のどの痛みや止まらない鼻水、ゴホゴホ咳、なかなか下がらない熱。今年もインフルエンザの季節がやってきました。特に今年は流行が早く、すでに学校での流行、学級閉鎖を経験された方も多いかもしれません。
インフルエンザだけではなく、冬は風邪にも要注意。軽い風邪の症状でも体力が低下したまま過ごしていると、インフルエンザをはじめとする思わぬ病気に見舞われることになってしまいます。
もちろんサッカーの練習にも支障をきたします。子どもたちは「行きたい!ボールを蹴りたい!」と言うでしょう。しかし、感染力の強いインフルエンザの場合はチームメイトにうつしてしまう可能性もあります。最近では症状が治まっても長期の練習参加禁止をチームの決まりにしているところもありますよね。
感染を避けるには予防接種が有効ですが、それ以外にもご家庭でできる予防法があります。
今回は東京家政大学で栄養学を教える田地陽一先生に風邪などの冬の体調不良にも有効な「冬の水分補給」についてお聞きしました。(取材・文/大塚一樹)
■インフルエンザを寄せ付けない! 冬にも必要な水分補給
暑い夏だけでなく冬にも水分補給が必要ということもずいぶん広く知られるようになってきました。でも、流れ落ちる汗でみるみる水分が失われていく夏はともかく、あまり汗をかかない(ような気がする)冬にも水分補給が重要なのはなぜでしょう?
「冬ももちろん汗をかきます。サッカーなどの運動をしている子どもたちを見ていると身体から湯気のようなものが出ていることがありませんか? あれは汗が蒸発したもので、空気が乾燥している冬は知らず知らずのうちに汗をかいて、練習を終えて帰るころには乾いてしまっているのです」
確かに冬の空気は乾燥しています。お母さんたちもカサカサお肌にならないために冬はいつもより多めに化粧水をつけ、保湿クリームでお肌の保護をしていることでしょう。
田地先生によると、運動をしなくても乾燥した空気にさらされるだけで身体の水分は失われているというのです。
「サッカーをしているお子さんをお持ちの方なら水分不足が身体に良くないことはわかっていただけると思いますが、乾燥は風邪やインフルエンザにも良くないのです」
インフルエンザウィルスは乾燥を好みます。インフルエンザは、のどや鼻などの粘膜にウィルスが入り込むことで感染を引き起こすのですが、のどや鼻が乾いた状態だと、ウィルスが元気な状態まま身体の中に入ってきてしまいます。
「風邪やインフルエンザの予防にマスクがいいと言うでしょう? もちろんウィルスが入り込むのを防いだり、人にうつしたりするのを防ぐ目的もありますが、マスクが効果的なのは、自分の呼吸に含まれる湿気でのどや鼻の粘膜を湿らせておけるからです」
■乾燥大敵!30分に一度は給水を
乾燥は諸悪の根源となり、ウィルスは湿気に弱い。ここまではわかっていただけたでしょうか? ではどうやったら知らず知らずのうちに失われていく水分を効果的に補給できるのでしょう。
「なんだそんなこと? と思われるかもしれませんが、一番効率が良いのはやはり水分を摂ることです。こまめに水分を摂ることで身体全体の乾燥を防ぎ、ウィルスの侵入を防ぐことができます」
夏の練習で水筒を持参して給水タイムを設けるチームはずいぶん増えました。冬は感覚的にのどが渇いていないような気がしますが、夏と同じくらい給水してもいいと田地先生は言います。
「夏ほど意識して水分を摂ることは少ないと思いますが、先ほど説明したように空気中に蒸発して失われる水分もあります。20分に一度、少なくとも30分に一度は水分を摂りましょう」
身体を冷やす意味がある夏とは違い、量を飲んだり冷やしたりする必要はありませんが、定期的に飲むこと、冬の水分補給を習慣づけることが大切だと田地先生は言います。
「激しい運動をしていれば、冬でも脱水症状になることだってあります。水分が足りないと運動能力も低下してしまいますよね」
取材・文/大塚一樹