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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2018

劇的PK戦で勝利。3連覇狙うバルサが大苦戦した日本チームの作戦は子どもたち主体で考えていた

公開:2018年8月26日 更新:2018年8月29日

キーワード:アーセナルガンバ大阪ジュニアサッカーワールドチャレンジバルセロナヴィッセル神戸

825日(土)、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは大会3日目を迎え、準々決勝4試合と各順位決定戦が行われました。

舞台を大阪に移しての大会になりましたが、FCバルセロナやアーセナルFCなど世界の強豪が集う大会として認知度が定着したこともあり、会場になったOFA万博フットボールセンターには多くの観客が詰めかけました。

準々決勝では、3連覇を目指すFCバルセロナが、プレミアリーグ U-11 チャンピオンシップ2018を勝ち抜いて出場権を獲得した街クラブの雄、パーシモンと40分フルタイムを戦い、22のドロー。選手が一巡するPK戦を制し辛くも準決勝進出を決めました。

同時刻に行われた試合では、メキシコのクラブ・ティファナが名古屋グランパスU-12に30で快勝。昨年は日本の夏の暑さに適応できずに最終順位11位に沈んだアーセナルFCもギアを一段上げてヴィッセル神戸を52で下しました。

日本勢最後の砦を守ったのは、JFAトレセン大阪U-12。グループC無傷の首位通過を果たした中国サッカー協会U-12選抜を31で破り、明日の決戦に駒を進めました。

(取材・文:大塚一樹、写真:吉田孝光)

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日本の街クラブに大苦戦したバルセロナ(C)吉田孝光

3連覇を目指すバルセロナが大苦戦

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バルセロナのサンチェス監督は相手チームを「非常に組織されていた」と評価(C)吉田孝光

苦しいゲームでした。前半はボールをコントロールし、いい攻撃ができたと思いますが、後半は少し気持ちの緩みがあり、ボールを失うシーンも多くありました」

バルセロナFCのダビド・サンチェス・ドメネ監督がこう振り返ったように、この大会で毎回強烈な強さを見せつけるバルセロナが、準々決勝では大苦戦を強いられました。前半、9番を背負うマルク・ギウ・パス選手の2ゴールで試合を優位に進めますが、後半に入ると対戦相手のパーシモンが中盤でボールを奪うシーンが目立つようになります。

サンチェス監督はパーシモンの選手たちが「非常に組織されていた」と苦戦の一端がパーシモンの守備にあったと認めた上で、「それを打開するためにDFの選手からFWにボールを入れることを目的にし、そのために中盤の選手を一枚DFラインに下げてスペースを作ることを試みた」と明かしてくれました。

過去の大会でもバルセロナの選手たちが良く見せた攻撃の打開策でしたが、この試合ではその試みが点数につながることはありませんでした。

「今はバルセロナのプレースタイルをチーム浸透させている状態なので選手たちには均等にプレー時間を与えています

9月からの新シーズンに向けてバカンス明け、チーム立ち上げのプレシーズンとして来日しているバルセロナは、11人制のバルセロナのゲームスタイルを選手たちに経験させるために、"レギュラー"をつくらずに、できるだけすべての選手に均等にプレータイムが回るように戦っています。

過去の大会では、この戦い方が結果的にスタミナの温存、後半にさらにギアを上げる強さの要因になっていたのですが、選手やそのポジションがめまぐるしく変わることで、チームとしての意図を徹底するのが難しくなるというマイナス面もあります。試合中、バルサのベンチには珍しくコーチ陣が立ち上がって声を上げるシーンが目立ちましたが、新チームになって間もなく、まだチームとしての戦い方ができていない選手たちに修正点を伝える声が多かったようです。

40分を終えて2-2 大健闘のパーシモンのバルサ対策は?

一方、結果的にはPK負けとなりましたが、22でバルセロナと引き分けたパーシモンの三浦大輔監督は「コーチングスタッフから特別な"バルサ対策"というのはなかった」と試合後に明かしてくれました。

「グループリーグでアーセナル、そして今日のバルセロナと我々のようなクラブが普段戦えないようなチームと戦わせていただきました。非常に良い経験をさせてもらったと思うのですが、バルサだから、アーセナルだからというのではなく、試合では選手自身がどういうプランで戦うのかを考えて実際にやってみるという機会にしているんです」

パーシモンでは練習やこれまでの試合での経験をもとに、選手たちが対戦相手や状況に応じてどんなやり方でプレーするのかを自主的に選択していると言います。

「選手たちなりにはどこから守備をして、どこでボールを奪うというのはあったと思います。ゾーンで守ったり、マンツーマンで、前から激しく行くとか、これまでの試合や練習でやってきた積み重ねの中から何をチョイスするのかというのは選手に任せていました」

バルセロナのサンチェス監督は、「組織されたパーシモンの守備」が「中盤で待ち構えていた。そこでボールを奪われてしまった」とゲームを振り返りますが、三浦監督にその弁を伝えると、意外な答えが返ってきました。

「そうですよね。そう見えたと思います。私もそう思って選手に聞いたら、実は前半から『前から強くプレッシャーをかけに行きました』と言うんです。『それはうまく行ってなかったぞ』とは言ったんですが、それでもバルセロナの選手たちもうちの選手と同じようにチームとして意図したプレーができていないシーンもありました。そういう意味ではあのバルセロナも自分たちと同じ年齢のサッカー選手なんだということは感じられたのではないでしょうか」

次ページ:"世界のとの接点"から"真剣勝負の場"へ パーシモンの選手が見せた「悔しさ」

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文:大塚一樹、写真:吉田孝光

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