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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
勝つために上手い子を優先してしまう。上手くない子を上達させるにはどうしたらいい? [池上正コーチングゼミ]
公開:2017年4月20日 更新:2017年4月27日
■スポーツの指導者として子どもの人権への意識をもって
もうひとつ、トレセンについてアドバイスがあります。
「地域のトレセン活動が始まり、上手い子は更に上手く、選抜に入って無い子は、伸び悩む」と書かれています。トレセンに行った子がさらにうまくなるのはいいことです。通常、日本はトレセンに行くと子どもはうまくなりません。テングになってしまい、伸びしろを失う子どものほうが多いのです。
実はドイツなど欧州にも、ジュニアからトレセンがあります。ただし、基本的にトレーニングだけです。ほとんどの場合、試合はしません。そして、トレセンで指導するコーチたちが、それぞれの町クラブから集まってきた子たちにとても良いアドバイスをしてくれます。
「君はもう少しこういうところが上手くなったら、もっといい選手になるよ」
「君はこんなプレーができるともっと良くなるよ。それにはこんな練習をするといいよ」
つまり、子どもたちの心に火をつけてくれるのです。すると、子どもたちは教えてもらったプレーや練習を所属のクラブに持ち帰って、チームメイトに教えます。そうすることで、町クラブの底上げにもなります。それが、トレセンの担う役割なのです。
ところが、日本のトレセンは、A県内の各ブロックでトレセンの交流試合をします。A市選抜とB市選抜が戦うわけです。トレセンの交流試合でさえ、いまだに感情的に怒鳴ったり、指示命令したりする場面が見られます。
そのうえ、夏にはFFPという全国から都道府県トレセンを集めた合宿があります。クワトロなどをしますが、それもそれぞれ所属する都道府県としてあとで集計し、どこが一番強いかを見たりします。
さて、どうしたものでしょう。トレセンが選手を評価するものだけになっていないでしょうか。
このトレセンの取り組みだけでも、欧州とこんなにも差があります。この差は大人になると本当に大きなものになります。
もし、本当にトレセンに行っている子が上手くなっているのなら、やっている練習やアドバイスをほかの子どもたちにも伝えてもらってください。そして、スポーツの指導者として子どもの人権への意識をもってください。
同じ練習をし、同じように頑張っている。それならば、みんな平等に試合に出るのは当然なのです。
池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだすオトナのおきて10』をはじめ、近著の『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(ともに監修/カンゼン)など多くの著書がある。
文:島沢優子
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