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2CBと3CBそれぞれのビルドアップの特徴とは?各システムの抑えておくべき要点とトレーニングの構築法

公開:2024年7月13日

キーワード:COACH UNITED ACADEMYcoachunited指導者練習メニュー

ジュニア年代は8人制が採用されているが、サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」会員にアンケートをとったところ「3-3-1から2-3-2にシステムを変更すると、ポジショニングやボール運びが上手くできず、苦戦している」という声が寄せられた。

そこで前回より、COACH UNITED ACADEMYでは筑波大学大学院でコーチングの研究を行い、指導を実践する内藤清志氏による「8人制サッカーの2センターバック時と3センターバック時におけるビルドアップの違いや特徴」を動画配信している。

後編では、2センターバックと3センターバックの特徴と、トレーニング構築方法について解説を行っていく。(文・鈴木智之)

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3CBのビルドアップで大切なのは「身体の向きと角度」

まずは3センターバックの特徴について。8人制で3センターバックというと、3-3-1のシステムを用いることが多いが、内藤氏は「50mの横幅を3人で守るので、一人ひとりが守るエリアは3分の1になり、狭いエリアに多くの人数をかけることができる」と説明。

ビルドアップに関しては「相手のフォワードが2人の場合でも、相手のそれぞれのFWの左右のレーンにポジションを取ることが可能になり、横列のパス交換は比較的スムーズにできます」とメリットを挙げる。

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一方で、デメリットもある。最終ラインからビルドアップをする際、3−3−1となるとDFラインとMFラインが同じレーンに位置する可能性が高くなり、ボールが来る方向と相手ゴール(行きたい方向)が、異なる体の向きになりやすい。

そこでボールを受ける際に、ボールが来る後方と攻めていく前方を同一視できる、身体の向きや角度を作ることがポイントになる。

「サッカーでは『角度を取る』という表現をしますが、選手同士が縦‐縦の関係ではなく、前回の動画で説明した『1対0』の位置を取ることができると、ボールが来る方向ではなく、行きたい方向が見えるようになります」

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つまり、3センターバックは最終ラインに人数が多いので、前にボールを流しやすく感じるが、ボールの受け方、角度の取り方を工夫しないと、パスを出した先で相手のプレッシャーを受けやすくなってしまうので気をつけたい。

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2CBだと斜めに味方がいるケースが多く、前にボールが運びやすい

続いて、2センターバックのメリット、デメリットについて。2-3-2の場合、内藤氏は「GKを使いながら、斜めの角度を使いやすい」と説明する。

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「相手が1トップ(3-3-1)の場合、2センターバックでビルドアップをするときに、横に素早くボールを動かして、相手の1トップのプレッシャーが間に合わない方から前進します。そして、ボールに近い位置にいる、相手の2列目の選手の立つ位置によって、左右、前へとパスコースが生まれやすくなります」

2-3-2の場合、基本の立ち位置が、縦のレーンに味方がいない状態なので、相手との相対性を考えるとパスコースが出現しやすい。なぜかというと、相手は基本的にはボール保持者に正対するからだ。

2-3-2を用いると、正対する相手に対して、味方のパスコースは斜めであり、相手がそれに対応する立ち位置を取れば、ドリブルで前進できる可能性が高くなってくる。ビルドアップを水の流れに例えると、水が流れやすくなると言える。

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「3センターバック(3-3-1)の場合、縦のレーンに人が立っているので、斜めのコースは作りにくかったですが、2センターバックの場合、一つ前のエリアの選手は、基本の立ち位置が斜めのポジションです。守備の原則から言うと、正対すると斜めのコースが空き、斜めのコースを切るのであれば、前に持ち出しやすくなります」

どのシステムにもメリットとデメリットはある。内藤氏は「そこを指導者が認識する、あるいはプレーを通じて、選手たちと共有していく作業が大事」と投げかける。

ビルドアップに必要不可欠なのが「有効的な立ち位置と基本技術」

ほかにも「ビルドアップの目的は、相手ピッチにボールを運ぶための基盤を作ること」「どこでプラス1ができるかを考える」といったキーワードを用いて解説。

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トレーニングの構築方法については「サッカーの特性を考慮する(3ライン、攻撃・守備の原理原則)」「相手との相対関係から考える」「ピッチ上のどのエリアなのかを考慮する(GKとの関わり)」といった観点で考え方を提示しているので、詳細は動画を確認してほしい。

最後に内藤氏は次のようなメッセージを送った。

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「なにより、子どもたちをしっかりと見てあげること。最終ラインからパスを繋いでも、自陣ゴール前で取られるのであれば、ひとつ前のゾーンの味方目掛けて蹴って、そのボールをどう拾うかを考えた方がいいかもしれません。確率の高い方を選ぶのは、勝負事の鉄則です」

さらに、こう続ける。

「練習の中で、戦術的に有効的な位置取りはどこなのか。その位置取りが効力を発揮している間に、パスのキャッチボールがうまくできて、前にボールを流せなければいけないわけです。そこには位置取りと、それに伴う技術(止める・蹴る・運ぶ)が必要になります」

子どもたちは、必要だと思えば自分で練習するようになり、一度成功すると、同じことを繰り返すようになる。

「指導者としては、プレーが成功、失敗した原因はどこにあるのかを、見る目を養っていってほしいなと思います」

動画を通じて、8人制サッカーの攻守において必要なことや、原理原則を整理することができる。基本に立ち返りたい指導者にとって、たくさんの学びを得ることのできる動画と言えるだろう。ぜひCOACH UNITED ACADEMYで繰り返し見て、日々の指導に役立ていただければと思う。

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【講師】内藤清志/
筑波大学を卒業後、同大学大学院に進学。それと同時に指導者を志し、筑波大学蹴球部でヘッドコーチなどを長く歴任。谷口彰悟や車屋紳太郎など日本代表選手を指導。その後、サッカースクール・ジュニアユース年代の指導を経験した後、現在は筑波大学大学院に戻り自身が所属するサッカーコーチング論研究室の研究活動の傍ら、サッカーの強化・育成・普及活動を行う。

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