日本トップレベルのGKコーチであり、シュミット・ダニエル選手や大迫敬介選手の指導に携わった、澤村公康コーチ。サカイクは澤村コーチとタッグを組み「GKスペシャルキャンプ」を開催しています。
リピーターが多いことで有名なこのキャンプ。2023年は4月3日(月)~4月5日(水)に、千葉県の昭和の森フォレストビレッジで行います。
「GKスペシャルキャンプ」に参加すると、どんな経験ができるのでしょうか? 過去に3度参加した末廣謙心くんとお父さんに、キャンプの感想と自身に起きた変化について話をうかがいました。(取材・記事:鈴木智之)
■キャンプに参加しようと思った理由
石川県に住む末廣謙心くんが、GKスペシャルキャンプに初めて参加したのは、小学5年生の春でした。その後も夏、秋と立て続けに参加し、2回目からは友達も誘うなど、GKキャンプの楽しさを実感したようです。
小学3年生のときにGKを始めた謙心くん。ドイツ代表のレジェンドで、日韓ワールドカップで活躍したオリバー・カーン選手や日本代表のシュミット・ダニエル選手に憧れ、GKとしてプレーすることになったと言います。
GKとして、もっと上達したいという向上心を持つ謙心くん。ある日、お父さんがサカイクを見て、GKキャンプがあることを知り、「千葉県でやるけど行ってみる?」とたずねたとこと「行きたい!」と即答したそうです。
お父さんは「澤村コーチのお名前は以前から知っていました。豊富な指導経験をお持ちの方なので、ぜひ息子を見てもらえたらと思って応募しました」と振り返ります。
謙心くんが住んでいるのは石川県で、GKキャンプ開催地の千葉県までは距離がありますが「ちょうど春休みだったこともあり、参加させることにしました」と話します。
「宿泊型のGKキャンプは、私が知る限りサカイクさんのところだけでした。通いではなく、宿泊することで集団行動やピッチ外のコミュニケーションもとれますし、コーチとも長い時間過ごすことができるので、宿泊型がいいなと思っていました」
全国からGKが集まるところも醍醐味だと思い、参加した謙心くん。「行く前は緊張したけど、違う県から来る人たちと仲良くなって、一緒にプレーできるのは楽しみでした」と、当時の心境を話してくれました。
初日こそ緊張していたようですが、「上の学年の子たちが話しかけてくれて、すぐに仲良くなれました」と話すとともに、その様子を遠くから見ていたお父さんは、次のように言います。
「澤村コーチのトレーニングは『なんのために、この練習をするのか』という目的がはっきりしていて、説明もわかりやすいので、みんな和気あいあいと楽しそうにトレーニングしていました。コーチ自身がすごくエネルギッシュで、確固たる理由を持った上で、指導されていると感じました」
■キャンプを通じて学んだこと
謙心くんはGKキャンプで「メンタル面と基本技術を教わった」と言います。
「ボディランゲージを使ってコミュニケーションをとることや、フロントダイビングなどの基礎技術を教わりました」
キャンプに行って変わったところを尋ねると「メンタル面だと思います」と、力強く答えてくれました。
「失点した後に落ち込むこともあったのですが、キャンプでGKのメンタルが周りに与える影響について教えてもらい、ミスをした後でも、すぐに気持ちを切り替えられるようになりました」
お父さんも謙心くんの成長を感じているようで「自分のことだけでなく、他の選手のことを思いやれる余裕が出てきたように感じます」と、成長を実感している様子です。
GKキャンプ2回目からは、友達を2人連れて参加。謙心くんが「澤村コーチっていうめっちゃわかりやすく教えてくれるコーチがいて、他の県のGKとも仲良くなれるよ」と話したところ、友達は「行きたい」となり、3人で参加することになったそうです。
お父さんは「コーチの指導のおかげで、限られた練習時間の中でも、GKとして吸収する量がすごく多いと感じました。それを見て、これは行けるときに行った方がいいと思い、毎回リピートさせてもらっています」と話します。
心身ともにキャンプで成長を実感していた謙心くんに、ある出来事が起きます。
1回目に参加したキャンプでのこと。フロントダイビングでボールにアタックする際に怖がってしまい、前に出ることができませんでした。そのプレーをコーチに指摘されると、悔しさのあまり涙がこぼれてきました。
「コーチに『何で前に行かないの?』と言われて、ちょっと泣いてしまったけど、その後にしっかり考えて、『GKとしてゴールを守るために、びびってはいけない。もう怖がらないぞ』と思いました」
精神面で成長するきっかけを得て、アグレッシブにプレーすることができるようになった謙心くん。その成長がコーチ陣に認められ、その日のキャンプ終了後、取り組みが素晴らしかった選手に送られる『澤村賞』に選ばれ、GKグローブをもらいました。
「もらったグローブは大切に持っています。サイズが大きいので、自分が大きくなったときに使いたいです」
4月から中学生になる謙心くん。これからもGKキャンプで教わったことを胸にトレーニングに励み、いつの日かもらったGKグローブをつけて、ファインセーブを見せてくれることでしょう。