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ボールを前進させるために「相手の足を止める」。実戦形式で、個人戦術とグループ戦術を高めるトレーニング
公開:2024年4月19日
ボールを保持して前進させることは、サッカーにおける永遠のテーマでもある。育成年代において「チームとしてボールを動かすことはできるようになったが、なかなか前進することができない」という悩みをお持ちの指導者は少なくない。
そこで前回より、COACH UNITED ACADEMYでおなじみ、上田原剛氏によるトレーニングを公開中。
鹿島アントラーズのアカデミーで長く指導し、現在は蹴和サッカースクール代表として、選手だけでなく、指導者の学びを深める活動も行っている上田原氏による「相手を引き付けるための実践トレーニング」。
動画後編では、個人戦術とグループ戦術にアプローチしながら、集団でボールを前進させることにチャレンジしていく。(文・鈴木智之)
※この記事はCOACH UNITEDからの転載です
相手を引きつけてパスを出す
相手を引き付けるための実践トレーニング。
後編最初のトレーニングは「3対2(4ゴール)」。縦30m×横20mのグリッドで両サイドにミニゴール(アルファゴール)を2つずつ置き、3対2を実施。グリッドの中央に線があるので、シュートはそこを越えてから打つというルールだ。
上田原コーチはまず「相手を引きつけてパスを出そう。誰をフリーにできるかな?」と強調。さらに「高さの調整はどうするんだっけ?」「シュートを打つ選手がフリーになる状態を、どうやって作る?」などの質問を投げかけ、選手たちが考えてプレーするようにうながしていく。
さらに「3対2は、局面では2対1が2つあるよね。そこで、どっちの2対1を使うかが大事」と話し、グリッドの中央でボールを持っている選手に対して「もし相手が奪いに来ないのであれば、前にボールを運ぼう」とアドバイス。
続いて、ボール保持者がドリブルでボールを運ぶことで、相手の守備が前に出て奪う、もしくはパスコースを塞ごうとするので、そのタイミングでサイドにパスを出すと、味方が優位な状態でパスを受けられることを実演。
ボールを持っている選手に対して「相手(守備の選手)の足を止めることを意識しよう。そうすることで、守備の選手が戻る時間が遅くなる」と説明していた。
これもシンプルだが、重要なアドバイスだ。次の局面で味方をプレーしやすくするために、意識させたいポイントである。相手の足を止めることの重要性
2つ目のトレーニングは「3対2(2対1+1対1)」。グリッドの設定は先程のトレーニングと同じで、攻撃側はライン突破、守備側はゴールにパスを目指す。
ここでも、ワンタッチでパスをした選手に対して、状況を観てパスのタイミングを遅らせることで「相手の足を止められるよ」と指摘。
一度ボールを足元に止めることで、守備の動きが止まる。そして次のタイミングでサイドの味方にパスを出すことで、味方が有利な状況で次のプレーに移ることができる。その違いは、動画でチェックしてほしい。
続いて、サイドで2対2の同数になった場合、逆サイドにいるフリーの味方を素早く使うことの重要性をデモンストレーション。
全体では3対2の数的優位なので、片側で同数になるイコール、逆サイドにフリーの味方がいるということ。その状況をいち早く察し、フリーの味方へパスを送りたい。これも認知・判断における重要な部分である。
攻撃時に幅と高さを意識させる
最後は「3ゾーンゲーム」を実施。縦40m×横20mのグリッドを3つに区切り、選手を互いに2-2-1で配置。攻撃側は自由に移動できるが、守備側は自分のゾーンしか動いてはいけないというルールだ。
これまでトレーニングしてきたことを、実戦形式でチャレンジしていく。
上田原コーチは「どこを観ている?」「相手の足を止める」「なるべく奥の選手を観よう」と、これまでトレーニングしてきたことを中心にコーチング。
ここで重視したのが、攻撃時に幅と高さをとること。サイドの選手が幅をとっていたら、相手の選手を引き付けることができ、中央にスペースができる。
もしくは前線の選手が高さをとっていたら、中央にスペースができる。このように、ボールに関与していなくても、立ち位置によって味方に良い影響を与えることができることを伝えていった。
最後は守備もゾーン関係なくプレーし、濃密なトレーニングは終了。
上田原コーチは「今回のポイントは、コーチングをし過ぎないこと。コーチングをしなくてもルールやオーガナイズ、その他の制約によって、出したい現象や獲得してほしいことが、自然と出るような工夫をして行いました」と振り返った。
的を絞ったコーチングに加えて、トレーニングオーガナイズによって、狙いとするプレーを導き出す方法は、ぜひ動画で確認してほしい。トレーニングの参考になること、間違いなしだ。
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【講師】上田原剛/
15 歳の時にジーコにスカウトされ、鹿島アントラーズユースへ入団。その後大学を経て、Centro de Futebol Zico( 通称CFZ/ ブラジルにあるジーコのサッカーチーム) にて指導者のキャリアをスタート。帰国後は、15年間鹿島アントラーズのアカデミーにて指導。2021 年に蹴和サッカースクールを立ち上げ、同時に指導者向け講習会もスタート。これまでに関わった子どもたち、選手たちは約10万人、そのうち現在16名の選手が国内外でプロとして活躍している。
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