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夏休み、ダラダラ過ごす子どもにイライラ! 親をイラつかせるダラダラ解決のカギはたった4日間の「脳の使い方」にあった

公開:2024年8月 6日 更新:2024年8月 9日

キーワード:2学期3日坊主夏休み朝起きる生活リズム

夏休み中の自由な時間、子どもが長時間ゲームをしたりゴロゴロしていると、無意味にダラダラしているように見え、イライラしてしまう保護者もいるようです。イライラしたくないために、子どものスケジュールを詰め込むという人もいます。

一見、時間の無駄のように見える「ダラダラ」も、「脳の設定」次第で自分をコントロールできるようになるようです。

『あなたの人生を変える睡眠の法則』の著者である菅原先生に脳を上手に使えるようになるために大切なことをうかがいました。夏休みもそろそろ折り返しという方たちも、今からでも実践してみてください。
(取材・文 木村芽久美)

 

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後編:生活リズムを整えることで2学期もスムーズにスタートできる! サッカーにも生かせる、脳の使い方>>

 

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■脳には使い方があるということを理解する

「脳が良い状態になるように自ら設定してあげると、やりたいことをやりたいようにできるようになります」と菅原先生は言います。

自分と脳を切り離して認知し、客観的に把握することを「メタ認知」といいますが、この能力が身についていると、良いパフォーマンスをうむことができるのだそうです。

メタ認知は脳の使い方を練習すれば、誰でも習得することができるのです。脳を上手に使うためには、設定をしてあげる必要があるのだそうです。

例えば「朝起きたら宿題を1問だけ解いてみる」というように、これくらいだったらできるかも......。と思えるような楽なことから始めてみると良いようです。

 

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■自分は「監督」で脳が主役と考える

菅原先生は「自分はプレイヤーではなくて、『監督』として、自分が頑張るのではなく、脳ががんばれる環境をつくってあげることが大事です」と言います。

脳の特性に合った環境や順番、やり方を設定してあげれば、脳は上手に動くようになるというのです。

「自分ではなく、脳が頑張れるようにする」と考えると、「できない」という思考から、「やってみよう」という思考に変わります。

思考が変われば、具体的な対策が立ちます。

胃やほかの臓器と同じように、「脳」も臓器のひとつだと理解し、使い方を学んで設定してあげれば良いのです。

 

■宿題をやろうとしてたのにゲームを始めちゃう...... の改善は、迷いをなくすこと

脳には3つ苦手なことがあるのだと菅原先生は教えてくれます。まずは、この3つを避けた設定をすることを理解しましょう。

 

1.あいまいな予想や予定が苦手
例えば、宿題をやろうとしていたのにゲームをやり始めてしまう......。というのはよくある話です。

こんなときは、頭の中で「宿題をやらなきゃ」とつぶやいていることが多いですが、これでは予定があいまいで脳にわかりにくい。ゲームをやり始めた原因は、誘惑に負けたからではなく、予定があいまいだったからです。そこで「宿題をやる」とセリフを変えれば、脳に分かりやすい命令になって実行できるそうです。

 

2.何をする場所なのかわからない状況に置かれることが苦手
脳には場所と行為をセットで記憶するという特徴があるのだそうです。ゲームもできるし、宿題もできるし、寝ることもできる......。というように、同じ場所で色々なことができてしまうと、脳は何をすればいいのかわからなくなってしまいます。

脳は、見えた物に手を出す仕組みで、見えたのに「やらない」と判断するには、とても多くのエネルギーを使って神経活動を抑制しなければならないそうです。

そこで、勉強やゲームをそれぞれ決まった場所で行い、その場所ではそれ以外のことはしないようにすると、すぐに取り掛かれて、なおかつ切り上げやすいと言えます。

 

3.脳は2つ以上のことを同時に行うのが苦手
「ながら作業」は、効率の良いように思えますが、脳は、2つ以上のことを同時に行うと疲れやすいそうです。作業をするときはひとつずつ行うよう設定をしましょう。

 

■親子で動線作りを確認してみる

やろうとしていたことをつい先延ばしにしてしまったり、面倒臭いとストレスに感じてしまう場合、動線がうまくいっていない可能性があるのだそうです。

「行動がつながる動線が作れているかどうか、親子で確認してみてほしい」と菅原先生は言います。

例えば、「先に宿題を済ませようと思っていたのに、ゲームをしてしまった」とお子さんが言うならば「動線はどうなっていたっけ?」と聞いてあげましょう。

玄関から自分の部屋に行く途中にゲームが置いてあれば、ゲームをするのは当然です。

大切なのは、あくまでも脳からどのように見えているかを一緒に確認することだそうです。脳は、見えていれば手を出してしまうことが分かれば、脳のために、必要な物だけが見える動線をつくってあげようと思えるでしょう。

 

■朝の光を浴びて、脳と体のリズムを作ることが大事

脳は起きてから4時間までが一番頭が良く、冴えているのだそうです。その時間帯をうまく活用して、1日をより良く過ごしたいものです。そのためには、朝に脳と体のリズムをスタートさせる必要があります。

脳と体のリズムを整えるのにとても重要なのが「光」です。

「お子さんは、光に対する感受性が高いので、目覚めたら、脳に光が届けることが重要です」と菅原先生は言います。

通常、子どもの脳には、起きてから約14時間後、6時起床の場合は20時には眠くなるリズムがあるそうですが、朝の光に当たらなければ、夜になっても眠くならず、夜更かしや寝つけない原因になることがあります。

朝の光といっても何も外に出なければいけないというわけではなく、目覚めてすぐ、窓ぎわ1メートル以内に入りさえすれば、脳に光は届けられるそうです。

お子さんが朝起きたら、まずはカーテンを開けて、窓際に行く動線をつくってみましょう。

 

■習慣化のカギは「4日」 人間の生体リズムである「3.5」日を超えるよう親子で一緒にやってみよう

「脳を使って主体的にお子さんが動くようになるためには、親御さんが対等な立場で話すことが大事。だからこの夏休みは親御さんもお子さんも同じように脳の使い方を変えてみて、自分の体験を話してほしいんです」と菅原先生は言います。

例えば、帰宅したらそのまま浴室に行って風呂洗いをしたら、すんなり湯張りできてお風呂も早く済ませられた。動線を変えるだけで、お風呂が面倒くさく感じなかった......。

というような話をお子さんと共有してみましょう。他人の体験を聞くと、お子さんも試したくなりやすいですし、実験感覚で楽しめればお互いにできたことを報告できて、前向きなコミュニケーションになります。


また、私たちが生きていく上で持っている生体リズムとして「3.5日リズム」というものがあり、3日で飽きてしまうという性質があります。よく言う「三日坊主」はこれにあたるのですが、そのリズムを破って4日間続けてしまうと、やらずにはいられなくなるのだそうです。

メタ認知を習得することはより良い人生を送ることにもつながります。自分で自分をコントロールすることができるようになるので、当然学校でもサッカーでも役に立つのです。

この夏休みを利用して、自分の脳の使い方について、親子で共有してみてください。

後編では、サッカーをもっと楽しみ自ら成長できる子になるための脳の使い方をお伝えします。

 

 

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菅原洋平(すがわら ようへい)
作業療法士、ユークロニア株式会社代表、アクティブスリープ指導士養成講座主宰

国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニアを設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などがある。

 

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取材・文 木村芽久美

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