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お父さんコーチ必見!現役時代とこんなに違う サッカー今昔物語

【熱中症対策】これぞ最新決定版! 「何をいつどうやって飲むのか」 意外と知らない水分補給のポイントを伝授

公開:2017年7月10日 更新:2019年5月22日

キーワード:サーモス水分補給熱中症

サッカー少年を持つ親御さん世代で、トレーニング中に「水を飲むな」と怒られた経験を持つ方も多いのではないでしょうか? 最近でこそ、熱中症や脱水症対策のための水分補給の重要性が広がりをみせていますが、それほど遠くない昔、水分補給への理解が進んでいない時代があったことも事実です。
約20年くらいの間に、大きな変化が見られる"水分補給事情"ですが、現在でも、「とりあえず水を飲めばいいんだよね?」と、理解が進んでいない現状も少なからずあるようです。当然、飲まないよりは飲んだほうがいいことに違いはないですが、実は、水分の種類や飲むタイミング、分量など、飲み方も大事なポイントです。
水分補給は、高温多湿な今の季節に限らず、年間を通して気をつけなければいけないことです。熱中症などの障害やケガだけではなく、選手のパフォーマンスにも関わってきますので、いま一度、水分補給について学んでみてはいかがでしょうか。
前回はサッカーのルールなどの「今昔物語」をお送りいたしましたが、今回は、上尾中央総合病院のスポーツ医学センター長及び日本サッカー協会スポーツ医学委員であり、長年にわたってFC東京でチームドクターを務めてきた大塚一寛先生に、押さえておくべきポイントや、詳しい補給方法など、スポーツの現場における"水分補給の極意"を伺いました。(記事提供:サーモス
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(脱水症状、熱中症対策に水分補給は必須です)
<熱中症とは>

「熱中症」とは環境省熱中症予防情報サイトによると、高温環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称です。

夏だけでなく冬にも、室内でも起こります。

気温が高い場所や湿度が高い場所に長くいると、体温調節機能が上手くはたらかず、体の中の熱を外に逃がすことができなくなってしまい体温が著しく上昇したり、大量の汗をかくことで身体の水分や塩分(ナトリウムなど)が失われ頭痛やめまい、筋肉のこむら返りなどを起こしてしまいます。

死に至る可能性のある病態ですので甘く見てはいけませんが、正しい予防法を知っていれば防ぐことができるので、ぜひみなさんも正しい知識を持ってお子さんのサッカーを応援しましょう。

■水分が1パーセント低下すると動きが鈍くなる

「昨シーズンのJリーグの試合でも、試合後に選手が脱水症を起こしてしまったことがありました」。現在J1リーグを戦うFC東京で1996年からチームドクターを務めてきた大塚先生が明かしてくれました。
意外と知られていませんが、トップカテゴリーで戦う選手でも、脱水症や熱中症を起こしてしまうことがあります。つまり、年齢や性別を問わず、誰にでも起こるということです。特に、集中力が高まり、興奮状態にあるスポーツの試合中などは、自分の体の変化には気が付きづらいため、より意識を置く必要があります。水分の不足によって生じる障害は、水分補給への正しい理解と、自分の体と向き合うことで予防できます。
高温多湿な今の季節だけではなく、一年間を通して注意が必要ですから、みなさんも改めて意識してみてください。
では、そもそもなぜ水分補給が大切なのでしょうか。それは、人が「汗」をかくためだと言えます。「尿や便でおよそ1.3リットル、汗で1.2リットルほどの水分が排出されます。ですから、それと同じ分量の水分摂取が必要です。そのうち、食事などで1リットルくらい摂取できるので、残りの1~1.5リットルは飲料で摂取します」。
スポーツ時には、運動量や外気温によっても異なりますが、1時間で約1リットルの汗をかくこともあるので、失われた分の水分は、その都度、きちんと摂取しないといけないのです。
体内の水分が不足すると、脱水症や熱中症を引き起こす原因になると同時に、パフォーマンスの低下を招いてしまいます。下記に示している通り、例えば体重40kgの子どもであれば、わずか400 mlの水分が失われるだけで、少しずつ動きが鈍くなってしまうようです。
 熱中症対策にも重要なポイント 
<水分の低下率とパフォーマンスへの影響>
・1%低下......パフォーマンスの低下が始まり、徐々に動きが鈍くなる
・2%低下......喉の渇きを覚え始め、パフォーマンスは確実に低下。自覚症状は少ない
・3~4%低下......疲れや苦しさが出て、自他ともにパフォーマンスの低下を認識する
・5%以上低下......吐き気やめまい、意識障害などの危険もある。運動の継続が困難になる
体内を流れる血液からも水分が減り、徐々に血液の粘度が増してドロドロの状態になると、血液循環が悪くなります。脳や体全体の細胞へ酸素や栄養の供給が遅れてしまうことで、体の反応が鈍くなり、運動能力が低下してしまいます。
そういう状態でプレーを続けることでケガを誘発しやすくなりますし、非常に危険です。「喉の渇きを覚える前に水分補給しましょう」と言われるのは、こうした理由もあるようです。

