サッカーをしている子どもたちの強い願望の一つは、「身長を伸ばしたい」「もっと大きくなりたい」こと。そのためにサッカーの練習以外に大事なことは何? たくさんご飯を食べれば大きくなれるの? など、密かに悩んでいる子もいます。
サッカー少年少女の親御さんだけでなく、小学生のお子さんをお持ちの保護者の中には、子どもの身長を伸ばすにはどうすればいいのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
また噂話で「身長を伸ばすには亜鉛がいいらしいよ」と聞いたことがある人もいるでしょう。子どもの身長を伸ばすために亜鉛のサプリを飲ませている保護者もいるようです。
この記事では、身長が伸びると噂される亜鉛について、その概要や体に対する効果などについて解説します。
<目次>
1.亜鉛とは
2.亜鉛を摂れば大きくなれる?
3.亜鉛だけ摂取すればいいわけではない
4.しっかり食べてよく眠りいい姿勢を心がけることが大切
5.普通の生活を心がけよう
6.バランスの良い食事をとる
7.悪い姿勢は体に負荷がかかる
8.まとめ
亜鉛とは
亜鉛とは、人が健康でいるために欠かせない重要な栄養素です。耳馴染みのない栄養素かもしれませんが、全身のいたるところに亜鉛は存在しています。亜鉛は、たんぱく質やDNA、さらには細胞内の遺伝物質などさまざまな物質や栄養素を生成するために使用されている点が特徴です。
また、亜鉛は味覚や嗅覚にも影響するとされています。例えば、亜鉛が不足すると味覚障害になる可能性があります。毎日の食事を美味しく食べるためにも、亜鉛は欠かせません。
そして、亜鉛は成長を促進するためにも重要な役割を果たします。具体的には、妊娠中や乳児期、小児期の子どもの生命維持および成長には亜鉛が必要だとされています。アミノ酸からのたんぱく質の再合成、DNAの合成にも非常に重要な役割を果たしているほか、骨の成長や肝臓、腎臓、インスリンを作るすい臓など、新しい細胞が作られる組織や器官では必須のミネラルとなります。
亜鉛を摂れば大きくなれる?
亜鉛は、牡蠣や豚のレバー、アワビなどに特に多く含まれています。確かにこれらの食事は頻繁に口にすることはなく、実際に亜鉛が不足しがちな人がいるのも事実です。タイでは40%以上の人が亜鉛欠乏症ともいわれています。
実際に亜鉛によって身長が伸びたという実験結果もあります。前述のタイの亜鉛欠乏症の多い地区で、就学年齢の学生に亜鉛サプリを飲ませた場合、そうではない学生より平均身長が1㎝ほど高くなった、という論文が2017年に発表されました。
このような事実から「亜鉛=身長が伸びる」というイメージが出来上がっているのかもしれません。もちろん、タイの実験結果は亜鉛欠乏症の可能性の高い人を対象にした実験ですので、日本にそのまま置き換えていいものではありません。しかし、少なくとも亜鉛が欠乏した場合には身長に何らかの悪影響があることは事実のようです。
亜鉛だけ摂取すればいいわけではない
それらのことから「亜鉛を摂取して身長が伸びた」「身長を伸ばすのに亜鉛が効く」という噂話や口コミなどを噂レベルで耳にした方も多いのかもしれません。亜鉛が不足すると、たんぱく質やDNAの合成がうまく行えなくなり、成長障害が起こるのも事実ですが、もちろん亜鉛さえ摂取すれば身長が伸びるというわけではありません。
確かに、亜鉛は人の体に欠かせないとても重要な栄養素の一つではありますが、亜鉛が体の全てを作っているわけではないため、偏った栄養摂取にならないように注意してください。
毎日飲むとどうなるか気になる方もいるでしょう。亜鉛の過剰摂取は副作用を起こす可能性もあり、更に注意が必要です。急性亜鉛中毒では胃障害・めまい・吐気などが起こり、継続的に亜鉛を過剰摂取し続けると銅欠乏・鉄欠乏を招く恐れがあります。結果的に、成長障害を起こすという逆効果となってしまう可能性もあるのです。
