少年サッカーチームの試合会場までの移動手段として、クルマに次いで多いのは、電車やバスになるでしょう。これらの公共交通機関は、年代、性別、文化を問わず、大勢の人々が共用しています。たとえ小学生とはいえ、最低限のマナーを身につけておきたいところです。
今回は、日本民営鉄道協会(※1)・日本バス協会(※2)のご指導のもとで、電車・バスを利用するときのマナーについて考えてみました。
※1:日本民営鉄道協会は、全国71の鉄道会社が加盟する一般社団法人です。
※2:日本バス協会は、全国2217のバス事業者の加盟する公益社団法人です。
■電車を利用するときは乗車時だけでなく、その前後でも注意が必要
・切符の購入やICカード乗車券のチャージは事前に済ませる
集団での乗車には、券売機付近の混雑を少しでも避けるという観点から、事前にチャージを済ませたICカード乗車券での利用が好ましいものです。改札口では、各自が切符やICカード乗車券を持ったうえで、ひとりずつ通過しましょう。ただし、混雑しているときには入出場を一旦待つなど、周囲への配慮を心がけましょう。
・大人数で乗り込まず分散して乗車をする
ひとつのドアに集中すると、乗降に時間を要してしまい、列車の遅れの原因になります。できるだけ少人数のグループに分かれて複数のドアを利用しましょう。
・座席は譲り合う
座席が空いていた場合でも、思いやりの気持ちをもって、小さい子ども連れや妊娠中の女性、体の不自由な方やお年寄りを優先しましょう。つり革に手が届かない子どもは、急な揺れやブレーキにそなえて、手すりにつかまっておきましょう。
・車内での飲食は節度をもって
電車内での飲食は、とくに禁止されている訳ではありませんが、密閉された車内では食べ物の匂いがこもりやすいものです。他の乗客が不快と感じることのないよう節度をもちましょう。
・荷物は他の乗客の迷惑にならないようにする
リュックなどの手荷物は前に抱えるか、網棚にのせる、足もとに置くなど、他の乗客の迷惑とならないよう工夫してください。網棚を利用する場合は、他の乗客が利用するスペースも考え、落下しないように荷物の置き方にも注意しましょう。荷物を足もとに置く場合には、乗降客の通行に妨げとならないようにしましょう。
・すべての子どもに目が行き届く人数で引率する
子どもたちが安全に電車を利用するためには、すべての子どもに対して目が行き届くだけの人数で大人たちが付き添わなければなりません。子どもたちが、ホームの端を歩いたり、動いている列車に近付いたりするなど、危険と思われる行為がないよう、十分な注意が必要です。とくに小さな子ども連れの引率者は、自分の子どもの手を離さないように気をつけてください。
・降車する駅を伝えておく
降車駅で子どもが降り損ねてしまうことのないよう、事前にどの駅で降りるのかを必ず子どもたち一人ひとりに認識させましょう。もしも、降り損ねてしまった子どもに連絡をとる手段がないときには、近くの駅係員あるいは乗務員に相談してください。
電車での移動に際しては、サッカーチームだけあって、最低でも11人の子どもたちが電車を利用するということ。つまり大人数での移動であることを念頭に入れ、「混雑や遅れの原因をつくらないようにする」、「他の乗客への配慮や思いやりの気持ちをもつ」ことが、大きなポイントとなるようです。
■発進・停車する回数が多いバスでは、転倒などを防止することが大切
・事前に“バスの乗り方”、“運賃の支払い方法”、“降車先”を伝えておく
バスの運賃は支払い方法に、先払いや後払いがあり、整理券が発行されるときもあります。支払方法がわからないために、後ろに並んでいる他の乗客を待たせることのないよう、子どもたちには事前情報として“バスの乗り方”、“運賃の支払い方法”、そして“降車先”を教えておきましょう。もし、降り損ねてしまった子どもがいた場合には、停留所にバス会社の電話番号が書いてありますので電話をして相談してください
・乗降口に立ち止まらない
一般の乗客から寄せられる集団での乗車についての苦情の多くが、「乗降口にグループで集まって乗り降りの邪魔になる」というものです。車内に乗り込む際にはドア口付近で立ち止まらず、後ろに詰めるようにしましょう。
・バスの車内では飲食をしない
バスは発進や停止を繰り返すことが多いため、食べ物や飲み物はこぼれて車内を汚す原因となります。また他の乗客の衣服や持ち物を汚してトラブルとなることも考えられますので飲食はやめましょう。
・運転の妨げになるようなことはしない
電車と違い、バスの運転席は乗客と同じ空間にあります。バスの中でさわいだり、あばれたりすると運転の妨げになります。バスが動いているときに車内を歩くことは大変危険ですので、絶対にやめましょう。着席中は、前のシートを叩いたり、蹴ったりしないようにしましょう。
・リュックは背負ったままでも大丈夫
子どもが、重いカバンを手に持って、揺れる車内で数十分も立っていることはなかなか難しいことです。無理をすると転倒の危険もありますので、リュックは背負ったままで大丈夫です。大きな荷物があるときは、足もとに置いてもよいのですが、置き忘れや乗り降りをする人の邪魔にならないようにしましょう。
バスを利用するときには、転倒などの車内事故を防止するということが大切になります。バスは普通の自動車とは違い、停留所があるので発進や停止をする回数が多く、車体が大きいためカーブや段差では大きく揺れることもあります。また、道路状況によっては、予期せぬことも考えられます。引率者は、これらのことを乗車前の子どもたちに伝えておき、走行中に立ち歩くような安全を左右する行為は慎むように心がけさせたいところです。
さあ、年も明けて、6年生は小学校生活も残すところわずかです。中学生になれば、保護者のクルマでの送り迎えはなくなり、たとえ、不便なところにある学校へでも、電車やバスを利用しなければなりません。4月になれば、否応なく自分たちの力だけで行動しなければならないのです。そのときになって子どもたちが戸惑うことのないよう、いまのうちから、遠征には積極的に公共交通機関を利用してみませんか。しっかりとしたマナーを身につけた子どもたちをジュニアユース年代に送り出してあげるのも、ジュニア年代に関わる大人たちの大切な役割のひとつなのではないでしょうか。
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取材・文/山本浩之 写真/サカイク編集部