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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
鳥かごでずっと奪えない子への対応、自分が介入しているがもっといい方法がないのか教えて
公開:2025年4月 1日
ウォーミングアップで鳥かごを取り入れているが、ずっと奪えない子がいる。自分が介入しているけど、対応に迷う。いいメニューだと思うけど、もっといいやり方はある?
本やネットで練習メニューを探すけど、玉石混交だと思うし......。という悩みをいただきました。
今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、お父さんコーチの悩みにアドバイスを送ります。
(取材・文 島沢優子)

<<プレーするとき腰の位置が高い。膝が固くてクッションが効かずボールコントロールができない子におすすめの練習法はある?
<お父さんコーチからの質問>
池上さん初めまして。
とある街クラブで指導をしています。(指導年代:U-11)
早速ですが質問です。
4、5年生ぐらいのウォーミングアップとしておすすめのメニューはありますか。
鳥かごをやっているチームは多いと思いますが、ボールを奪えなくてずっと交代なしの子とかがいます。そんな時は私のほうで選手交代を指示しますが......。
良いメニューだと思いますが、こういったずっとボールを奪えない子に対しての対応も悩みます。
保護者兼指導者という立場であり、サッカー経験もないので練習メニューもワンパターンというか引き出しが少ないです。
いつも同じメニューだと子どもたちも慣れて飽きると思うので、バリエーションを増やしたいと思っています。
ネットで検索すればいろんな動画があるのもわかっていますが、情報が玉石混交だと思い、池上さんにお聞きしたいと思った次第です。
鳥かご以外の良いウォーミングアップ方法などがあれば、教えていただけないでしょうか。

<池上さんからのアドバイス>
ご相談ありがとうございます。
まず、「鳥かごをやってるときにボールを奪えなくて交代なしになる子がいる」とあります。
これは本当によくあることです。子どもたちは鳥かごでディフェンスをする人のことを「鬼」と呼びます。それは「ボールを取られるのはいけないこと」という発想です。
そうなると、どうしても取られないようにするためにグリッドが広がっていきます。そんなことが起きています。
グリッドが広がればディフェンスの子はだんだんついていけなくなるので、ますますオフェンス側に有利になります。
■自分たちでグリッドのサイズを決めさせる
よって、私はこの練習のときいつも言うのは「自分たちでサイズを決めましょう」と声を掛けます。グリッドを決めておくためにマーカーを置いたりしますが、そういった決め方ではなく、自分たちで調整できるようにやってくださいねと話します。
もしくは、ひとりがずっとディフェンスをしているグループのところに行って、ストップをかけます。そこで「今、中の人が全然取れないよね。それは外の人たちが広がってるからだよね。狭いなかでボールコントロールするトレーニングでしょ? そんなことをずっとやってて上手くなりますか?」という話をします。
「外の人のグリッドが小さくなると、どうなるの?」と尋ねれば「難しくなる」と言います。
そこで「大きくなるのと、小さくなるのとどちらが上手くなると思う?」と。そこでもう理解できるので「そうだよね。上手くなりたい人は、サイズを考えてごらん」と話します。
簡単なことばかりやらないで難しいことにチャレンジしてごらんよということです。
■ウォーミングアップであれば、時間を決めて交代するなどのオーガナイズをしたら良い
場面がウォーミングアップだとしたら、例えば時間を決めて交代してやればいいのです。30秒間だけやるよと告げてやってみる。はい、次交替ねと言って。
30秒の間に何回取れるかな? とやってみるのもひとつのやり方です。
つまり、オーガナイズを変えるということです。オーガナイズを変えればいいのですが、多くの場合、子どもに何かを言って、子どもを動かそうとしがちです。
■本やネットで知ったメニューを、そのままやってみることも大事
後半のお話では「情報が玉石混交だ」と書かれています。でも、例えば本を買ってみたり、ネットなどで検索して出会ったメニューを、勇気を持ってそのままやってみることをお勧めします。
それが効果的かどうか、自分のその時点でのチームに合ってるかどうかはやってみないとわかりません。
私自身、過去に本から選んだ練習を試した時に、子どもたちがどうもしっくり来なかった経験は何度もあります。自信が持てない練習であっても、目の前にいる子どもたちは喜んでやるかなと思ってやってみたらはまったということはたくさんあります。
したがって、今日はこれとこれをチャレンジしようとか、体系が違うこれとこれをやってみようというふうに提供してみます。あくまでも「やってみる」ことが大事です。
ひとつのメニューでも、子どもたちはどんどん違うことをやったりします。そこが面白いのです。
とはいえ、うまくいかないものもあるでしょう。そんなときのことを考えて、私はあらかじめ四つぐらいメニューを考えておいて、まずは「これとこれ二つやろう」とやってみます。
そこで「楽しくなかったら言ってね」とそんなふうにやります。そうすると、指導者自身の能力も上がっていくと思います。
■上手くいかなかったら変えてみる、臨機応変に対応をしよう
コーチの皆さんは、練習がうまくいかなかったらメニューを変えることに少々抵抗があるようです。どうしてできないんだろう? と考えてはいるけれど、目の前の子どもたちの理解度が低いとか、やろうとする子がいない、真面目にやってないとか、先ほども伝えましたが、そういった子どもを責める方向へいってしまう傾向があります。
そこで理解できないのはどうしてかな? と思ったら、もう一度説明してみる。あるいはそこで少しルール(オーガナイズ)を変えてみることです。
私も講習会などでインストラクターをすることがありますが、皆さん練習メニューを考えてきていらっしゃいます。が、考えてきたものをそのままやろうとします。
そこで「うまくいかないときは変えた方がいいですよ」とアドバイスします。ライセンスの講習会だからといっても、頑張って用意してきたとしても、それをそのままやるのがいいわけではない。
考えてきたけど、うまくいかないのなら「次の事をその場で考えて、思いつきでやるっていうのはすごく大事なことです。考えてきたことじゃないことをやってもらっても全然大丈夫ですよ」と伝えます。
要するに臨機応変にできるかどうか。そこが大切だと知ってほしいと思ってやっています。
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