つまり、水分補給を心がけていれば、体温調節が機能して体を冷却することもできたわけですから、こうした重度の熱中症にまで至らずにすんだのかもしれないのです。

■水分補給は、熱中症の予防に"万能"というわけではない

しかしながら、水分補給は熱中症を予防するためのひとつの要素でしかありません。前回もいいましたが、一番重要なのは、子どもの体調を把握しておくことです。子どもが「熱っぽい」といったら「今日は、いつもより多く水分をとりなさい」ではなく、「体調が悪いのだったら、今日は休もうね」と保護者にはいってもらいたいのです。

繰り返しになりますが、体調不良のときは熱中症になるリスクが高いことを認識してください。人命が失われることさえある熱中症には「うちの子に限って大丈夫」などと甘い考えは通用しません。暑いなかで無理に練習をさせるのと、休ませて体調を整えさせるのとでは、その判断が大きな分かれ道になってしまうのです。

取材協力／日本体育協会

●熱中症・水分補給をもっと詳しく学ぼう！

『日本体育協会　スポーツ医・科学』はこちらへ

＜＜『夏の熱中症対策』の記事へ

■その他熱中症に関するまとめ

熱中症対策まとめ。熱中症対策は9月下旬まで！ (2013年8月29日更新)

取材・文／山本浩之
写真／木鋪虎雄（2011チビリンピックより）