一般的に推奨される1日の亜鉛摂取量は、成長期(10~17歳)の男性で7~12mg、女性で6~8mgとなっています。令和元年国民健康・栄養調査における食品群別摂取量では1日平均8.4㎎となっており、普通の食生活をしていれば「亜鉛が足りない」ということはありません。
しっかり食べてよく眠りいい姿勢を心がけることが大切
残念ながら「これをすれば・これを食べれば身長が伸びる」といった絶対的な方法は存在しません。
一方で、身長が伸びる可能性を少しでも高めたいのであれば、バランスよくしっかり食事をとり、ぐっすり眠り、いい姿勢を日頃から心がけることが重要です。
ここでは、身長と食事や姿勢の関係について解説します。
普通の生活を心がけよう
体が成長する際には、栄養素やエネルギーが必要となります。しかし、中には、日頃から偏った食事ばかりとっている、夜更かししていて常に眠いといった状態の子どももいるでしょう。そのような場合、いざ体が成長するタイミングを迎えたとしても、栄養やエネルギーが不足していてなかなか成長しないといったことになりかねません。
「食事や睡眠なんて普通のことじゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、この普通のことができていないケースは意外と多いのではないでしょうか。
普通の生活を送るためにも、まずは普段の生活を見直しバランスの良い食事と睡眠時間の確保を心がけてください。もし栄養バランスが偏るようならサプリの利用などもおすすめです。
バランスの良い食事をとる
体を大きくするためには「栄養をたくさん取る」ことが大切ですが、身長を伸ばす=カルシウムやタンパク質をとる、と思いがち。身長を伸ばすために牛乳をたくさん飲んだ方も多いことでしょう。しかし、カルシウムだけではなく、例えばビタミンKはカルシウムの骨への沈着を助けて骨をより丈夫にしてくれますし、ビタミンDはカルシウムの吸収を助けてくれます。マグネシウムも骨を丈夫にするために必要ですし、アルギニンは成長ホルモンの分泌を促してくれるなど、人間の成長には様々な栄養が必要となります。また、偏った栄養ばかり摂っていると、他の栄養の効果を阻害するケースも出てきてしまいます。
調和のとれた食事こそが大事ですので、バランスよく栄養を摂取しましょう。もし栄養バランスが偏るようならサプリの利用などもおすすめです。
悪い姿勢は体に負荷がかかる
パソコンやスマートフォンなどを頻繁に使用する現代では、前傾姿勢になりやすいことから姿勢の悪い子どもが少なくありません。姿勢が悪いと、背骨に負担がかかるため、その影響で身長が伸びにくくなる恐れがあります。サッカーでも、速く走るためにはいい姿勢が大事です。
そのため、普段からいい姿勢をとることを心がけましょう。また、子どもだけでなく、保護者がいい姿勢を心がけることも重要です。これは、子どもは親を見て真似をするためです。親が悪い姿勢でいると子どももそれを真似る恐れがありますが、いい姿勢を取っていれば、子どももいい姿勢を真似してくれるでしょう。
まとめ
「亜鉛は身長を伸ばす」「身長を伸ばすサプリがあるらしい」など、身長に関する噂はたくさんありますが、絶対的な方法はありません。食事や睡眠をしっかりととり、良い姿勢を心がけるといった普通の生活を送ることが、体の成長にとっては重要です。噂に惑わされることなく、普通の生活を心がけてみてください。
よくある質問
- 身長を伸ばすために亜鉛以外で特に摂取した方がいい栄養素はありますか?
- 食事はバランスが大事。食事に気をつかっているのに大きくならないことも…
- 身長を伸ばすのに「牛乳」を飲ませたいですが、牛乳を飲むとお腹が痛くなります
- 牛乳の種類を選べば大丈夫!お腹を壊さない飲み方があります!