認めてあげることです。「しつもんサッカーカレンダー」の監修者である藤代圭一さんは、しつもんの答えに共感したり認めたりすることが、子どもの自信ややる気を引き出し、なりたい自分に近づくための行動へとつながると説きます。
「僕が講演のお仕事を2時間やると、しつもんに答えたり書いたりしてもらう時間が長いので、実際に話しているのは30~40分ぐらい。そうすると悲しいことに、子どもたちは僕の話をほとんど覚えていないんです。代わりに何を覚えているかというと、『自分が話したこと』。要するに、人間はインプットよりもアウトプットしたことを覚えていて、他人から言われた(インプットされた)ことは意に介しません。みなさんご存知の通り、『宿題やりなさい!』って言っても、子どもは絶対やりませんよね(笑)。でも、例えばテレビでスペインのサッカーを観て、『いつかスペインでプレーしたい』と自分から言うようになったら、『スペインで暮らすにはスペイン語が必要だ』『そのためにスペイン語を覚えよう』と考えて、勝手に勉強をし始めます。そこで親が共感し、認めてあげることによって、子どもはますます自信とやる気を感じ、それが次の行動を促す内発的な動機になるのです」
ただそうは言っても、自信とやる気だけで子どもが『なりたい自分』になれるとは思えません。もう少し現実的な例として、あなたのお子さんが「今月が終わったときに、クラブのAチームでプレーしていたら最高!」と答えたとしましょう。その答えにまずは最大限の共感を示しつつも、親目線で次に思い浮かぶのは、「じゃあAチームでプレーするためにどうするの?」というしつもん――。決して悪くないのですが、そう尋ねるとたいがいの子どもは、「頑張る!」と無邪気に答えます。もちろんその意気込みややる気は素晴らしいと思うものの、実際に1ヶ月たったときに結果を聞いてみても、本当に頑張ったかどうかは本人しかわかりません。親から見たら「全然頑張ってるようには見えなかった...」と感じるかもしれない...。そこで大切なのが、しつもんによって行動を具体的にすることです。この点について、藤代さんは次のように説明します。
「具体的にするとはつまり、できたかどうかやったかどうか、子どもも親もわかるようにすることです。先ほどの例えで言えば、『頑張る!』というのは『どんなことを頑張るの?』『どのぐらい頑張るの?』と聞いてみる。そうすると、『持久力をつけるために毎日マラソンを30分頑張る』というふうに具体的になります。さらに『いつ頑張ろうか?』と聞けば、『朝がいいかな』『夕食前がいいかな』と考えが深まるでしょう。そうやってしつもんすることで、子どもたちから具体的な行動目標となって出てくるわけです」
■「具体的にすること」ともうひとつ、行動できる目標の秘訣
「しつもんサッカーカレンダー」では、「今月が終わったときにどうなっていたら最高?」に続けて、「そのために毎日できることは何だろう?」と問いかけ、最大で3つの行動目標を書き込めるようにつくられています。
ここで藤代さんが、子どもたちと毎日の行動目標を考えるときの重要なポイントを教えてくれました。
「それは目標を小さく設定することです。できるだけ小さくすること。みなさんも心当たりがあると思いますが、子どもたちは一度やる気に火がつくと、その瞬間は『1時間頑張る!』なんて大きなことを言いがちです。でも次の日になってみると、目に見えてやる気が下降していたりする。そうすると最初に思ったほど練習ができなくて、『1時間マラソン走るって決めたのに全然できなかった...』と落ち込むはめになります。だから大切なのは、小さく小さく小さく小さく小さく......これでもかというくらい(笑)小さくすることなんです」
みなさんも、ご自身のことだと思って想像してみてください。毎日マラソンをしようと思い立ったとすると、多くの方はまず「5キロくらい走ろうかな?」と簡単に考えるでしょう。でも、「それではまだ全然小さくないですね」と藤代さんは言います。
「たぶん5キロというのは、まったく走る習慣がなかった人にはちょっと難しい距離です。ではどれくらい小さくするかと言えば、毎朝トレーニングウェアに着替えるところから始めるので十分。それができたら一歩前進と考える。するとどうですか、ランニング用のシューズを履きたくなりますよね?それでまた一歩前進としましょう。ランニングシューズを履くと......外に出たくなりますよね?『外に出てとりあえず歩いてみるか』となるわけです。そこまで行けば人は自然と走り出しますから、あとは少しずつ距離を伸ばしていけばいい。最初からマラソン5キロと考えると苦しいですが、やることをできるだけ小さくして、少しずつ積み重ねることでゴールに近づいていく。そんなふうに考えながら、子どもたちにも『毎日できることは何だろう?』と問いかけてみてください」
最初のしつもんと同じように、まずは子どもの出した答えを受け止めつつ、抽象的な答えには「いつやろうか?」「どこでやろうか?」としつもんを重ねましょう。そうやって具体的に掘り下げることで、子どもたちは自分のやるべきことがはっきりし、毎日の習慣的な行動ヘとつながりやすくなるのです。次回は、子どもの『なりたい自分』に近づく行動を習慣化するために、「しつもんサッカーカレンダー」が大切に考えていることや、そこで効果的と思われる親御さんの関わり方についてお話ししたいと思います。
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