■適切なタイミングで適切な分量を摂取すること

では実際に、どのようにして水分補給をするのがいいのでしょうか。
・運動前......運動30分前に、250~500mlの水分を飲む
・運動中......1時間の間に、15分を目安にコップ一杯程度(100~250 ml)ずつ水分を飲む
・運動後......体重減少量の2分の1~4分の3程度の水分をゆっくりと飲む
運動前後で体重を計ることができる場合、減少分の2分の1~4分の3程度の水分をゆっくりと飲むことが良いとされています。例えば、体重が500グラム減少した場合は、350~400mlの水分補給が必要です。体重測定が難しい場合でも、運動後には少なからず体重が減っているものなので、必ず水分を摂取することが大切です。また、この時に注意したいのが水温です。ついつい、冷たいものを飲みたくなりますが、冷たすぎると体に負担が掛かるため、適切な温度は5℃~15℃だと言われています。

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(スポーツの現場に携わる大塚先生自身が、プライベートでサーモスの魔法びんを愛用しているとのことで、その機能性は折り紙付き)
盲点としては、「水の過剰摂取」は逆に危険だということです。血中のナトリウム(塩分)濃度が低下してしまうことで、熱中症や熱疲労と同じような「低ナトリウム血症」を引き起こすことがあります。こうした危険は、塩分をきちんと含んでいるスポーツドリンクを摂取することで回避できますが、ここでも注意が必要です。
「スポーツドリンクには糖分も含まれているので、過剰な摂取には気を付けてください。また、運動前のジュースの摂取は、血糖値が急激に上がり、インスリンショックの危険もあるので控えましょう。そのほか、コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるカフェインやカテキンは利尿作用があり、逆に脱水症になってしまう可能性があるのでお勧めできません」
水分補給は適切なタイミングで適切な分量を摂取することが何よりも大切です。

■水分補給は子どもに伝えるべき"作法"

【水分補給のポイント】
・お勧めの水分......スポーツドリンク(水温:5℃~15℃)
・飲むタイミング......運動前、運動中、運動後(合計約2リットル程度)
※注意点:過度な「水」の摂取は禁物。緑茶やコーヒーは非推奨。運動中は水分が1%低下するとパフォーマンスが落ち始める。
現在では、水分補給の重要性が啓発され、浸透してきたことで、実際の現場で起きる症例数も減ってきているそうです。「昔は、子どもの体が今よりもタフだったかもしれないですし、現在の年間平均気温の高騰も、熱中症や脱水症を引き起こしやすいことの一因かもしれません。ただ、減っているとはいえ、なくなったわけではありません。今は魔法びんのスポーツボトルなども進化し、より適切な水分補給ができるようになりましたから、子どもも、引率や観戦する親御さんを含めて、"スポーツボトル文化"を広めていくことが大切です」。魔法瓶のスポーツボトルは冷たさが持続するので熱中症対策にも最適です。子どもだけではなく、親御さんが心掛けることもたくさんありそうです。
大塚先生は、水分補給を「作法」だと言います。「挨拶をしたり、玄関で靴を揃えるのと同じように、水分摂取について子どもに教育することが大切です。きちんと朝食を摂ることなども含めて、日頃から水分を摂ることを親が実践しながら、子どもにも伝えていってもらえたらと思います」
時代が変わっても、水分補給の重要性は変わりません。サッカーをするお子さんを持つお父さん、お母さんはぜひ、基本を学び、日常的に適切な水分補給をしていくことを心掛けてみてください。
次回はお父さんコーチが現役時代はなかった「RICE処置」など、かつてとは常識が大きく変わった「ケガの応急処置」について、子どもたちの安全なスポーツ環境を構築するための情報を発信する『スポーツペアレンツジャパン』の代表にお話を伺います。
大塚一寛(おおつか・かずひろ)/医師
上尾中央総合病院整形外科・スポーツ医学センターセンター長。1996年からFC東京前身の東京ガスF.C.のドクターを担当。1999年からFC東京としてJリーグ参入とともに帯同を続け、現在は同チーフドクター。そのほか、『日本サッカー協会スポーツ医学委員』や、『Jリーグチームドクター会議部部会長』を務める。多数の講演にも出演し、現場のノウハウや選手のケガ、障害予防などの啓発活動も積極的に行っている。

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