考える力
サッカー少年少女にもある「10歳の壁」。伸びない子は親を見ればわかる!?/花まる学習会代表・高濱正伸
公開:2018年4月19日 更新:2019年7月 5日
「子どものころにスポーツをやることは、将来に役立つ!」
サッカーに打ち込むわが子を持つ親にとって、とってもうれしい話をしてくれる花まる学習会の高濱正伸代表の連載の後編は、スポーツで身につく「見える力」「詰める力」の実際、保護者にも参考になる子どもたちとの接し方についてさらにご紹介します。
高濱さんが実体験に基づいて「子どもたちと接する上でもっとも重要な前提」という「10歳の壁」とは?
今回もスポーツのコーチが学び合うSCJ Conference 2018 の「スポーツ指導だからできる、メシが食える大人の育て方」と題した講演の内容をダイジェストでお届けします。(取材・文:大塚一樹)
<<前編:サッカーも勉強も"伸びる子ども"が身につけている「見える力」と「詰める力」
■10歳の壁とスポーツ指導の問題点
「とても大切なことなのですが、子どもたちは年齢によって適切な接し方があります。『10歳の壁』ということがずいぶん言われるようになりましたが、私は9歳、10歳から子どもたちがガラリと変わると言うことを信念として言い続けてきました。子どもたちへの接し方を考えると、幼児期の0歳から3歳、4歳から9歳、そして10歳から18歳までを区切ることができます。勉強ということでは、4歳から9歳までと10歳以降の接し方が違うことに気がついていない人がものすごく多いのです」
成績が上がるだけでなく、勉強を通して人間力が身につく塾として保護者の口コミで広く知られるようになった花まる学習会の高濱正伸さんは、4歳から9歳の子どもたちと、10歳から18歳までの子どもたちを「世界観も感性もまるで別のグループ」と表現します。子どもの成長度合い、男女差など個人差はあるので、年齢の区切りが絶対というわけではありませんが、高濱さんが接してきた膨大な数の生徒たちはすべて、この「10歳の壁」を境に、大人への階段を上りはじめると言います。
高濱さんが挙げたのは、子どもたちと接する時間の長い親と子どもの関わり方です。
「メシを食えない子はなぜ生まれたのか? を突き詰めると、この問題に行き当たることが多いのですが、保護者が落とし穴にはまってしまった。5年生になった女の子に、それまでと同じように『宿題やりなさい』と言ってしまう。9歳までが幼虫だとすると、10歳は成虫なんです。5年生の女児に向かって『宿題やりなさい』と言うのは、イモムシから羽化した蝶に向かって『葉っぱを食べなさい』といっているようなものなんですね」
世界観も感性も、幼虫から成虫に変わり羽ばたこうとしているのに、同じような接し方でいいはずがない。高濱さんは、悪しきスポーツ指導はこの典型だと続けます。
■経験則や思い込みの指導ではスポーツの良さが活かせない
「スポーツの古くさい指導も同じですよね。子どもに向かって大人が自分たちの経験だけで指導を押しつけるのは、幼虫に向かって成虫の理屈を押しつけているだけですし、成虫になっているのに、幼虫のように扱うこともある。せっかくスポーツにはいろいろな学びの可能性があるのに、コーチが怖いから従うとか思考力や発想力が生まれないものになってしまっているんです」
高濱さんは、旧来の「上から抑えつけるような」スポーツ指導では間違った方向に子どもたちを導いてしまう可能性もあると指摘します。たしかに、「自分たちがそうされてきたから」「これが当たり前だったから」と自分の経験を押しつける指導法は、いま話題のパワハラ、暴力的な指導の温床になるといわれています。
「見える力」「詰める力」を身につけるのに最適なスポーツも、指導者のコーチングの質に大きく左右されると高濱さんはいいます。高濱さんのお話を聞いていると、子どもたちのサッカーで、チーム選び、監督、コーチがどんな考えで指導しているかを見極めるのがいかに大切かということがよくわかります。
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