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JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問
サッカー少年に補欠ゼロのリーグ戦を!上鷺宮SCがはじめた"あすなろリーグ"とは
公開:2016年7月25日 更新:2016年7月26日
日本サッカー協会のグラスルーツ推進部松田薫二部長があなたの街のサッカーチームを訪問し、少年サッカーの課題解決に努めていく当連載。今回は、松田部長がついに街クラブのグラウンドへ! 松田部長が訪れたのは、JFAの『みんなPlay』の賛同パートナーに応募してくれた東京都中野区の『上鷺宮少年サッカークラブ』。
うまいか下手かは関係なく、レベルに応じて必ず試合を楽しめるようにしたい!“補欠ゼロ”を掲げる『みんなPlay』を独自に実践しているサッカーチームでした。(取材・文 大塚一樹)
■一人ひとり、それぞれがサッカーで成長してほしい
「うまいとか下手とかよくわからないんですよね。下手ってどういうこと? って思います」
上鷺宮少年サッカークラブの監督を務める西村英次郎さんは、グラウンドで練習に励む子どもたちを見ながら、誰に言うでもなくこんなことをつぶやきます。
「技術的なことを言うなら、この時期は下手っていうのはあります。でも、だから練習するんだし、みんな変わっていくんですよ」
西村さんの言葉に、松田さんもうなずきます。
「そうですよね、こうやって楽しそうにプレーしている子どもたちを見ていると、うまいからとか、下手だからとかじゃなくて、サッカーを楽しくやって欲しい、続けて欲しいという気持ちが強くなります」
中野区立上鷺宮小学校と武蔵台小学校を主な活動場所にする上鷺宮少年サッカークラブ、通称KFCは今年で創立36年目、親子3代で所属するメンバーもいるという歴史あるクラブ。現在も代表を務める吉田豊さんが、サッカーを練習する場所がなく公園でプレーしていた地域の子どもたちのために立ち上げたクラブだそうです。KFCのOBには、Fリーガーで日本代表選出歴のある清水和也選手、女子U-17ワールドカップ代表候補になった安部藍里選手などのサッカー選手もいるが、他競技、他分野で活躍している先輩も数多くいます。
「サッカー選手になるのが目標ではなく、KFCでサッカーをしたことでそれぞれが何かを得て欲しい。だから、サッカー選手じゃなくても、がんばっている先輩は二重丸なんです」
西村さんは、「サッカーを通じて一人ひとりが成長すること」こそが、地域にKFCがある意味、存在理由だと言います。そのために欠かせないのが、サッカーでいろいろなことを経験すること。
「特に試合に出るって大事なんですよ。練習も大切ですが、試合に出ることで選手が大きく変わるのを何度も見てきました」
今回の訪問のきっかけは、KFCが中心になって今年の4月から始めた、普段なかなか試合に出られない選手同士で行うリーグ戦、『あすなろリーグ』でした。西村さんは「みんな試合に出られたらもっとサッカーが楽しくなる、もっといろんな経験ができる」と、近隣の10クラブに声をかけてリーグ開催にこぎ着けたそうです。
■みんなが感じていたもどかしさを形に『あすなろリーグ』誕生
松田「あすなろリーグというのはどういう経緯で始めることになったんですか?」
西村「少年サッカーのリーグ戦化、いろいろなルール改正があって、現場としてもバタバタしていました。そんな中、昨年末だったかなぁ、地域の若手の指導者と意見交換する機会がありました。みんないろいろな思いを抱えていて、それを形にできないもどかしさも感じられたんです。そこで、『みんながプレーできるリーグ戦やるぞ。だから協力してくれ』となったわけです」
松田「いいですねぇ。あすなろリーグは通常のリーグ戦の他にやっている試合なんですね?」
西村「いわゆる“Bチーム”中心の試合です。この“Bチーム”という言い方にいろいろ思うところがある人もいると思うんですけど、大会に出られるチームには限りがあります。チームを二つに分けることで、試合に出られる。しかもレベルに合わせてプレーできるんですから、選手は楽しいですよ」
松田「選手のためのリーグ戦というわけですね」
西村「AとBで差別するなという声もありました。でも、分けることで試合に出られるならいいじゃない。これは区別ですよと説明していったんです」
コンセプトを説明し、なんとか形が見えてきたすべての選手が試合に出場するための『あすなろリーグ』誕生には、まだまだハードルが待ち構えていました。
西村「公式戦と並行して開催することになると、会場や引率の問題が出てきます。参加してくれるクラブからも『ぜひ参加したいが、連れて行く指導者がいない』『会場やスケジュールの調整が難しい』と言われました。指導者はたしかに足りない。でも、安全面さえ気をつければ保護者の方に引率だけお願いすればいいじゃない、子どもたちが来てプレーできれば面倒見るよと説得して回りました」
松田「公式戦にはルールがありますが、安全面にさえ配慮してもらえればそういう形もあっていい。子どもたちにとっては試合ができることの方が大きいですよね」
西村「そこは自主リーグですから柔軟にやれればと思っています。6年生が公式戦でも他の学年は、練習しているわけですよね? だったらそこでいろいろな学年で試合すればいいし、お互いに会場を融通し合いながらやればいい」
松田「協会も努力していきますが、こういう工夫は地域で現場を見ている人にしかできませんよね。あすなろリーグみたいな自由な発想でやってもらえると心強いです」
西村「“うまいから”“下手だから”“子どもにサッカーを教える”って言いますけど、大人ができることなんてたかがしれています。私は、『環境作りと責任を負うこと』。これが大人のできる最大のことだと思っています。それしかないんじゃないですかね」
この記事のつづきは7月28日(木)配信予定>>
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取材・文 大塚一樹
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