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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019

負けた試合をどう活かす? FCバルセロナの監督が語る「負け試合への対処法」

公開:2019年9月 5日 更新:2019年9月30日

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ワールドチャレンジ2019の目玉であり、過去7大会で6回優勝しているFCバルセロナ。今大会はラウンド16でトヨタ・タイランド(タイ代表U-12)に1対0で敗れ、7度目の優勝はなりませんでした。勝利が当たり前の環境にいる彼らは、どのようにして敗戦を次につなげるのでしょうか?

(取材・文:鈴木智之、写真:吉田孝光)

 

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トヨタ・タイランドが準備してきたバルサを倒すための守備とは(C)吉田孝光

 

■タイ代表が準備してきた「バルサを倒すための守備」

FCバルセロナ対トヨタ・タイランド(タイ代表U-12)の試合は、フィジカルに優れたトヨタ・タイランドが先制すると、後半はバルセロナの怒涛の攻撃をしのぎ、リードを守って逃げ切った形でした。

とはいえ、トヨタ・タイランドも闇雲に守備を固めていたわけではありません。スペインのバルセロナ出身で、パリ・サンジェルマンの育成改革を始め、日本でも代表選手のコンサルティングを行う『エコノメソッド』のオリオール・アルカサル・コンスエロ監督を中心に「バルセロナを倒すための守備」を準備してきたのです。

彼らがまず取り組んだのが、バルセロナの「パスを繋いで相手を左右に揺さぶる」というコンセプトを封じ込めることでした。バルセロナは、両サイドの突破力が攻撃のポイントです。右サイドから中央、左サイドへとボールを動かして相手を揺さぶり、スペースを作り出して、スルスルとゴール前に進入して行きます。

それに対してオリオール監督は「バルセロナが攻撃するサイドで、ボールを奪い切ること。サイドを変えさせないディフェンスができていました」と、守備で主導権を握れたことを評価します。

後半に入ると、バルセロナがギアを上げるとともに「相手が疲れてきて、スペースができたので攻撃が回り始めた」(FCバルセロナ/アルベルト・プッチ監督)という展開になり、右サイドを中心に何度もタイゴールに迫りますが、それも想定していたオリオール監督。サイドを突破し、クロスボールを入れるバルセロナの攻撃に対して「クロスボールの守備も準備してきました」(同監督)と、ゴール前に人数をかけて壁を築き、飛んできたシュートはGKが素晴らしい反応でストップします。

最後までトヨタ・タイランドの守備を崩すことができなかった、FCバルセロナ。試合中や試合後に、バルセロナの選手としては珍しく、審判に抗議をする場面も見られ、プッチ監督が制止に入るほどでした。

「彼らはまだ子どもなので、イライラする気持ちはわかりますが、コーチはサッカーだけでなく、教育もしなければいけないので、彼らを止めに行きました。負けはあること。でも、審判をリスペクトする気持ちがないといけません」(プッチ監督)

 

■大切なのは「負けから学び、次に活かすこと」

なにより大切なのは「負けから何かを学ぶこと」だと言います。

「試合の後、宿舎に戻って、選手たちに話をしました。最初にしたのは、選手に『いまの状況をわからせること』です。ワールドチャレンジの期間はプレシーズン中であり、シーズンに向けた準備の段階です。この敗戦を糧に、次に同じ状況になったときにどうすればいいかを考えさせます。負けから学び、次に活かすことが大切なのです」

プッチ監督は選手に対し、「後半は相手を圧倒して攻めていた。でも結果に結びつかなかった。どうしてだろう?」と問いかけたそうです。そして、テクニカルな部分でのアドバイスに移って行きます。

「まず、ポジショニングの話をしました。具体的には、これまでやってきた7人制から11人制に変わったことで『誰が、攻撃の幅と深さをとらなければいけないのか?』という部分です。7人制は選手個々の役割がはっきりしていましたが、11人制になると人数が増え、グラウンドも広くなり、状況が複雑になります。幅や深さをとる選手は、1人ではありません。グラウンドの中に選手がたくさんいる状況で、誰がバランスをとるのか。いつ、誰が守備のプレスに行くのか。行かない選手はどういうサポートをするのかについて、話をしました」

プッチ監督は「この選手は11人制にハマりそうだなとか、7人制では出せていた特徴が、11人制になると出し切れていないな、といった部分を見ています。それがわかったのは、ワールドチャレンジの収穫です」と大会を振り返ります。

 

U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジはバルサにとっても特別な大会

7人制時代のリーグ戦では30勝近い成績を残し、ほとんど負けていなかったFCバルセロナ。しかし、他の大会などでは負けたこともあり「1、2敗はしている」(プッチ監督)そうです。

「ワールドチャレンジのチームは、下のカテゴリーから上がってきた選手と、外から獲得した選手がミックスされたチームです。全員が勝ち続けてきたメンバーではありません。初めて負けたわけではないので、負けに対処することはできています。ただ、ワールドチャレンジは僕たちにとって特別な大会です。なぜなら、過去6回チャンピオンになっているからです。優勝できず、悔しい気持ちは当然あります」

新チームの立ち上げ時期に、遠い異国で悔しい負けを喫した若きタレントたち。この経験を、来たるシーズンに向けてどう活かしていくのでしょうか。彼らの成長に期待しましょう。

 

【全試合結果】U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019 公式ホームページ>>

 

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【2018年】3連覇狙うバルサが日本チームに大苦戦
【2017年】「ソルティーロ世界選抜」躍進の影に本田圭佑の哲学
【2016年】バルサ選手のふるまいに世界中が大絶賛
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取材・文:鈴木智之 写真:吉田孝光

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