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足の速さは親の遺伝が全てじゃない!ラダーを使ってスピードアップしよう 【谷コーチの解説動画レポート[後編]】

公開:2013年4月13日 更新:2023年6月30日

キーワード:コンディショニングスピードフィジカルラダートレーニング走り方

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どうすれば、速く走ることができるのだろう? どうすれば、速く動くことができるのかな? 「スピード」に関する悩みや疑問は、サッカーをしている人であればだれでも持つもの。そこで今回は、ヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチであり、スピードアップトレーニング「タニラダー」でおなじみ谷真一郎さんに、タニラダーを使って小中学生にスピードアップのクリニックを行ってもらいました。
後編は『走りやターンに必要な「推進力」を得るために重要なパワーポジションの探し方』と『突破を仕掛けてくる相手に対し、素早く対応するスムーズな身体の使い方』をレポートします。
映像は私用目的の撮影素材のため、一部見づらかったり、聞こえづらいところがあります。予めご了承ください。
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■TR3:パワーポジションの探し方

パワーポジションとは、『走りやターンなどの動作に必要な推進力を、もっとも得ることができる足幅』のことを言います。推進力は『地面反力』(地面を押して返ってくる力)から得ることができます。そこで、足幅の間隔が広すぎると地面を押すことができず、足幅が狭すぎても、得られる推進力が小さくなります。
谷さんは子どもたちを前に、こう説明します。「地面に足をついて、一番地面を蹴りやすく、力が跳ね返ってくる所を探してみよう」。そう言うと、デモンストレーションを始めました。「まずは肩幅で立って地面を押し、そこから少しずつ足幅を広げていこう。すると、『この足幅で地面を蹴れば、力が入りやすい。素早く動ける』という場所があるよね?」
子どもたちは谷さんと同じように、足幅を徐々に広げて、自分に合ったパワーポジションを探っていきます。「力んで地面を蹴らないように。自分のパワーポジションをみつけよう。そこに足を着ければ、速く動けるようになるよ」(谷さん)。
▼谷コーチの指導映像はこちらをご覧下さい
パワーポジションの探し方を解説(26:19~32:14の部分)>>
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パワーポジションはターンや方向転換などをスムーズに行うために、とっても大事なもの。読者のみなさんも自分なりのパワーポジションを探し、日々の動きで意識してみましょう。

■同じ半身の姿勢でも身体の使い方でスピードは変わる

1対1の守備をするとき、抜きにかかる相手にどうついていくか。これはスピードが問われる場面です。たとえ足が遅くても、足の踏み変えをスムーズにすることでロスを防ぐことができ、素早く動くことが可能になります。谷さんは例をあげて説明します。
「試合中、相手が自分の左側を抜けていこうとすることがあるよね。そのとき、左足を相手の進行方向に下げて体重移動するのではなく、右ひざをロックして地面を蹴り、左足を相手の進行方向に踏み変えて動いてみよう。右足、左足を素早くワンツー!と踏み変えるイメージでやってみて」(谷さん)。
谷さんの実演を見ると、動きのロスがないため、通常、1・2・3のテンポで動くところを、1・2と少ない手順で動くことができています。これこそが、動きのスピードアップです。「じゃあ、ラダーを使って、この動きをトレーニングしてみよう」。谷さんの合図で選手たちはラダーへと駆け出していきます。

■TR4:突破を仕掛けてくる相手に対し、素早く対応するスムーズな身体の使い方

【方法】
上半身は正面を向き、下半身のみひねった状態で右足を前、左足を前と交互にひねる。ラダーの4マスを右足、左足と交互にひねりながら進んでいく。
【ポイント】
上半身は左右に流れないようにし、下半身だけ動かす(ツイストの動き)。
【アドバイス】
ターンや方向転換をするとき、下半身と上半身が連動していると、反対側に振られたときに動きのロスが大きくなります。そこで重要なのが、ひねりの動きです。ひねりをスムーズに行うことで、下半身だけで方向を変えることができます。それが結果として、プレーのスピードを上げることになります。
▼谷コーチの指導映像はこちらをご覧下さい
ひねりの動きについて解説(14:57~16:59の部分)>>
タニラダーを使ったトレーニング例(33:55~36:50の部分)>>
選手たちは2人1組で向かい合い、抜く側とついていく側に分かれて、実際の動きをやってみることに。ツイストをうまく使っている選手は動きに無駄がなく、スムーズに相手についていくことができていました。
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1時間のトレーニングはあっという間に終了。最後に、選手たちは最初にフリーで行ったショートダッシュをやってみました。すると、最初に走ったときと違って身体の使い方がスムーズになり、意識して動いていることが見て取れました。
谷さんは満足そうな表情を浮かべて、こう言います。「最初のうちは意識しながら行い、それを繰り返すことで無意識のうちにできるようになることが理想です。ゴールデンエイジ(約10~12歳頃)の年代は吸収が早いので、ラダートレーニングをすることで、自然と動きがスムーズになっていくと思います」
ラダートレーニングは週に1~2回実施すると、スピードアップやスムーズな身体の使い方習得に効果があるそうです。クラブでのウォーミングアップ時や自主練に取り入れてみてはいかかでしょうか。
●取材協力:Uスポーツクラブ
【谷コーチによるUスポーツクラブでのスピードアップクリニックの様子】
※映像は私用目的の撮影素材のため、一部見づらかったり、聞こえづらいところがあります。予めご了承ください。
【谷コーチのサカイク連載記事】
ジュニア年代の正しいフィジカル・コンディショニング論
いつ、どこへ、どれくらいのスピードで?サッカーで求められる理想の「走り」とは
知っておきたい!スピードを上げるためのトレーニングのバランスと身体の使い方
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谷真一郎(たにしんいちろう)//
愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。
引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年よりヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。
『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』(2013年4月現在)
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取材・文/鈴木智之 写真/サカイク編集部

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