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小学生GK必見、初めてGKをやる子に知ってほしいGKの基本動作と練習法
公開:2019年8月13日 更新:2020年10月22日
キーワード:ペイコビッチ,ヤン・オブラク,ジャン・オブラック,ハンダノビッチ,インテル,アトレティコ・マドリード,GKクリニック
サッカーにおいて、重要なポジションであるゴールキーパー。しかしながら、ジュニア年代でGKコーチの専門的な指導を受けられる機会は少なく、向上心を持った小さなGKたちにとって、成長しづらい現状があります。そこでサカイクでは、ジュニア年代のGKに向けたGKクリニックを実施しました。
教えてくれるのは、イラク代表GKコーチのニハド・ペイコビッチ氏。かつてスロベニア代表のGKコーチとして、アトレティコ・マドリードの守護神ジャン・オブラック選手や、インテルで活躍するハンダノヴィッチ選手を指導した、インターナショナルレベルのGKコーチです。(取材・文:鈴木智之)
■まずはGKの基本「正面キャッチ」 キャッチのしかた、手の位置
ペイコビッチ氏が教えるGKの基礎。最初は顔の前あたりに飛んでくるボールに対するキャッチの仕方です。ペイコビッチ氏は考え方として「ボールをつかむのではなく、両手で作ったネットの中に、収まるようにキャッチしよう」と説明します。
「まず両手を揃えて顔の前に伸ばし、三角形を作ります。両手をネットのようにイメージし、そこにボールを収めましょう。この時にやりがちなのが、両手でボールを挟んでつかもうとしてしまうこと。両手で三角形を作り、肘を少し前に伸ばして、そこにボールをはめ込むようなイメージでキャッチします」
次のポイントは、ボールをキャッチする位置です。
「ボールは顔の前ではなく、顔から少し離したところで捕ります。なぜ顔の近くでキャッチするのが良くないかというと、ボールに勢いがある場合、体が後ろに流れてしまい、後退した結果、ゴールに入ってしまう可能性があるからです」
ペイコビッチ氏は「GKのプレーは受け身ではなく、ボールに対してアタックすること。これが、日本と欧州のGKのプレーに対する考え方の、一番の違いです」と話し、基本プレーのキャッチから「前方で捕る」「ボールにアタックする」という部分を強調します。
■ボールをキャッチするときの基本姿勢
次は、ボールを捕るときの姿勢です。ペイコビッチ氏は実演を交えて説明します。
「正面のボールをキャッチする時の姿勢は、膝を少し曲げてお尻を後方に出し、上半身を前方に傾けます。腰の位置や背中の反り具合、前傾姿勢を意識して、正しい姿勢をとること。動きの基礎を作るジュニア年代では、何より構えの基礎を体に染み込ませることが大切です。膝を伸ばしてまっすぐ立つと、ボールの衝撃を受けやすくなるので気をつけてください」
前傾姿勢のポイントは、かかとを少し浮かし、足の指で立つこと。そうすると足の指に負荷がかかるので、それをエネルギーとして使い、ボールにアタックしに行きます。
ここでは、トレーニングを通じて体に動きを染み込ませていきます。最初は置いてあるボールに対して、倒れながら手を伸ばし、セービングの基礎動作を体験していきます。
やり方としては、斜め前方(左右同様)にあるボールに対して、両膝を地面につけた状態でスタートします。右斜め前方にあるボールに対してセービングする場合、右膝をボールの方向へ出し、お尻を落として勢いをつけた状態で体を低くし、手を伸ばします。そして体を横に倒してボールの後ろ側に右手を添え、ボールの上から左手をかぶせるようにして抑えます。
ペイコビッチ氏は「ボールの方向に対して、膝をしっかり前に出そう」と声をかけ、動きの第一歩を確実にする実行することに注意を向けていきます。さらに、ここでもボールをつかむのではなく、右手を添えて、左手をかぶせるという指導を行っていました。
■痛くない転び方を覚えればケガ予防にも
正面のボール、足元の斜め前方のボールのキャッチの仕方、基本姿勢を繰り返しトレーニングしたところで、次は「痛くない着地の仕方」をレクチャー。GKにありがちなのが、浮いたボールをキャッチした後、地面に倒れ込むときに膝やひじを強くついてしまうこと。深刻なケガにつながるだけに、注意が必要です。
浮いたボールをキャッチするときも、ペイコビッチ氏は「ボールを手でつかみに行くのではなく、両手がネットになったイメージで抑える」ことを強調。そして、ボールから先に地面につき、その後、ふとももの外側(お尻の側面あたり)をついて倒れていく動作を繰り返し、行っていきました。
「ボールから地面につくのは、最初は怖いかもしれないけど、怖がってひじや膝から地面につくと、ケガをするしボールをこぼしやすいので、正しい倒れ方を覚えましょう。トレーニングをする時は、長いズボンを履いたり、ひじ当てのあるウェアを着ることで思い切りプレーをすることができます。ボールから地面につくのを怖がると、ひじやひざから地面につくことになるので、ケガをする恐れがあります。何も考えないでプレーすると、何千回やっても身につきません。動作はゆっくりで良いので、学びながらやること。そうすれば身につき、上達していきます」
ペイコビッチ氏はトレーニング中、子どもたちのプレーの細部を見逃さずに修正し、正しい動きを繰り返すように導いていました。GKの基礎プレーは決して派手なものではありませんが、動きのベースづくりとして、とても大切なもの。子どもたちは、普段アドバイスされたことのない部分への指導もあり、多くのことを学んだようです。
次回の記事では、オブラック選手のエピソードなど、良いGKになるための考え方について、ペイコビッチ氏のアドバイスを紹介します。
▼ペイコヴィッチ氏の指導理論を詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
スロヴェニアのGKの育成方法とは?/世界で活躍するGKを育ててきたペイコヴィッチ氏が語るトレーニング理論
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