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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2018
パターンはあるが自由が無い。バルサ監督が語った日本チームの明確な「違い」
公開:2018年8月24日 更新:2018年8月29日
8月23日(木)、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2018が開幕しました。初の大阪開催となった大会の舞台はOFA(大阪サッカー協会)万博フットボールセンター。人工芝2面のグラウンドはガンバ大阪のホーム、パナソニックスタジアム吹田に隣接しています。
開幕戦第2試合では、クラブ・ティフアナ(メキシコ)が1-0で大宮アルディージャジュニアに勝利し、サンフレッチェ広島F.Cジュニアが5-1でSOLTILO WORLD SELECTを降しました。広島の大西央人選手は今大会ハットトリック第一号となりました。
(取材・文:貞永晃二、写真:吉田孝光)
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バルセロナは今年も優勝候補筆頭(C)吉田孝光
■一つのファウルが「教材」に
台風20号が接近し強風が吹き続ける天候でしたが、わが子と同年代のFCバルセロナの選手のレベルを間近に見られるということもあってか平日にも関わらず多くの方が観戦に訪れました。
第2試合には注目のバルサ(インファンティルB)が登場しました。観客席はほぼ満席。キックオフ時にはグラウンド周辺は立ち見の観客で溢れました。日本チームで最初にバルサに立ち向かうのはヴィッセル神戸U-12。アンドレス・イニエスタというバルサの"巨星"が現在所属するクラブとの対戦を前に、ダビド・サンチェス監督は選手のモチベーションが上がることを認めていました。
ハーフタイムでほぼメンバー全員を交代するなど、例年通り選手に均等に出場時間を与えるバルセロナ。後半はスコアが動きませんでしたが、前半15分のFWマルク・ギウ・パス選手があげたゴールを守り切り初戦を勝利しました。
試合後「神戸がバルサに似たようなプレーをしていたことに驚いた」と振り返ったダビド監督。コンパクトな守備に苦戦して難しい試合になったことを認めた上で、両チームの違いを説明してくれました。
「神戸はちゃんとトレーニングをしているのは分かったが、プレーにはパターンがあったけれど自由がない感じで、驚かされることはなかった。バルサの選手は自分で判断してプレーを選び決めるようにトレーニングするが、神戸の選手には(そういうものは)見えなかった」
実はこの試合の終了間際、神戸のFWがDFラインの裏に抜け出し同点のチャンスを迎えましたが、バルサのDFが後方からユニフォームを引っ張り止めた場面がありました。
そのことについて問うとダビド監督は、「彼は自らの決断で(イエロー覚悟で)ファウルで止めるべきだと思ったのだからそれは仕方がない。もしわざと足を蹴ったり、パンチをしたりというようなファウルなら、それは『バルサの選手ではない』ので、怒るし、交代させるがそうではない。なぜあのアクションになってしまったのか、ではどうすればよかったのか、次の試合ではああならないようにどうするのかを選手に話して考えさせました。それはあのピンチがあの選手だけのミスではなく、チームのミスだったからです」と嫌な質問にも真摯に答えてくれました。
ただ叱っておしまい、というのではなく、1つのファウルを「教材」にして、この年代の選手をいかに成長させるかを考えるものなのです。
2年連続で参加となるアーセナルFC(C)吉田孝光
もう一つの注目クラブ、アーセナルFC(イングランド)は、第4試合に登場。日本の子どもたちと比較するとフィジカルの差は歴然としていましたが、それに頼ることなくテクニックを活かしてパスをつないで相手DFを崩すスタイルを見せてくれました。対戦したFCパーシモン(神奈川)に食い下がられましたが虎の子の1点を守り切り1-0で勝利しました。
■ガンバ大阪ジュニアも健闘
台風接近中ということもあって、この日の大阪は強風が吹き続いていました。にわか雨が時折あったもののずっと強い日差しの中スケジュールは進みましたが、予想される台風の動きを考慮し、第7試合目を前にバルサとアーセナルの試合を繰り上げ、2試合×2を翌日に延期する決定がされました。
台風の中詰めかけた観客にバルサ、アーセナルをもう1試合見てもらいたいという思いや、地元のガンバ大阪、近隣のヴィッセル神戸を応援する方々の多さを、主催者側は考慮されたのかと推測しますが、そういう臨機応変な対応はなかなかできないことです。
そのバルサの2試合目は地元のガンバ大阪ジュニアとの対戦。1試合目とは異なり、試合開始早々からバルサはガンバ大阪ゴールに襲いかかり、1分に先制すると畳みかけるように3分に2点目を決めてしまい、さすがの試合巧者ぶりを見せつけて観客のため息を誘いました。メンバーを入れ替えた後半3分に3点目を追加し勝負をつけてしまったバルサでしたが、無失点勝利はなりませんでした。後半16分にバルサの高いDFラインの背後に抜け出したFW金田柊真選手がしっかりとゴールネットを揺らしました。3点を先行され小学生年代なら気落ちしてもしょうがないところですが、ガンバ大阪は意地を見せてくれました。結果は3-1でしたが、バルサから奪ったこの1点は大きな自信となるのではないでしょうか。
ダビド監督は、「この2試合でできなかったことを次の3、4試合目、試合を重ねていくことで、最終的に私たちが目指しているスピード感、リズム感へと持っていきたいと思っている。2試合目については、前半私たちのボール保持率が高くチャンスも多かったが、後半は相手も少しやり方を変えてきて、ハイプレスを受けてボールを持つのは難しくなった。ただ1試合目よりは良くなったと思っています」と話しました。
初失点の場面は、「ボールを失った瞬間に(攻から守への)切替えのスピードをもってすぐにボール奪取にとりかかるのですが、どうしても今、グラウンドの広さに馴れていない。7人制から11人制に変わって(時間が経っていないので)リアクションが遅い選手がいるのです。守備のところはチームとしてまとまり切っていないので、そこを改善すればチームはもっと強くなると思っています」と手ごたえを感じながらも、まだまだ課題があることを教えてくれました。
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