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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

特定の一人だけ活躍。技術差の大きいチームで全員を上手くするトレーニングはありますか?

公開:2020年3月20日 更新:2020年10月12日

キーワード:チームの底上げドリブルワンマン周りを使う小学生技術差視野

チーム内の技術力に大きな差があり、試合の時は特定の子が一人で活躍するチーム。他の子たちも試合に勝てば楽しそうではあるけど、もっと全員が楽しめるようチームの底上げをしたい。何かいいトレーニングはない? とのご相談をいただきました。

少年サッカーではよくあることですが、同じようなお悩みを持つコーチもいるのでは。

今回も、これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、練習メニューのアドバイスを送りますので参考にしてください。(取材・文:島沢優子)

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

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<お父さんコーチからの質問>

こんにちは。私はU-10、U-12年代を指導しています。
指導しているチームはチーム内で技術力に大きな差があり、試合の時は特定の子が一人活躍するワンマンチームです。

それでチームがギクシャクしているようなことはありませんが、今は活躍している子は楽しいでしょうし、勝ったら他の子も楽しそうではあります。ですが、年齢が上がっていくにつれ、一人に頼ったチームは苦しくなると思いますし、全員がサッカーを楽しめて上達するチームにしたいと思っています。

選手のレベル差が大きい場合に適した指導方法はありますか? チームの底上げができるようなおすすめメニューがあれば教えてください。

 

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

ご相談文だけでのお答えなので、こちらの想像の範囲での話だとご理解いただいたうえでお聞きください。

少年サッカーで「上手な子がひとりいるワンマンチーム」となると、多くの場合、ひとりの子がボールを持つと離さない状況のようです。ひとりでドリブルで抜いていってシュートを決めてしまう。よって、他の子は試合のなかでボールに絡んだり、攻撃に参加する時間がぐっと少なくなる傾向があります。まず、そこから変えていかなくてはなりません。

 

■みんながサポートしあう、それがサッカーの基本

最初に、選手全員に向けて話します。

「サッカーはみんなで力を結束してやるものだよ。みんなで守って、みんなでボールをつないで点を取りにいくスポーツだよ」

そこには、ポジションがあり、各々役割もあります。そこを理解させます。と同時に、技術がまだ未熟な子はミスをしやすいし、試合中にミスが出てくるけれど、みんなで助け合うことが大切だということを学んでもらいます。みんながサポートし合う。それがサッカーの基本だと伝えてください。

一方で、子どもたちが試合に勝ちたいと思うのは当然のことです。

したがって、上手い子に任せて点を取ってくれればいいじゃないか。そんな考え方をする子も中に入るはいるでしょう。

ところが、力が少し上のチームになると、上手い子はマークされてしまうのでうまくいかなくなります。だからこそ、そういう相手と試合をします。そうなるとした時に、周りがどれだけ協力できるかが試されます。エースの子自身も、守備を自分に寄らせておいて他の選手を使うこと覚えなくてはいけません。

そのような経験をさせてから「じゃあ、どうやったらみんなでパスをつないで点が取れるかな?」と問いかけ、そのためのトレーニングを始めます。

 

■上手い子だけでなく、全員に相乗効果が生まれる練習

例えば、こんな練習をします。

ひとりでやってしまう中心になる子に「今日はボールをさわったら、ドリブルせずにまずパスをしてみよう」と声掛けします。こういうタイプの子はボールをもらうとすぐに目の前の相手をドリブルで抜こうとする習慣があるので、それをせずにまず周りを見るよう促します。

同時に、周りの子どもたちにも「どこに行くとパスが受けられるかを考えて試合をしてみよう」と声掛けします。

10~12歳くらいであれば、こういうことを頭の中で理解できます。早くパスをもらえるよう、どこに動くかを考え始めます。すると、ドリブルをしないようにと言われた上手な子が他の子たちに「もっと前にいけよ」などとコーチングするようになります。

それまでは自分が前に行くだけでしたが、ドリブルせずにパスを出すことで周りを動かすことを覚えていきます。視野も持てるようになります。そうすることで、周りの子が生かされ、有効なパスが出てきます。簡単に相手の裏をついたりと、お互いにプレーがしやすくなります。つまり、みんなが一つ上の段階でサッカーができるようになる。相乗効果が生まれるのです。

日本の少年サッカーは、ドリブルなど個人の技術から入ってしまうので、試合でどう動いていいかわからない子どもが少なくありません。練習の中でもっとミニゲームをして、この子が動いたらどう動くか。どこがチャンスで、相手が困るところはどこかをまず学ぶことが重要です。

そのようにプレーしていくと、上手い子からのいいパスをコントロールできない場面が出てきたりします。例えば、ディフェンスの頭上を超して高いボールが来る。浮き球のコントロールができず相手に奪われるかもしれません。

が、そこでのミスを叱ったりしてはいけません。ミスはしたね、でも、いいところにいた。いいスペースに入り込んできたのは良かった。あとはコントロールを磨こうねと伝えてあげてください。

 

次ページ:理解力が高まると練習のモチベーションも変わってくる

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文:島沢優子

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