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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

スペースを使う意識を高めたい。ボールがないときの動きを身につける練習はある?

公開:2017年9月29日 更新:2017年10月 2日

キーワード:お父さんコーチサッカーの構造スペース基礎

ドイツのコーチはパスの高さまで指示、その理由は…

スローワーがボールをバウンドさせて投げたら、コーチがこう言います。
「スローインする人は、ワンバウンドはダメです」
 
なぜなら、ワンバウンドのボールはコントロールしづらいからです。
 
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「味方がインサイドボレーでリターンできるように投げなさい」とも告げていました。
 
そのようなコーチングをみていると、彼らはこういった練習を「止める・蹴る・運ぶ」という技術練習のひとつとして考えているのだとわかります。
 
日本では、このようなパターン練習を「戦術練習」ととらえています。よって、細かなパスの高さなどにコーチはあまり留意しません。
 
また、ペナルティーエリアから3メートルほど前に人形が3体5メートル幅で立ててあり、2人でパスをしてその間を抜け出してシュートという練習を見たことがあります。これも2人でどのようなタイミングでパスを出すか?どのように走り込むかなど、最初はコーチの言うことをやるのですが、コーチはすぐに「自分たちで自由に」と告げます。ここからは本当に色々な方法が見られました。
 
案内してくださった現地の関係者によると、ドイツでは小学生、中高生の年代でも、このようなディフェンスをつけないパターン練習をたくさん行うそうです。
 
そのなかで、ボールを持たないときにどう動けばいいのかを、体と頭に叩き込んでいくわけです。ですので、ご相談の方もこのようなディフェンスをつけないパターン練習に取り組んでみてください。
 
「こう動くと、(見えない)守備もこう動くから、ここにスペースができるよね。そうすると、ここのスペースを使うのは、誰だろう?」
 
そんなふうにゆっくり取り組んでみてください。
 
間違えても叱らない。できれば最初から指示せず、選手に動きを考えさせるとなおよいでしょう。
 
そういったプロセスを踏めば、「(ボールに)からもう」とか、「もっと運動量を上げよう」といった声がけは生きたものになります。
 
選手にわかってもらえるよう、ステップを踏んでください。
 
ただ、ひとつだけ気をつけてほしいのは、試合での判断はパターン通りにいかなくても当然だということ。
 
ドイツでも、実戦では選手に判断を委ねていました。「そこ、ななめに入れ」などとはひと言も言いませんでした。
 
 
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池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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文:島沢優子

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