世界最速のウサイン・ボルト選手の走りを思い浮かべてください。速く走る選手のフォームはとてもきれいです。ということは、フォームがきれいなら速く走れるということにもつながるのです。ゲーム中、常に全速力で走り続けるわけではありませんが、サッカーにも走る力は要求されます。速く走る術を、体育の家庭教師・都平さんが教えてくれました。
■地面は蹴るのではなく『押す』
走るというと、地面を蹴って進むことをイメージしがちですが、「それでは速く走れません」と都平さん。走っている時に、前に砂が飛んだり、足音がバタバタしたり、すり足になったりしていませんか? その走り方は正しい走り方ではありません。
走るとは『地面をつま先で押す→反動で膝が上がる』のくりかえし。
子供の筋力はまだまだ弱く、自分の筋力だけでは速く走れません。足で地面を押したときの反発エネルギーを使って進むと効果的に速く走れるのです。
トランポリンの上で走ることをイメージしてください。
トランポリンでジャンプをする時は、バネの反動があるので地上より高くジャンプすることができます。トランポリンでジャンプするように、地面をしっかりと押すと反動が得られ、膝が自然と高く上がり、前へ勢いよく足を出せるのです。
■基本のフォームを身につけよう
走る前にまずは、きれいに歩くことを練習しましょう。
内股や外股では、正しく足を運べずに怪我につながる可能性も高くなるのだそう。常につま先と膝を進みたい方向に向けることを意識して歩きましょう。片方だけ内股、外股というバランスの崩れた子もいますので注意して見てあげてください。足のバランスは大人になると関節が固まり矯正が難しくなります。今のうちに修正しましょう。
【 STEP1 】
かかとから着地し、つま先で地面を押して歩く
【 STEP2 】
正しく歩くけるようになったら、膝を90度まで上げて歩く
つま先と膝の向きは進行方向に揃える
これができたら、背伸びをするようにつま先だけでグッと地面を押しながらきれいに歩いてみましょう。
【 STEP3 】
膝を90度まで上げて足踏み。
だんだんと速度を速め地面に触れるのはつま先だけにし、身体を前に倒す。
身体を倒す角度は地面に対し45°。
あとは全速力で足を動かすのみです。
そうすると自然に足が前に出るはずです。頭から背中、後ろの足がまっすぐになっていて、上げている足が体に対して90度の位置にあることが、走るフォームの基本になります。
猫背では地面からの力を十分に吸収、発揮できないので、姿勢は正して練習しましょう。
<<地面を押す、膝を上げる感覚を掴むには>>
コーンなどを並べ、両足ジャンプで連続して飛び越す練習をします。これは、つま先で地面を押し膝をあげるトレーニングになります。膝は90度まで上げるイメージでトライしてください。
■走りにはバランス感覚も必要
手を横に振ったり(いわゆる女の子走り)、手をグルグル回したりしながら走る子もいます。
ついつい腕に着目して腕の振りを直そうとしますが、手が正しく前後に振れないのは、身体のバランスが悪いから。片方に傾く身体を、腕の反動で戻そうとしているだけなのです。
試しに片足で立たせて見てください。
片足立ちができないのではないでしょうか?
走る動作は歩く動作と違い、必ず浮いたあと片足で着地する場面があります。ここでバランスがとれないと、手の格好がおかしくなったり、まっすぐ走れない原因になります。片足でジャンプする練習で身体のバランスを戻しましょう。
<<身体のバランスを直すには>>
コーンなどを並べ、片足ジャンプで連続して飛び越す練習をします。この場合も膝はできるだけ上げるようにします(目指せ90度)。
さぁ、走りの基本フォームはマスターできましたか?
続いては、サッカーにおける走り方について解説します。
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都平 絵里さん//
とひら・えり。小学生時代はサッカー、中学・高校はバスケットボールの選手として活躍。
体育系専門学校在学中にパーソナルトレーナーの資格を取得し、現在は体育の家庭教師として、パーソナルトレーナーとして、サッカーチームに所属するジュニア選手の指導から、キッズや一般の小学生まで多くの子どもから大人にまで運動指導を行っている。
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取材・文/kilohana 前田陽子 写真/小川博久