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あなたの支え合う心が、子どもの成長を加速させる
レギュラーの座を守りたい!けがをした子どもが焦っているとき、あなたならどうする?
公開:2016年3月 7日
あなたのお子さんは、けがをしたことがありますか?
けがをして一番辛いのは子ども自身ですが、大きなけがにならないか、成長に支障を来たす障害は残らないかと、親も心配が尽きません。大きなけがをした競技者の多くは、けがをしてから復帰までの道のりに大きな悩みがつきまとうと言います。
今回は、こくみん共済SCの竹原かなえさんが主人公。けがをした息子をどう支えるか。それは竹原さんが考えているよりもずっと時間のかかることでした。近年は、子どもの身体、成長を第一に考える治療やリハビリ、復帰方法への理解が進んでいますが、「レギュラーの座を守りたい」「早くボールを蹴りたい」「試合に出たい」という子どもたちの焦りを抑えるのは大変です。そんなとき、親は、コーチは、チームメイトの親やチームには何ができるのか?正しい復帰のプロセスについて学んでいきましょう。(取材・構成 大塚一樹 監修 金成仙太郎[国際スポーツ医科学研究所])
今回、読者の疑問に答えてくれる『こくみん共済SC』のメンバーはこの人
竹原かなえ(32歳)
【職業】OL 兼 主婦
【チームでの枠割】最年少ムードメーカー
【応援スタイル】[涙腺崩壊型]
息子がサッカーをはじめて自分もママさんサッカーをはじめた。昔から運動神経はいいほうで、サッカーも順調に上達。プレーするむずかしさが分かっているから、ちょっとしたプレーができるようになっただけでも感動して涙腺が潤む。最近は、コーチにどなられてもへこたれずにプレーする息子の姿に泣いた。
【備考】
チーム最年少の頑張り屋さん。年下だがコミュニケーション能力が高く、ほかのママさん達とも仲が良い。とくに、引っ込み思案の加藤さんとは仲良し。息子は母親とは違いおとなしい性格で、試合で活躍するタイプではない。けど、活躍しなくても頑張っている姿をみるだけで十分と思っている。中学でもサッカーをやりたいと言っているが、進学する予定の中学のサッカー部はあまりいい噂を聞かないから心配している。
※このキャラクターはフィクションです。登場する人物、団体名は実物のものとは関係ありません。
■ボールが蹴れない! サッカーでのけがで一番辛いこと
子どもがけがをして一番辛かったのは、「治るまでボールを蹴ることができない」ということでした。
うちの子はどちらかというとおとなしく、感情を表に出さないタイプ。サッカーができなくても毎日練習に行く姿を見て「この子、サッカーが大好きなんだな」と改めて思いました。
竹原かなえさんのお子さんが、けがをしたのは先月の試合でのこと。接触プレーで痛めたふくらはぎは打撲と診断されました。
「骨に異常がなくてよかったね」
病院からの帰り道、助手席の息子にこう話しかけました。
「次の試合出られるのかな・・・・・・」
竹原さんは、寂しそうにつぶやくわが子に「打撲なんだし、すぐ治るよ」と声をかけました。
とはいえ、相手の選手のヒザが思い切りふくらはぎに入った瞬間を目の当たりにしたときは、大きなけがをしたのではないかと、気が気ではありませんでした。ふくらはぎはカチコチ。パンパンに腫れている右足を見て、不安にならないわけがありません。
(どれくらいで動かして良いんだろう? 病院の先生は、10日もすれば痛みはなくなると言ってたけど……)
息子に大丈夫と言ったものの、竹原さんに打撲がどれくらいで治るのか、何に気をつければ良いかなどの知識はありません。
腫れは3日目に引きましたが、焦ってはいけないと思い、1週間は練習を休んで様子をみることにしました。
※
「ねぇ、ボール蹴ったりはできないけど、練習に行ってもいい?」
息子の気持ちはよくわかります。私もママさんチームでサッカーをはじめてから、ボールを蹴るのが楽しくて仕方ありません。息子がけがをしてからは、わたしがサッカーを楽しんでいたら彼も蹴りたくなるだろうと思い、練習にも行っていません。しかし、ボールを蹴れなくてもそこに行きたいという気持ちもわかります。まだ痛みはあるようですが、チームメイトに会いにいくのもいいかなと、練習に行ってみることにしました。
もちろん平川コーチは、温かく迎えてくれましたが、練習の輪から外れてグラウンドを見つめる息子は、とても寂しそう。ボールを蹴れないストレスは相当なようで、家でこっそりボールを蹴ろうとすることもありました。
「早くボールを蹴りたいよ」
そう訴える息子にコーチはこう言ったそうです。
「その気持ちはわかるけど、いま焦って完治する前にボールを蹴り始めると、けがが長引いて結局もっと休まなければいけなくなるよ。サッカー選手にけがはつきものだけど、良い選手はけがの治し方もうまいんだ」
コーチの話を息子から聞いて、私自身、気がつかないうちに焦っていたのかもしれないと思い直しました。はじめのうちは、けがをしているときに練習に来ても居場所がないんじゃないかと心配していましたが、「練習を観ること、自分ならどうするかを考えることも練習だ」とコーチに教わって、息子がグラウンドに向ける眼差しから、寂しさが消えました。
※
■復帰に焦りは禁物 段階的復帰で再発防止
「経過は順調ですね。2週間休んだから筋肉も落ちてると思うけど、焦らないでゆっくり動いてみて」
痛みが引くと言われた10日よりは時間がかかりましたが、2週間後に病院に行くと、先生から運動OKのお墨付きが出ました。「打撲ってもう少し早く治るんじゃないの?」と思っていた竹原さんは「本当に打撲?」「骨に異常があるのかも」と、不安な毎日を過ごしました。
そんなとき、支えてくれたのが、平川コーチをはじめ、チームメイトのお父さんお母さん、サッカーでのけがの経験のある嶋津さんや、お子さんの捻挫を機にけがについて勉強をはじめたという佐藤さんら、こくみん共済SCの仲間たちでした。実際問題、けがに対する保険の手続きなども、佐藤さんにかなり教えてもらいながら進めました。
「コーチがさ、明日からボール蹴っても良いって。楽しみだなぁ」
練習再開後も、コーチの指導の下、いきなりみんなと同じメニューでの練習復帰とはならなかったのも竹原さんには意外でした。
練習を手伝っていた嶋津さんが「休んでいたからというのもあるけど、様子を観ながら段階的に復帰していかないと痛みが戻ったりするんだよ。動いてみて痛がるようなら教えてくださいね」と、声をかけてくれました。
治りが悪いけがというのは、治りきる前に練習に戻って、同じ箇所に再びダメージを与えてしまうケースが多いということです。
「まだまだ勉強しなければいけないことがたくさんあるなあ」
子どものけがをきっかけに、いろいろなことを学んだ竹原さん。完全復帰までの道のりはまだまだ長そうですが、笑顔でボールを追うわが子を観ていたら、2週間ほど抱えていた不安な気持ちが徐々に晴れていくようでした。
■竹原かなえさんのけがの保障に関する疑問
「打撲だからと甘く考えていたけど、通院にかかる負担はいろんな意味で結構大変。チームで保険に入っているのはわかるけど、保障のことを考えたら何がどこまでカバーできるのかみんなが知っておく必要があるのかも?そういうことを話し合うのって敷居が高いけど、けがをしてからじゃ遅い!」
▼この連載の過去記事はこちら!
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取材・構成 大塚一樹 監修 金成仙太郎[国際スポーツ医科学研究所]
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