水分補給というテーマでこれまで3回にわたって、鎌倉女子大学の田地先生にお話しを伺いました。水分ネタの最終回は、普段の食生活に役立つ飲料のお話しをしていただきました。
■野菜ジュースは野菜の代わりになる?
「野菜には、身体の調子を整えるうえで大切なビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。また、野菜ジュースからもこのビタミンとミネラルを摂取することができます。
しかし、食物繊維はそういう訳にはいきません。野菜を摂らずに野菜ジュースだけに頼ってしまうと、どうしても食物繊維は不足してしまうのです。食物繊維は普段の便通のためにとても大事な栄養成分です。つまり健康を保つために重要なもの。便秘になると、お腹が張ってしまったり、身体が重かったり、身体が不調をきたします。そんな状態でベストなパフォーマンスを引き出すことなんて到底できません。
規則正しい便通も大切な体調管理のひとつです。野菜ジュースは栄養的にいい飲み物ですが、野菜の代わりにはならない。毎日、野菜を摂り、規則正しい便通を心がけたいものです」
■食事の時に一緒に摂りたい飲み物とは?
「サッカー選手には、ズバリ水か麦茶をすすめます。逆に、食事の直前や食事と一緒に摂ってはいけない飲み物もあります。お茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー類です。これらに含まれる渋みの成分であるタンニンは食物中の鉄とくっついて、体内への鉄の吸収を妨げてしまいます。
鉄は、体内で酸素を運ぶヘモグロビンを作る重要な成分。特にサッカー選手にとって、血中ヘモグロビン濃度はパフォーマンスに影響する大きな要素です。たとえば、昨年の南アフリカW 杯で日本代表が行っていた高地トレーニングも、血中ヘモグロビン濃度を高めたり、筋肉内の酸素運搬能力を高めるためのものでした。酸素の薄いところで身体を順応させることにより、ヘモグロビンをたくさん作り、平地に行った時に身体を楽に動けるようにするのです。それほどプロの世界では血中ヘモグロビン濃度は重要なものなのです。