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「自分が確実にできること」=OKラインをクリアしていけば、「できた感」を味わいながらプレーすることできる。そうすれば、プレッシャーのかかる場面でも実力を発揮することができるーー。
これが、前回のこの連載でメンタル・トレーナーの森川陽太郎さんに教えていただいた「本番で力を発揮するコツ」でしたね。
そして、実はこのOKラインは、「レギュラーメンバーになりたい!」「区大会で優勝したい!」、さらには「将来はサッカー選手になりたい!」といった、子どもたちのさまざまな目標の達成を強力にサポートしてくれる強い味方でもあるのです。
「目先の目標であっても、遠い先にある夢であっても、それを達成するために必要なのは「できる!」という自信」だと森川さんは言います。
そこで、今回は、OKラインを活用した上手な自信の育て方についてお話を伺います。(文:熊本りか)
■同じ事実でも自信を得られる場合と得られない場合がある
ここに、5キロマラソンの最高タイムが30分という子がいるとします。そして、その子が属しているチーム全員に5キロを25分で走る、という目標が与えられたとしましょう。30分が最高記録の子にとって、それは決して簡単なことではないはずです。
かなり頑張って28分で走っても、目標に届きません。次の日、もっと頑張って走って27分になったとしても、やっぱり目標はクリアできない。凹んだ気持ちのまま翌日走ったら、またしても27分。こうなると「できない」という自己否定の気持ちばかりが積み重なり、「やっぱり自分には無理だ」「目標なんて叶うはずがない」などと考え、目標達成をあきらめてしまう可能性が高くなります。一度あきらめてしまえば、目標が達成されることはまずないと言ってもよいでしょう。
身の丈を超えたOKラインを設定してはいけないのです。
一方、自分の実力を踏まえ、まず、29分というOKラインを自分に設定した場合はどうでしょうか?もし28分で走ることができれば、29分というOKラインを1分も上回っていますから、「よし、できた!」という達成感を強く感じられます。「28分で走った」という事実は同じなのに、です。目標までにはまだ3分もありますが、少なくとも自分にOKを出すことはできます。
さらに、「今日は28分で走れたし、最後の1キロをもうちょっと頑張ればもっと縮められるかもしれない。だから、明日のOKラインは27分にしてみよう」という次への意欲も湧いてくるでしょう。そうやって、次は27分、次は26分と少しずつOKラインを上げていけば、結果として、思ったより早くに25分という目標が達成されることも十分あり得ます。
両者の違いはなんでしょうか?
それは、目標に対して「自信」というエンジンを持っているか、そうでないかの違いです。そして、この「自信」というエンジンをもたらしてくれるのが、OKラインなのです。
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文:熊本りか
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