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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

絶えず口ゲンカ、相手の気持ちを考えない、準備・片付けをしない子どもたちの意識改善をどうすればいいか教えて

公開:2023年6月30日

キーワード:すぐカッとなるグラウンド整備口ゲンカ準備片付け相手の気持ちを考える言い合い

何かあるとすぐ口ゲンカ、すぐカッとなって相手の気持ちを考えられない子どもたち。話合いできるようにするのも指導者の力量?

また、ゴール設置やグラウンド整備などの準備や片づけをしない子たちに声をかけても改善ナシ。どんなアプローチをしたらいい? とのご相談をいただきました。

今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、自信の指導チームのエピソードを交え、アドバイスを送ります。
(取材・文 島沢優子)

池上正さんの指導を動画で見る>>

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

<<遊びやケンカで時間が過ぎてしまう低学年の練習のさせ方を教えて

 

<お父さんコーチからの質問>

池上さん初めまして。

少年団(U-6以下~U-10)で指導をしている者です。

早速なのですが相談です。

チーム内での口ゲンカがたえません。ケンカ自体がダメということではないのですが、何かあるとすぐ言い合いになるのはどうしたものか、もっと相手の気持ちを考えたりカッとならずに話し合いができないものかと思っています。それも含めて指導力の問題かもしれませんが......。

また、ゴールなどの準備や、片付けをやる子とやらない子の差があります。グラウンドの整備もです。こちらから全員でやるように毎回声かけをしていますが、自ら動こうとする子たちが増えてはいません。

自分たちで準備、片付けをするようになってほしいのですが、どのようにアプローチすればいいでしょうか。

 

 

<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

遊びやけんかで時間が過ぎてしまうのは、よくあることです。ただ、「そういう時間が必要でもある」ということは覚えておいて欲しいと思います。

 

■常に誰かより得点した、上手い、下手と比べられる毎日。ケンカが起きるのは必然

まず、子どもの口げんかについて。先日、私のスクールでコーチとも「子どもはどうもひとりでいろんなことやりたがるね」という話になりました。フリーの仲間になかなかパスしなかったりする光景は日常的に見られます。そこに注目すると、日本の教育が往々にして、大人からの評価をベースに成り立っていることに気づきます。

子どもたちからすると常に「誰かと比べられる」毎日なのです。

誰よりたくさんゴールを決めたとか、誰より少ないとか。誰かより上手いとか、下手だとか。そういった「相対評価」が目立ちます。

その対岸には、試合や練習で「こないだよりも今日はこれだけできてたね」みたいな「絶対評価」はなかなかされません。ひとりの子どもがどう伸びたか、どれだけ成長したかには注目しない。サッカーだけでなく、学校教育もその傾向があります。

そうなると、子どもも「アイツより上に行きたい」とか「目立ちたい」といったマインドになります。よって、ご相談にあるような口げんかが起きるのは、必然的だと私は思います。

例えば、誰かがドリブルしだすと、本来味方のはずの選手がそのボールを取りに行ったりします。守っている対手側も当然奪いに来るので、もうカオス状態。ごちゃごちゃになります。ドリブルのコースに入ってきて、味方の子が「パスしろよ」と言ったりします。その、パスしろよと言った子がボール持つと、今度はその子もパスしません。

 

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■ひとりの技術を追いかけるトレーニングが多すぎないか、見直しを

子どもたちには「サッカーはチームでやるものだよ」「みんなで協力して攻めて、守るチームスポーツだよ」ということを何度も繰り返し言って聞かせながら、トレーニングの見直しをやってみましょう。

ひとりの技術を追いかけるトレーニング多すぎないか。例えば、コーンドリブルやボールコントロールなど、ひとりでやるメニュー。そのようなクローズドスキルも必要ですが、他者とかかわるメニューを増やしましょう。仲間と協力しないとうまくいかないような、そういうものを多く取り入れていけば子どもは変わっていくと思います。

例えば私のクラブで、3人一組で、パスしながらシュートまでいく練習をやるとします。毎回シュートを打つ人は替えるよう呼びかけます。何回かやって、3人ともシュートを打ったら次の違う3人組を作ります。グループを替えながら、誰とやってもできるようにする。そんな意識を、指導者に持ってもらえたらと思います。

 

■子どもたち自身に「交代して」と声を出させる

次に片付けの問題。グラウンド整備でトンボをかけてるとき、私は「交代してほしい人、声をかけてください」と言います。トンボの数は限られていますから、かけてる側に自分で「交代して」って声をかけてごらん。そういう言い方をします。指導者は、トンボをかけていない子に「交代してやれよ」と言ってしまいがちですが、そういう言い方はしません。

そんなことをやっているので、低学年たちが1周すると「誰か交代して!」と大きな声で叫んでいます。それを聞いて、他の学年がやってくるわけです。そうやって子ども同士が言い合ったり、感じ合うことが大切です。

最初から指導者が「こういうルールでやります」と決めてしまうのではなく、自然にコミュニケーションできる環境作りを考えてください。

 

■最初にコーチが動機付けをしてあげて、子どもたちにアイデアを出させるのも良い

とはいえ、最初に外発的な動機付けを用意するのもありです。例えば「今日から5回だけこんなルールでやるよ」と言って、順番に交替で5回やってみる。そこで、子どもたちに「このやり方、どう?」と尋ねてみる。

今まで5回、みんなでやると早く終わったね? みんな、いいと思いませんか?

そんなふうにコーチの話を聞いて「そうだ。みんなでやって早く終わろうぜ」っていうふうになっていくのが内発的動機付けです。この時点で、最初の5回のやり方を子どもたちに納得してもらうこと。そこが重要です。

「やっぱりみんな順番に交代でやると早く終わる」

そんな意見が出てくるはずです。もしくは「こんなやり方もある」と違うアイデアが出てくる。じゃあ次はどんなやり方でしますか? と子どもたちに決めてもらうのです。

 

次ページ:片付けも遊びの一部 みんなで協力したらいいことが起きる、と実感させれば良い

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取材・文 島沢優子

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