こうなると、一刻を争っての救急手当てが必要なのですが、出血や骨折をしたときと比べると、周囲からは危機的な状況であることが察知しにくいものですから、涼しい場所に運んで寝かせておくだけの処置しかしないのです。気がついたときには取り返しのつかないことになってしまった。こうしたケースが実際の事故例として数多く報告されています。
■子どもの様子をよく観察して予防につなげる
指導者や保護者の皆さんは、気温や湿度が高いときには、熱中症のリスクが相当高まるということを念頭に置いて、いつも以上に子どもたちの様子を観察するようにしてください。ちょっとでも体調が悪そうにしていたら、声を掛けてあげてください。決して無理はさせず、すぐに休ませるようにしましょう。
ただ、暑い時にスポーツ活動を行うことは、子どもたちにとっても貴重な経験になりますので、ぜひ積極的に行ってもらいたいと考えます。ですが、だからこそ、指導者は「無知と無理」で熱中症を起こさないように気を配ってもらいたいのです。一見矛盾したことのようではありますが、"そのバランスをとって指導すること"、それが指導者に求められる重要な力量でもあると思います。また保護者のみなさんも、練習後は休ませるなど、無理をさせないように気を配ってあげてください。
真夏のサッカー活動では「無知と無理でおこる熱中症」ということを、熱中症予防の一番重要なポイントとして心掛けておいてください。
取材協力/日本体育協会
●熱中症をもっと詳しく学ぼう!
『日本体育協会 スポーツ医・科学』はこちらへ
■その他熱中症に関するまとめ
熱中症対策まとめ。熱中症対策は9月下旬まで! (2013年8月29日更新)
取材・文/山本浩之
写真/木鋪虎雄(2011チビリンピックより)