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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
柔らかく「止める」技術を身につけさせたい。お勧めの練習メニューを教えて
公開:2021年8月27日
ボールを「蹴る」のは上手だが、「止める」時に力んでしまい柔らかく止められない子どもたち。柔らかいトラップを身につけさせる練習メニューを教えて。とのご相談をいただきました。
「蹴る」「止める」はサッカーの基本スキルなので初心者のころからしっかり身につけてほしいと考える指導者は多いのではないでしょうか。
今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ボールコントロールが上手くなる練習メニュー、指導のポイントをアドバイスします。
(取材・文 島沢優子)
<<でこぼこピッチだとぐらついて転びやすい子どもたちのボディコントロールを強化する練習はある?
<お父さんコーチからのご質問>
はじめまして。私はサッカースクールでU-8からU-10年代を指導している者です。
今回は、ボールコントロールの身につけさせ方について相談したくご連絡いたしました。
ボールを「蹴る」「止める」はサッカーの基本ですが、どうしてもこの年代は力を入れて「蹴る」ほうは最初から割と上手くできる子が多いですが、「止める」ほうも身体に力が入ってしまい、柔らかく止めることが難しいようです。
トラップのコツを身につけさせるためのお勧めの練習メニューはありますか。
<池上さんのアドバイス>
ご相談いただき、ありがとうございます。
8歳から10歳なので、2年生から4年生くらいでしょうか。この年齢ですと、基本的に柔らかく止めることは出来なくて当たり前かと思います。
ご相談者様はどの程度のスキルを求めているのでしょうか?
■足元の技術だけ切り出した練習では、試合の中でそれを発揮できない可能性も
私の意見を申し上げると、四種の指導者は足元のスキルにあまりこだわり過ぎないほうがいいと思います。足元の技術だけを切り出して、コントロールするトレーニングをしてしまうと、試合のなかで発揮できないという状況に陥る可能性が高いです。
細かい技術にあまり執着せずに、できるだけゲームや対人形式で、クローズドスキルに偏らないよう気を付けましょう。それらの止める蹴るの技術練習は、そこに含まれているのだという解釈をしてください。
■試合で使えるコントロールを身につけるトレーニング
では、どんなトレーニングをするか。
ミニゲームでは、例えば「必ず2タッチ以下でやりましょう」とまずは呼びかけます。2タッチアンダーなので、2タッチもしくはダイレクトでパスをしなくてはいけません。そうすると、コントロールしなければなりません。おのずとゲーム中にコントロールする回数は増えます。それにパスをつなぐには相手がコントロールしやすい、よく言われる「いいところ」に蹴らないといけません。
例えば、ゲーム形式の練習や対人を始める前に、こうアナウンスします。
「今日は、ボールコントロールがうまくなるために、2タッチアンダーでやりましょう」
そうすると、最初からみんなできないのでミスが出ます。そこで「どうしてミスしちゃうのかなあ?」と尋ねます。子どもたちから「ワンタッチ目をしっかりやらないと、次に蹴られない」とか「止めるときに注意する」などといった意見が出てくるでしょう。そこで「じゃあ、そこを意識してやってみましょう」と再開します。
すでに伝えましたが、できないからといってコーチが「やっぱりまずは足元だな」と言ってクローズドスキルの練習に転換しないでください。
試合で使えないので有効ではありません。
■実戦の中でコントロールを養わないと、試合での判断力も磨かれない
練習をしていくと、ミスしたくない子どもたちはバックパスばかりするようになります。中盤の子どもはバックの子に、バックの子はゴールキーパーに返してばかりという状況になることもあるでしょう。
そんなときは「ハーフラインを超えるまでバックパスはできません」というルールを設けましょう。後ろにパスができない。では、どうコントロールしますか? と子どもたちに問いかけます。
実戦のなかでボールコントロール力を養っていかなければ「判断力」が磨かれません。ゲームの中で常に「状況判断をしよう」と考えていないため、当然のように足元でボールを止めてしまいます。日本の子どもたちはどんなときでも足元で止める癖がついています。そうなると次のプレーがしづらく、とても窮屈です。
■ミスをするのは足元のスキルがないからではなく、認知・判断力がないから
一番いいのは、その状況で最適と思われる次のプレーがしやすい「位置」にボールをコントロールできるか。そこがポイントになります。向かってきたディフェンスがどこからきているか。右か、左か、後か。どこにボールを置いたら相手が困るか。
そういった判断をするためのトレーニングが少ないため、子どもたちはついつい足元にボールを止めてしまいます。そうではなく、例えば相手が来たら、来るほうとは逆の方向にボールを置く。例えば前にスペースが空いているのなら、前方に大きくボールを出す。ボールを前に出せば、スムーズに素早く動けます。
子どもがコントロールミスをすると、大人は「足元のスキルがないから」と考えがちですが、それはスキルの問題ではなく、認知判断の問題だと私は考えます。クイックで右に行きかけて、左に出す。そういった「直前の判断の変更」ができるようになってほしいものです。そのような認知が出来るからこそ、良い判断はできる。そんな選手を育てましょう。
■ボールコントロールを身につける練習メニュー例
練習メニューは、ネットでもたくさん出ています。書店に行けば私が監修した『池上正の子どもが伸びるサッカーの練習(池田書店)』という練習メニューの解説書もあります。
例えば、ボールコントロールを意識したミニゲームをしてみましょう。コーンゴールを用いたミニゲームで、ラインを通過した場合、パスを受けた子がしっかり止めないとノーゴールというルールにする。ワンタッチでラインを越えて。決まったゾーンでコントロールしないと1点にならないという決まりにします。
ご相談者様からは「トラップのコツを身につけさせるためのお勧めの練習メニューを」ということなので、私のアドバイスは希望通りではないかも知れません。
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