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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
学年ミックスしないとチームが作れない女子サッカーチーム、全員をうまくするにはどんな指導がいいか教えて
公開:2024年9月27日
創設4年の女子サッカーチーム。まだまだ選手が少なくて、全学年を合わせないと1チーム作れないんだけど、全員を上手くする方法はある?
選手集めにも苦戦しているから、いいアイデアがあれば教えてほしい。という指導者兼クラブ代表者よりご相談をいただきました。
ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ご自身が今まさに取り組んでいる学年ミックスの指導をもとにアドバイスします。
(取材・文 島沢優子)
<<できないと練習から外れてしまう未就学児、できた子を褒めるのはできない子のハードルを上げる? 指導のポイントを教えて
<お父さんコーチからの質問>
4年前から小学生女子サッカーチームを発足して活動してます。
対象年齢はU-8~U-12です。現状、学年を混ぜないと1チーム作れません。そんな状況なのですが、全学年をうまくする方法はありますでしょうか。
子どもたちは割と季節のレジャーを経験している地域です。(学校行事や子ども会で、夏は海や川で泳ぎ、冬はスキーやスケートをする)
また、女子ならではの指導の注意などはありますでしょうか。声掛けでも、けが予防でも何でもいいのであれば教えてくださいませ。
あと、悩みとして中々メンバーが集まらず困ってます。どのようにメンバーを集めたらいいかも悩んでいるのですが、うまく集客しているチームのやり方などご存じであればアイデアをいただけると幸いです。
<池上さんからのアドバイス>
ご相談ありがとうございます。
私が主宰するクラブでは、小学生は全員一緒に練習しています。先日は長い夏のオフのあとに再始動したのですが、とても楽しそうにサッカーをしていました。
休み明けは試合しかしないと決めているので、久しぶりのゲームで生き生きとプレーしていました。
■低学年も6年生に向かっていけるようになる
1年生から6年生までいますが、団子サッカーになりません。低学年の子どもたちにも何も教えていないのに、団子にならないのです。コーチたちはそばで眺めながら「団子になりませんね。みんなすごいね。自分がどこに行ったらいいか考えてるね」とコーチ同士で言い合っていました。
適切にトレーニングしてあげれば必ずうまくなっていきます。そのことを私自身、身をもって証明しているつもりです。
例えば、私が担当していたスクールでは2年生対6年生で学年対抗戦をやります。その際、6年生には「2年生とやるけど、君たち何を考えますか?」と尋ねます。2年生には「6年生とやるけど、君らどうする?」と言います。
最初は6年生が蹴ったボールが体に当たったりすると泣いていました。話にならないだろうと思われるでしょう。ところが、それを続けて3か月ほど経つと、2年生は6年生に向かっていけるようになります。どんどんボール取りに行きますし、ボールが当たってももう泣かなくなります。
■年齢差は大きな問題ではない 6年生が1年生相手に練習してもうまくなる
スポーツ全般に言えるかもしれませんが、サッカーは年齢差が大きな問題ではありません。
上の学年であれば体が大きく、スピードも上ですが、それだけで勝てるわけではないのです。例えば6年生ひとりが1年生5人に囲まれると、ボールを取られてしまいます。それがサッカーです。
そこで何が起きるでしょうか。例えば6年生は、ボールをもつと1年生が奪いにやって来るので、ボールを外で回すようになります。1年生が相手でもうまくなります。
ボールを回されるようになると、1年生のほうは広がってマークするという術を覚えます。両方が上手くなるためにはどうしたらいいか。そこを考えながら練習をしてください。
メニューはネットでも本でも山のように載っています。指導の仕方も他コーチの指導や声掛けを見れば、みんながどうしているかはわかります。そのなかで、子どもたちを上手くさせる答えを皆さん欲しがります。しかしながら、そこは自分で作り出さなければなりません。
■個々が伸びれば練習の質も上がる、小学生年代はそれを優先して
1シーズンの動きを見ていると、春にチームが始動すると、次々にやってくる大会や試合に出て勝つことが目標になっています。勝つためにはどうするか。あの選手とこの選手を先発にする。ポジションを少しいじる。
果たして、それでいいのでしょうか。そこの考え方が変わらなければ、少年の育成に欠かせない個を伸ばす指導はできません。
全員が試合に出て勝つためにはどうしたらいいか。チームの底上げが出来れば、個が伸びるのは当然です。
サッカーは対人スポーツなので、個々が伸びれば当然ながら練習の質は上がります。小学生の間はそこを最優先にしてほしいと思います。
■女子ならではのケガに注意 筋トレより自重トレーニングを取り入れよう
ご相談文を読むと季節のスポーツをしているようで、理想的だと感じます。
気をつけるべきは、女子ならではのケガでしょうか。女子選手は前十字靭帯を痛めるケースが多いようです。もしかしたら筋力の問題かもしれません。小学生時代は女子のほうが体が大きいですし、第二次性徴期は男子より女子のほうが大きく変わります。
特に6年生は自分の体重でケガをしてしまうので、筋トレではなく自重のトレーニングを取り入れましょう。
生理の問題もあります。私のチームにも女子が何人かいますが、練習や試合で「おなかが痛い」と言ってくれば「無理しなくていいよ」と休ませます。一方で「トイレ行ってこい!」と言ってしまう指導者も少なくありません。
また、まだ子どもだからといって、男性コーチの目の前で着替えさせたりしないように気をつけてください。
■男女問わず繊細な心で向き合うこと、話をちゃんと聞くことが大事
当然ながら、男子選手に対しても同じことですが、繊細なこころをもって向き合ってください。話をちゃんと聞いてあげる。何でも言いやすい空気をつくることが重要です。
私も短い期間でしたが娘の女子チームを指導したことがあります。練習に行くと「まりちゃん(娘の名前)のお父さんが来た!」と子どもたちが寄ってきました。コーチと呼びなさいなどと言ったこともありません。子どもたちにとっては「まりちゃんのお父さん」ですから、否定しても仕方ありません。
お父さんコーチは多いかと思いますが、コーチ側が自分の中でわが子を優先してしまうと、逆に「○○のお父さん」といった呼び方はしなくなります。
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