親子でチャレンジ
サッカー選手の疲労回復にはマッサージ!目的や具体的なやり方を解説
公開:2015年1月 9日 更新:2026年4月27日
読者のみなさんは、熱心にサッカーをプレーする自分の子どもの姿をみて、「この子になにをしてあげられるだろう」とつねに考えているのではないでしょうか。
一緒に練習したり、栄養バランスを考えた食事をつくったり、ときにはサッカーで疲れている子どもの身体を労わり、疲労回復のためにマッサージを施すこともあるかもしれません。
「トレーナーのように疲れを和らげてあげることはできないけど、やらないよりはやってあげたほうがいいだろう」
そのような気持ちでマッサージをし、翌日の試合で子どもが活躍したら喜びもひとしおでしょう。
しかし、そこには思わぬ落とし穴があるかもしれません。
4年前の女子W杯優勝メンバー、澤穂希や川澄奈穂美も所属するINAC神戸レオネッサにて施術経験を持つセラピスト下川路さやかさんは言います。
「小学生年代のサッカー少年を子に持つお父さんお母さんは、子育てにとても熱心な印象を受けます。子どもになにかしてあげたくてマッサージをするケースがありますが、指圧が強かったり、間違ったやり方をしてしまうと筋肉が硬くなってしまい、逆効果になってしまう恐れがあります」
では、わたしたち親は、子どもにマッサージをしない方が良いのでしょうか? 下川路さんは続けます。「お父さんお母さんが正しいマッサージを行えれば、子どもの身体の緊張を和らげ、ケガの予防にもつながります。お父さんお母さんも簡単に覚えることができるマッサージ方法を、ぜひご家庭で試してみてください」
今回は、医学的知識を持たないお父さんお母さんでも、一日10分で子どもの疲れをとってあげることができるマッサージ法をご紹介します。
■マッサージの目的は?
そもそも、マッサージはどのような目的で行うのでしょうか。ここでは、サッカー選手にマッサージを行う主な目的について解説します。
■疲労回復
マッサージを行う主な目的は、疲労回復です。サッカーの練習や試合をすると、疲労物質がたまり筋肉の疲れを感じるようになります。疲れた状態をそのままにしていると、筋肉の緊張がなかなか取れずに筋肉が硬い状態になってしまいます。そして、この筋肉が硬い状態が続くと怪我をしやすくなるため、注意しなければなりません。
マッサージは、このような筋肉が硬い状態を解消し、疲労を取り除く役割を持っています。これは、マッサージをすることで血液循環を良くすることができ、疲労物質の排出を早めることができるためです。練習直後や試合直後などにしっかりとマッサージを行うことで、疲労回復を早めることができるでしょう。
■パフォーマンスの向上
疲労回復と関連する部分となりますが、疲労がたまり、硬くなった筋肉をほぐすことができれば、動きやすくなるため、結果的にパフォーマンスの維持・向上がしやすくなります。また、体が動きやすくなれば、怪我の予防にもつながるでしょう。
■怪我からの回復
サッカーをしていて怪我をすることは少なくありません。特に試合や練習が集中している時期は、使い過ぎによって怪我をしてしまうケースはよくあります。このような怪我に対する治療法の1つとしてマッサージが行われることがあります。
■お父さんお母さんがマッサージをするメリットとデメリット
具体的なマッサージ方法の前に、最低限のマッサージの特性を理解しておく必要があります。まずは、痛みを感じるほどの強さでマッサージすることのデメリットについて下川路さんに解説してもらいましょう。
「痛みを与えると、筋肉が緊張してしまいます。緊張するということは硬くなるということ。トリガーポイントなど、プロのトレーナーやマッサージ師は、痛みを与えても効果の出るポイントを心得ています。そういった心得をもたない人でもできるマッサージはあります」
つまり、痛みを与えずにやわらかい筋肉を触るマッサージ。練習や試合をすると身体が硬くなることもあります。お父さんお母さんにできることは、そのように蓄積されていく疲れや身体の硬さを和らげてあげることです。
「スキャモンの発達曲線を見るとわかりますが、10歳~12歳の間は神経系が発達します。けれど筋肉の発達は大人の半分程度です。さらに、これは個人差もありますが、10歳ころから突入する第二次成長期になると、骨が急速に成長します」
