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世界を見てきたコーチが語る。いま求められる守備の指導法
「日本の多くの選手は守備の仕方を知らない」世界中で指導してきたコーチが気づいたこと。
公開:2017年11月16日 更新:2020年3月24日
■2014年ワールドカップでの日本の敗因
2014年のブラジルワールドカップ。日本代表はコートジボワール、ギリシャ、コロンビアと対戦し、1分け2敗。3試合で失点6と守備が崩壊し、1勝もできずに大会を去ることになりました。
私はコートジボワール戦を分析しましたが、「日本の選手が守備の個人戦術を身につけていれば、防ぐことのできたピンチ」がいくつもあると感じました。
ひとつは、中盤での守備のコンセプトです。
日本のボランチの選手は、ボール保持者に意識が向きすぎるあまり、自分の背後のスペースを空けてしまう場面が何度も見られました。これは、遅くとも18歳までに身につけておきたい「守備時の認知」と「第二ラインでの守備~FWへのパスコースを閉じる」というコンセプトです。これを知らない、あるいは知っていたとしても実行できていなかったがゆえに、招いてしまったピンチであると考えています。
これは氷山の一角に過ぎず、日本代表の選手であっても、守備の個人戦術を十分に理解していないことが見受けられます。私の考えでは、これらをプロになってから知るのでは遅すぎます。
育成年代である13歳から18歳までの間に、年齢に応じて段階的に身につけていくことで、試合中に考えなくても体が動く、つまりオートマティックなプレーができるようになるのです。
■日本の選手に必要な「守備の個人戦術の理解」
私がJFAアカデミー福島U-13の監督をしていたとき、Jクラブのアカデミーと試合をする機会が何度かあったのですが、すべてに勝利しました。そのときに、何をしたのか。勘の良いあなたならおわかりだと思いますが、「守備のやり方(ディフェンス)を教えた」のです。
監督就任後、最初の2ヶ月は選手個人に守備のコンセプトを教え、その後、グループ、チームと守備の戦術を積み上げていきました。攻撃のトレーニングに着手したのは、守備のコンセプトを教えたあとです。
現代サッカーは、攻撃は攻撃の時間、守備は守備の時間と分断されてはいません。勤勉な指導者の方はご存知だと思いますが、攻撃と守備は表裏一体であり、強いチームは守から攻、攻から守への切り替えが速いです。
日本の選手はスピードがあり、テクニックがあります。15歳までは、スペインやドイツの同年代の選手と比べて、レベル的に同等にあると言っていいでしょう。では、なぜ16歳以降、大きな差が出てしまうのでしょうか。それは、サッカーに対する理解力の差にほかなりません。
そして、その要因のひとつに「守備の個人戦術の理解」があります。
これは私の印象ですが、日本の多くの選手は守備のコンセプトを知らない、あるいは、教えられていないと考えられます。言い換えれば、守備のコンセプト、方法を身につけることができれば、選手としてレベルアップするのは当然のこと、チームとしても向上することができるのです。
この連載では、13歳から18歳までに身につけておきたい守備のコンセプトについて、我々サッカーサービスの考えをお伝えしたいと思っています。
日本サッカーのレベルアップのため、そして何よりあなたが指導する選手の役に立つことができたら、これほど嬉しいことはありません。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
続きは、次回の更新でお伝えします。
グラシアス、アデウ!
(注:カタルーニャ語でありがとう、さようならの意味)
フランセスク・ルビオ/Francesc Rubio Sedano
サッカーサービス社の分析、コンサルティング部門責任者として、選手やクラブ育成コンサルティング業務を担当。C.Fカン・ビダレットの下部組織(U-18)の監督、コーディネーターと、カタルーニャサッカー協会技術委員を兼任。2014年までJFAアカデミー福島U13の監督も務めた。
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