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スポーツ先進国の親たちが学ぶ!スポーツペアレンティング講座とは

親も相手やレフェリーに敬意を!スポーツ大国アメリカで推奨される"ROOTS"とは

公開:2016年12月23日 更新:2021年1月27日

米国には「スポーツペアレンティング」という講座があります。これはスポーツをする子どもを持つ親を対象にしたもので、親として、子どものスポーツにどのように関わるかを考えるものです。
 
当連載は、米国の「ポジティブ・コーチング・アライアンス(PCA)」という団体が提供している親向けのオンラインコースを筆者が受講し、その内容を読者のみなさんにわかりやすくお伝えしていく企画です。
 
前回は「エモーショナル・タンク」についてレポートしました。「エモーショナル・タンク」とは、前向き、幸福感、意欲などで気持ちのタンクを満たすという意味です。心理学の研究によると、気持ちのタンクが満たされていると、子どもたちがよりよい選手になりたいと意欲を持ってスポーツに取り組むことができるそうです。第4回となる今回は「試合を尊重する環境を作る」ことについてお伝えします。(取材・文 谷口輝世子)
 
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<<ポジティブな声掛けと改善点の指摘の割合は5:1が理想。わが子の「エモーショナル・タンク」を満たそう
 

■フェアな試合を支える5つの要素“ROOTS”とは

ポジティブ・コーチング・アライアンスのオンラインコースでは、子どもだけでなく、親も試合に敬意を表し、試合を尊重できる環境を作っていくには、どうしたらよいのかという具体的なアドバイスをしています。
 
まず、フェアな試合を支える5つの要素を“ROOTS”という言葉で表現しています。
 
RはRules(ルール)。
 
ルールは、自分たちのチームと対戦相手がフェアに戦えるように時間をかけて作り上げられてきたものです。ルールに則ってプレーしなければいけません。レフェリーが見ていないからといって反則プレーをするべきではありません。コーチや親である大人はこれを子どもに伝える必要があります。
 
OはOpponents(対戦相手)。
 
対戦相手なしに試合をすることはできません。プレー中は自分たちが勝つためにベストを尽くして戦いますが、いったんプレーが止まれば、対戦相手には友好的に接します。具体的には笛でプレーが止まれば、倒れている対戦相手に手を差し伸べるなどです。
 
OはOfficial(レフェリー)。
 
子どもだけでなく、観戦している大人でも、自分のチームに不利なコールや我が子に不利なコールがあれば不満に思います。ポジティブ・コーチング・アライアンスでは、たとえレフェリーのコールに同意できなくても、レフェリーに敬意を払わなければいけないと教えています。
 
TはTeammates(チームメート)。
 
フィールドの内外でチームメートを辱める言動をしてはいけません。チームメートはスポーツの場では家族や兄弟姉妹と同じです。
 
SはSelf(自分自身)。
 
たとえ対戦相手が悪い態度であっても、サイドラインからレフェリーを罵る観客がいても、自分自身は試合を尊重するためにどのような姿勢であるべきかを子ども自身に考えてもらいます。ひとりひとりの姿勢が試合を尊重できる環境をつくっていくのだと子どもたちにも伝えます。
 

■我が子のサッカー観戦で守るべき4つのルール

では、親たちは「試合を尊重できる環境づくり」のために、具体的にどのようなことができるのでしょうか。お子さんのサッカー観戦時に、心掛けてみましょう。
 
1.試合が終わったら、親もレフェリーにお礼を言う、握手をする。
たとえば、自分の子どものコーチがレフェリーのジャッジに腹を立て、レフェリーを罵るような態度や言動をしたときでも、試合後にはレフェリーをしてくれたことに対してお礼を言うようにとオンラインコースでは薦めています。レフェリーも人間ですからミスジャッジはあります。ミスジャッジがあっても、審判をしてくれたことに感謝するべきだとしています。レフェリーがいなければ、試合はできないからです。
 
2.相手チームであっても良いプレーには声援を送る。
親がフィールドの外から、敵チームに野次を飛ばし、相手チームの親を敵視することは、フィールドでプレーする子どもたちや、ベンチで出番を待つ子どもたちに良い影響を与えません。応援する親の態度は、ゲームに敬意を表するような環境が作れるかどうかの大きな要素です。
 
3.チームメートの親がレフェリーに激しく抗議し、相手チームを罵っているときには、どうするか。
ポジティブ・コーチング・アライアンスでは、正解はないとしていますが、いくつかの提案をしています。チームの応援用の横断幕を作るときには、「試合に敬意を」などの文言を大きく書き入れておくこともひとつです。ポジティブ・コーチング・アライアンスでは、希望者には、このようなシールも配布しているそうです。事前にチームとして試合を尊重する態度の重要性についての話し合いや合意があるかどうかによって、かっとしたひとりの親に同調して火の油を注ぐか、沈静するかが分かれます。
 
また、日頃から親同士のコミュニケーションがとれていれば、かっとした親の肩や背中を軽くトントンと叩いて、怒りは理解できるが、落ち着きを取り戻すように促すことができるとしています。自分の頭をトントンと叩くことで「熱くなっているよ」というメッセージを送る方法もあるそうです。
 
4.かっとしたときに落ち着くための方法を用意しておこう。
自分自身がかっとして、試合中にレフェリーやコーチに文句を言いたくなったり、相手チームの選手を悪く言ってしまったりという傾向を自覚できている場合は、前もって落ち着くための方法を考えておきます。たとえば、20から1までを数えてみる。深呼吸をする。試合の場から少し離れたところまで歩くなどです。
 
次ページ:隣の野次を見ているだけは、子どもに"黙認している"と受け取られる
 

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