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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

トレセンに選ばれるため女子チームに所属するか迷う問題

公開:2017年8月23日

キーワード:スピードトレセン体力出場機会女子チーム移籍

トレセンよりも子どもの気持ちを最優先に

ただし移籍先では、親子ともに傲慢な態度は気をつけましょう。
 
「私は男子とやっていたから、あなた達とは違う」とか「うちの子は、ずっと男子とやっていたので」といった発言をしてしまうと、チームになじめなくなります。
 
それでなくても「小学校高学年の女子」という集団は、学校のベテラン教師でもまとめるのに苦労する年代です。「前思春期」と呼ばれ思春期の前段階にあたるため、感覚が非常に繊細で精神的に不安定気味ですが、その一方で結束が強まる傾向があります。
 
よって、指導者のなかには「男子チームからうちに入るなら、4年生くらいで来てほしい」と話すコーチもいます。なぜなら移ってくる選手の技術がもし高ければ、その子の代りに先発メンバーから外れる選手が出てくるわけで、そのケアが非常に難しいからです。
 
男子チームの指導者は女子の特徴があまりわかりませんし、そもそも「試合に出る出ないは実力次第」と考えている方が多いため、なるべく全員出場させるという概念が薄いようですが、女子の指導者はその逆。全員のモチベーションをいかに継続させるか、チームワークを保つかを非常に気にされる方が多いです。
 
無論、女子チームに殴ったり怒鳴ったりする指導者は今でも存在しますし、男子チームでも「女子をしっかり育てよう」ときちんと考えていらっしゃるコーチもいます。指導方法やチームの雰囲気をよくみて、親子で検討されると良いでしょう。
 
なでしこがW杯で優勝し、選手らがよくテレビに出演していたころのこと。「小学生では男子とやるほうがうまくなりますよ」とほかの選手が話したら、川澄奈穂美選手がすっと前に出てきて「私はずっと女子チームです。女子チームでもうまくなります!」と主張しました。
道のりはそれぞれです。
 
ご相談者様も、トレセン云々よりも娘さんの「楽しくサッカーしたい」「サッカーをずっと続けたい」という気持ちを第一に考えてあげてください。
 
 
 
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島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は、ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)。

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文:島沢優子

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