健康と食育
新型コロナだけじゃない! 風邪、インフルなどウィルスから子どもを守るための正しい感染症対策 -日常生活編-
公開:2023年11月30日
※2021年3月配信の記事を一部修正して再度配信します
2020年からの新型コロナウイルスの感染予防で、マスクや手洗い、手指消毒などが当たり前になっていますが、人に感染するウィルスは新型コロナウイルスだけではありません。
今回は、国立スポーツ科学センター(JISS)の医師・医学博士で、JFA医学委員会メンバーでもある土肥美智子先生に、ウイルスの予防として日常で気を付けることを伺いました。
正しい感染症対策を学ぶとともに、健やかなサッカーライフを送るための参考にしてみてください。
(取材・文:鈴木智之)
■感染症には常に注意を
感染症は新型コロナウイルスだけではありません。インフルエンザや風邪なども、人から人へと感染していくものです。2020年からコロナウイルスが流行しましたが、スポーツ医学では、感染症対策は常に行うものと考えています。 急性疾患、いわゆる感染症はコンディションに影響します。日々の生活や合宿、大会に行った時などに、ウイルスや細菌などを他人に感染させないことは、日ごろから意識しておきたいことです。
■目、口、鼻に触れることで感染リスクが高くなる
新型コロナウイルスは飛沫感染すると考えられているため、マスクの着用がとても重要なものとされていました。人と話をした時に、口からの飛沫が相手の目や鼻、口に直接入ったり、手や指に飛沫がついた状態で目、口、鼻に触れることで、感染する可能性が高くなります。あるいは飛沫がテーブルの上に付着したり、パソコンのキーボードやスマートフォンなどにつき、それを他の人が触ってしまうケースも考えられます。風邪の諸症状があるときは飛沫を防ぐために、会話をするときはマスクをしたほうが良いでしょう。
■手洗い、手指消毒をこまめにしよう
ウイルスは目、口、鼻など、顔の粘膜部分から体内に侵入し、感染することが明らかになっています。そこで大切なのが手洗い、手指の消毒です。もし手にウイルスがついたとしても、その手を顔に持って行く前に消毒をし、ウイルスをなくすことができれば、感染する可能性は減少します。手洗いをすることで、汚れもウイルスも落ちます。ウイルスをやっつけるために、石鹸をつけて30秒ほどしっかりと洗いましょう。
■食事中はなるべく話さず、食べ終えてから話そう
新型コロナウイルスやインフルエンザなど飛沫感染するウィルスは、飲食の場面で感染しやすいことが明らかになっています。食事中は会話を控え、食べるときは黙って食べる。そして食べ終わったら、マスクをして距離をとり、控え目に会話をすることを心がけましょう。食事の際は、なるべく対面に座るのは止めて横並びにしたり、距離をとることで、飛沫感染を防ぎましょう。
■歯磨きは個別に。歯ブラシを置きっぱなしにしない
新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスは飛沫で感染します。飛沫とは唾液(つば)のことです。寮や公共施設など、不特定多数が出入りする洗面所で歯磨きをする際に、ウイルスが放出され、それが蛇口周りに付着している可能性も考えられます。そのため、歯磨きの際も複数人で同時にするのではなく、ひとりずつ行い、終わったらしっかりと流す。それを徹底することをおすすめします。また、洗面所に歯ブラシを置きっぱなしにしないことも大事。合宿所などでは必ず、その都度持ち帰るようにしましょう。
■よく寝て、よく食べよう
新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザなどの感染症を防ぐために重要なのが「免疫力」です。体の中に異物が入った時に、免疫が働くことによって、ウイルスなどをやっつけてくれます。いくらマスクをして、手指消毒をしたとしても、コロナに罹る人と罹らない人がいるのは、免疫力によるところが大きいと考えられます。
免疫力を高めるためには、しっかり食べてよく寝ること。まずはこの2つを心がけて、日々の生活を楽しみましょう。不自由な生活で気持ちが落ち込んでしまうこともあると思いますが、心身ともに元気でいることが、感染症に打ち勝つために必要なことです。
新型コロナウイルスに限らず、人に感染するウイルスはたくさんあります。過剰に恐れず、手洗い、手指消毒など日常でできる予防をして、体調管理につとめることで多くの場合、重症化のリスクが防げるのです。
今回ご紹介したのは毎日の生活の中でできることが多いので、ぜひ実践してみてください。
土肥美智子(どひ・みちこ)
国立スポーツ科学センタースポーツメディカルセンター副主任研究員。医学博士。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
千葉大学医学部卒業。医師国家試験合格後からスポーツドクターを目指す。放射線診断学専門医として大学病院に勤務するかたわら、スポーツドクターとして主にサッカーの仕事に携わる。2006年より国立スポーツ科学センターに籍を置き、スポーツドクターに専念。トップアスリートの健康管理、臨床研究およびオリンピック、アジア大会、男女サッカーワールドカップ等に帯同。日本オリンピック委員会(JOC)医学サポート部会員、日本サッカー協会(JFA)「医学委員会」委員、アンチ・ドーピング部会長、アジアサッカー連盟(AFC)「医学委員会」副委員長、国際サッカー連盟(FIFA)「医学委員会」委員、国際オリンピック委員会(IOC)「スポーツと活動的社会委員会」委員ほか