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- 伸ばしたいなら離れなさい 「考えさせる大人」になるための魔法
サカイクで「あなたが変われば子どもは伸びる!池上正コーチングゼミ」を好評連載中の池上正さん(前京都サンガ育成部長)の名著、『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の第二弾となる『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』(ともに小学館)が刊行されました。
子どもを伸ばすために離れる、とはどういうことでしょうか。新著の中からその要素を少しだけご紹介いたします。(構成・文:島沢優子)
■自分で考えて動ける子どもにするための理論は十分か
日本のサッカー少年は不思議です。
ゴールを決めた本人も、周りの子もあまり喜ばない。勝っていても、負けていても、あまり関係なさそうに試合をしています。自分たちの試合なのに「コーチ、今、何対何?」と聞いてくる子は少なくありません。点差が離れるとなおのこと、何点入れたか、何点入れられたかをどちらも数えなくなります。
「ドイツの子は、ミニゲームで20点奪っても数え続けるよ」そう話してくれたのは、Jリーグの京都パープルサンガや浦和レッドダイヤモンズで監督を務めたドイツ出身のゲルト・エンゲルス。育成に詳しく、日本で子どものサッカーもよく見ていた彼も、この様子に違和感を持ったようです。
「負けてるんだぞ! 悔しくないのか!」勝敗にこだわって、必死になっているのは大人だけです。
子どもたちはと言えば、小学校高学年になっても、大人から「試合始めるぞ! 早くしろ~」と言われてようやく集まります。「もっとちゃんと並んで!」と肩をつかまれて、列に連れて行かれるのもしょっちゅうです。日本の子どもたちは、常に大人に世話を焼かれています。だから余計に、自分で考えて動けません。
サッカーにかかわるみなさんは、もうとっくにわかっています。広いフィールドで行われるサッカーは、ベンチにいる大人たちが選手をコントロールできない。だから、自分で考えて動ける子どもにしなくてはいけないのだと。
では、そのためにはどうすればいいのか。そこのところの理論の構築が十分ではないようです。
■指導の姿勢についてもっと共通した認識を
少年サッカーはもちろん、子どもの育ちや大人のありように疑問を感じた私は、2007年に『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』という本を書きました。少年スポーツはどの競技も練習法の解説書はたくさんありますが、接し方を指南したものがなかったからです。
子どもとどう接するか。英語でアティチュード(態度)といわれる「指導する姿勢」や「指導スタイル」について、日本はあまり研究されてきませんでした。部活動での体罰や、少年スポーツでの暴力や暴言がこれだけ問題になっている日本は、ここをもっと議論して共通した認識をもつべきだと私は思います。
なぜなら、ドイツをはじめ欧州や南米などサッカーの先進国では、指導者ライセンスを取得するためには、そのような指導スタイルを学ばなくてはいけません。スポーツ心理学のなかで、それを習得します。
思えば10年前。サッカーを通じてもっと子どもを伸ばしてほしいと考えたとき、それには大人が変わらなくてはならないと思いました。
例えば、子どもを否定せずに「肯定する」。怒鳴らず「楽しませる」。指示命令をやめて「気づかせる」。過度に干渉せず「自立させる」――。そのような大人のためのメソッドを『サッカーで子どもを伸ばす11の魔法』という書籍で伝えました。
すると、みなさんから「あの本を読んで変われました」などと支持していただき、「少年サッカーを変えた本」と言われたりしました。
構成・文:島沢優子
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