年代別の日本代表で活躍し、パラグアイ、メキシコ、スペイン、ギリシャ、香港のリーグでプレー経験を持つ、国際派ストライカー・福田健二選手。
スペイン・バルセロナに拠点を置き、日本を始め世界中のサッカー選手・指導者のコンサルティングを行うサッカーサービス。今回は特別企画として『スペインサッカー』という共通項を持つ福田健二選手とサッカーサービスのポールコーチの対談が実現! 日本とスペイン、両方の視点から浮かび上がる、日本サッカーの現状とは? 全3回シリーズでお届けします。
(取材・文/鈴木智之)
――福田さんはスペインのカステジョン、ヌマンシア、ラス・パルマスの3チームでプレーした経験をお持ちですが、スペインサッカーの特徴はどのようなものだと感じていますか?
■「俺はこう思う」と自分の考えをしっかりと述べられる
福田:スペインというとパスサッカーの印象が強いですが、地域によってスタイルは違います。バルセロナには、FCバルセロナを中心とした細かくパスをつなぐスタイルがありますし、バスク地方では、多くのクラブがロングボール主体のサッカーをしていました。アンダルシア地方では、個人に比重を置いたプレーが主体でした。
僕がヌマンシアでプレーしていたときは、アンドニ・ゴイコチェアというバスク人が監督をしていたのですが、固い守備をベースにロングボールを使って攻めて行くサッカーでした。次にプレーしたラス・パルマスは、個人技を最大限活かしたサッカーをしていました。
ポール:福田さんが言うとおり、スペインは地域によってサッカースタイルが異なります。最近は集団戦術を採用するチームが増えてきましたが、戦術的で近代的なサッカーに取り組んでいる監督と、そうでない監督もいます。
選手は様々なスタイルを経験するため、プロになったときに、チーム内で意見の違いが出たり、衝突することはよくあります。
福田:たしかにそうかもしれません。僕がスペインに行って感じたのは、選手それぞれがサッカーに対する哲学を持っていて「俺はこう思う」と自分の考えをしっかりと述べられること。
もちろん、監督の目指すサッカーについては最大限リスペクトしていますが、自分のプレースタイルはこうで、こういうプレーがしたいと、チームメイトや監督にはっきり言います。選手個々が独立した存在で、自立しているなと感じました。
ポール:スペインでは、選手が監督に対して、「自分はこう思う」と積極的に意見を述べる文化があります。日本でも、我々サッカーサービスがやっているスクールでは、子どもたちに日々、質問をしています。
子どもたちは自分の考えを最初から持っているわけではないので、なかなか答えが返ってくることはありません。しかし、質問に対して考え、答える経験を繰り返すことで、自分の考えが熟成されていき、意見を言うことができるようになっていきます。
■会話をすることで、自分を知ってもらうことが大事
福田:日本の場合、選手同士であったり、選手と監督がサッカーに対して深く話をする機会は、あまりなかった気がします。僕がスペインにいたときは、どのチームに行っても移動のバスの中では、サッカーのことやプライベートのことなど、とにかく話をしていました。
スペインの場合、チームメイトと会話をすることで、自分はこういう人間で、こういう考え方なんだと知ってもらうことが大事なんですよね。
2012 European Match Day Against Hunger / EU Humanitarian Aid and Civil Protection
ポール:そう思います。
福田:僕自身、日本にいる時は、監督の言うことをそのまま聞くタイプではありませんでした。自分の中でサッカーに対する考えがあったので、監督ともっと話をしたかったというのが、正直なところです。
その後、パラグアイやスペインに移籍して、自分の考えを監督やチームメイトに言ったときに、相手からは反応が返ってきますよね。そのコミュニケーションがすごく良かったというか、監督と話をすることで、チームでの居心地も良くなったんですよね。
そのときに、自分が求めていたのはこれなんだと思いました。
取材・文/鈴木智之、写真/サカイク編集部