サッカーに捻挫(ねんざ)はつきものですが、いざ捻挫をしてしまったときに正しい初期対応『RICE(ライス)処置』を知っているかどうかで、その後の状態がまったく変わってしまうことがあります。
現場で慌てないためにも、そして、後悔しないためにも、お父さんやお母さんも含めて正しい知識をあらかじめ抑えておきましょう。
東洋大学サッカー部のトレーナーとしても活躍する山浦伊吹アスレティックトレーナーに「アイシング」について解説してもらいました。(取材・文 杜乃伍真 撮影 八木竜馬 協力 スポーツマッサージNazoo)
■アイシングには2種類ある
山浦さんはアイシングについて、
●クールダウンのため
●ケガをしたときのため
以上の二通りがあるといいます。
まず、クールダウンのためのアイシングについて。
「スポーツの現場であれば、氷水や水風呂で対応するのが有効です。運動をすると体温が上がるので、それを運動後に下がらないままにしてしまうと、無用に体内のエネルギーを消費してしまいます。これを避けるために体温をすばやく下げて疲労回復につなげます」
■子どもがケガをしたときに実行したい『RICE処置』とは
そしてもう一方の、ケガをしたときのアイシングについて。
「たとえば、捻挫であれば、靭帯が損傷して、そこが出血し、腫れてくると組織全体が圧迫されることになります。すると組織全体に酸素が行き届かなくなり、捻挫した患部周辺の正常だったはずの細胞まで死んでいくことになります。そうならないように、アイシングによって捻挫した箇所に狙いを定めて冬眠状態を作るのです。つまり、たとえそこに栄養が行き届かなくても生きていける環境をアイシングによって作ってあげるのです。この処置は同時に痛みも抑えられるので非常に効果的です。また、患部の腫れを抑えるためには、アイシングと同時に圧迫することが非常に大事ですので、ぜひ覚えておいてください」
山浦さんはこれらの初期対応『RICE処置』を怠った場合にいろんな問題が起きるため、こう注意を喚起します。
「患部の組織が腫れあがってしまうと、組織全体に水分や血液が広がっていき、それが接着剤のような働きをしてしまうので、患部の動きが悪くなることはもちろん、再び運動を始めたときに患部とは別の場所に痛みが走ることがよくあります。これらを防ぐためにも初期対応が非常に大事になるのです」
■20分アイシング→1時間休憩→20分アイシングを繰り返す
では、初期対応のその後の対応はどうすればいいのでしょうか。たとえば、捻挫をした子どもが自宅に帰ったとき、お父さんやお母さんと一緒になって気を付けないといけないことはどんなことでしょうか。
「捻挫をして48時間から72時間は痛みや出血が出やすい時期です。ですので、この時期にやるべきことは初期対応を徹底することです。目安としては、20分間アイシングをしたら、1時間休憩、また20分アイシングをして、1時間休憩、というサイクルをできるだけ繰り返します。なお、休憩を挟むときも患部を圧迫することだけは欠かさないようにし、腫れを抑えるように意識してください」
圧迫については、患部の循環障害が起きないように気をつけながら、きつすぎず、ゆるすぎず、「ホールド感があるように」締めて圧迫することが大事だと山浦さんは言います。
また、捻挫をした直後にお風呂に浸かってしまうと血流がよくなり、患部が腫れてしまうので、捻挫をしてから3日間ほどはシャワーだけにするのがよいそうです。
以下、捻挫をしたときの初期対応のアイシングおよび圧迫を行なうときの手順です。ぜひ参考にしてください。
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取材・文 杜乃伍真 撮影 八木竜馬 協力 スポーツマッサージNazoo