オスグッドやシンスプリントなどのスポーツ障害は、成長期に多く起こります。これは、骨の成長に筋肉の成長が追いつかないことで起こります。
「骨の成長についていけない筋肉を、練習や筋トレで過度に負荷をかけて硬くしてしまう。その硬くなった筋肉でさらにトレーニングをするので、さらに硬くなってしまう。それを和らげてあげることで、ケガや成長痛の予防になります」
また、下川路さんは身体をケアすること以外にもメリットがあると言います。
「親子間のコミュニケーションにもなります。お母さんは子どもに触れることで気持ちを落ち着かせるホルモンが出ます。また、痛くないマッサージなので、子どもが『またやって』と近づいてきてくれます」
それでは、具体的なマッサージ方法をご紹介していきましょう。
■その1:お尻のマッサージ
お尻の筋肉が硬まってしまうと骨盤が後傾してしまい、腰痛やそのほかのケガの原因となってしまいます。お尻周りのマッサージのポイントは、仙骨と大転子の間の筋肉を揺らすように触ること。手のひらの手首に近い面を使い、筋肉の末端から徐々にほぐしていくと効果的です。力まかせに押すのではなく、自分の体重をうまく乗せることが疲れないコツです。
■その2:アキレスけん周辺のマッサージ
アキレス健を押すと痛いので、アキレス健を押さないように、真ん中の盛り上がっているか所ではなく、そのわきの少し溝になっている部分をかかとの方から上に押し上げてあげましょう。両手の親指でアキレス健を挟み筋肉を伸ばしていくイメージです。アキレス健は疲れが溜まりやすく筋肉が収縮しやすい個所なので、うまくできれば、子どもはとても喜んでくれるでしょう。
■その3:ふくらはぎのマッサージ
押すのではなく、手のひらで包んで滑らすイメージでマッサージしましょう。子どもの年齢や成長具合にもよりますが、男性なら片手でもOKです。お風呂上りの身体が温まった状態のときに行うとさらに効果的です。
■その4:ひざ裏のマッサージ
第二次成長期になると膝を悪くするサッカー少年がたくさんいます。膝の上に位置するももの筋肉が硬まることで、膝にかかる負荷が増しケガにつながることが多いので、ももまでしっかりほぐしましょう。痛みが出てしまったら、スポーツ整形外科に連れていきましょう。お父さんお母さんにできることはありません。お父さんお母さんにできることは、痛みが出る前にマッサージで疲労を和らげてあげることです。
■マッサージを行う際のポイント
マッサージを行う際には、いくつかのポイントがあります。まず、マッサージを行う際は、できるだけ皮膚に直接触れながら行うことが大切です。また、オイルやベビーローションなどを使ってマッサージを行う箇所への負担を減らすこともポイントとなります。
そして、マッサージは疲労回復を目的として行うため、疲労物質を心臓の方へと戻していくという意識で行いましょう。そのため、マッサージを行う際は静脈の流れをふまえて、体の末梢から中枢へと行うのが基本です。
そのほかにも、力を入れ過ぎないことも大切です。大人の力で子どもにマッサージをすると痛みを感じる可能性があるため、確認しながら行なってください。
うまくマッサージすれば、血流がよくなり、肌の色が明るくなってきます。
「それと、小さなころから触り続けてあげることで、筋肉が硬くなっているかどうかを子ども自身が認識できるようになります。自分の身体の状態を認識できるということは、自分で気になる箇所をストレッチしたりケアできるということで、とても大事なことです」
中学、高校に進み、いつの日か親の手を離れても、自分で自分の身体を守れる子どもに育ってもらうために、わたしたち大人になにができるのでしょう。まずは、正しいマッサージの方法を覚えることからはじめてみてはいかがでしょうか。
2011年よりINAC神戸レオネッサの女子サッカー選手のケアを担当。
関西に4拠点展開するキャラアロマテラピースクール主任講師。
10年以上講師としてプロのアロマセラピストを育成。
<資格>
・一般社団法人キッズ&ジュニアスポーツコンディショニング協会認定インストラクター
・IFA国際アロマセラピスト連盟 認定アロマセラピスト
・AEAJ アロマインストラクター/アロマセラピスト
・キャラアロマテラピースクール主任講師
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