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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

練習しているが試合になると上手くできない。「パスをつなぐ」ことを定着させるためには、どう指導すればいい?

公開:2017年11月27日

キーワード:コーチングチャレンジパス池上正

パスをつないで攻めることを一生懸命練習しているけれど、試合になると中々できないチーム。「失敗してもいいからやってみなよ」と声をかけているが上手くいかない...。とお悩みの指導者からご質問をいただきました。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんはどのようなアドバイスを授けたのでしょうか。(取材・文:島沢優子)

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<<上手いが相手との競り合いを嫌がる子。ボールの取り合いをどう教えればいい?

<お父さんコーチからの質問>

教え始めて2年目になる新米コーチです。指導対象はU-8からU-12で、現在週3回、2時間練習しています。

「サッカーはチームスポーツだよ」という事を伝えたいという思いもあり、チームではパスをつないで攻める事やディフェンスが来たらパスをし、パスしたら走るワンツーなどを練習しています。

練習のときは一生懸命練習してくれるのですが、試合になるとなかなか出来ず...。

試合後にも「せっかく練習したんだから失敗してもいいからやってみなよ」と声をかけているのですが、うまくいきません。

パスをつないで攻めるという事をあたりまえの状態にしたいと思っています。

週3回の練習で定着させ試合でも使えるようにするにはどうしたらいいでしょうか? なにかアドバイスお願いします。

<池上さんのアドバイス>
ご相談、ありがとうございます。

詳しい練習の中身がわからないので何とも言えませんが、ご相談の文章を読んだ印象からお答えさせていただきます。

練習でやったパスを試合のなかでトライしてもらうためにできる工夫を、二つほどお伝えします。

子どもたちの意欲を引き出す言い方をする

ひとつめは、「パスをつないでみよう!」と子どもの意欲を引き出す方法です。
それは、練習のあとに行うミニゲームで「パスを三つつないで入れたら5点ね!」などとボーナスポイントにすることです。みなさんも買い物に行った先で「今日はポイント5倍です」などと言われたら、購買意欲をそそられますよね。

私は「ワンツーを使ってゴールしたら5点ね」などと、このやり方をよく使います。「ワンツーやっていこうよ」と声掛けしてもなかなかトライしなかった子たちが、これになると、途端にやり始めます。

「君たち、5点だとやるんだね。ちゃんとワンツーできるじゃない」と言うと、うれしそうにしています。本当は彼らひとり一人はやりたいわけです。

ところが、ワンツーとかパスをつなぐことは、ひとりだけの意思ではできません。「やろうぜ」とアクションを起こさなくてはいけない。今の子どもたちは空気を気にするので、自分が一番先に「やろうぜ!」と先頭を切って走り始めるのが苦手。よって、全員が「やろうぜ」という雰囲気になる"仕掛け"が必要なのです。

パスを三つつなぎ始めたら「じゃあ、今度はパス四つつないでゴールを決めたら10点にしよう!」と少しずつハードルを上げます。その間も「練習してきたのはなんだったっけ?」「(練習で)やってきたことをやればいいよ」と声をかけ続けてください。そうやって「パスをつないで点を取る」というチームの方針を浸透させていくわけです。

■練習したことが成立しやすい環境を作る

二つめは、パスをつなぐサッカーをやりやすい環境をつくります。


相談された指導者の方は、幸いにも8歳から12歳までとさまざまなカテゴリーの子どもをみていらっしゃるようです。であれば、上の学年対下の学年、もしくは2学年ずつのカテゴリーなら上のカテゴリー対下のカテゴリーというように、最初から力量の差がある環境で試合をしてもらいます。

例えば、5・6年生チームが3・4年とやれば、パスはつなぎやすくなります。そんなふうに力が下の相手と試合をすると、上級生の子どもたちは練習したことが成立しやすくなります。さらにいえば、その際に「今日は練習したことがやりやすいよ。どんどんやっていこう」と声をかけてください。

そうやってだんだんできるようになったら、少しハードルを上げます。

例えば、下級生チームのほうにコーチが入って上級生の邪魔をします。パスをカットしたり、ボールを奪って壁になるわけです。そこで今度は、どんなときに成功して、どんなときに失敗したかを考える時間になります。

「コーチがボールを奪いに来たからあわてて蹴っちゃった」とか、「あそこは一度ドリブルでかわして、相手をよく見てパスしたほうがよかった」といった声が出てくるでしょう。出てきたミスから「じゃあ、それができるようになる練習をしよう」と、次の段階に進むこともできます。

加えて、下の学年が有利になるように「上級生はパス三つつながないとゴールとは認めません」とか、「下級生はパス三つつないだら5点ね」というふうに条件を変えるなど、ここでも意欲を引き出す工夫をしましょう。

週に3回練習しているのなら、ミニゲームの中でパスをつなぐようになれば試合でも使えるはずです。

次ページ:5つの見直しポイント


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文:島沢優子

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