インタビュー
「メイドインジャパンの誇りを持ち、世界の頂を目指したい」JFAナショナルチームパートナー契約を締結した、アパホテルの想い
公開:2023年6月14日 更新:2023年6月30日
サッカーを支える企業にスポットを当て、想いを聞く企画。今回はアパホテル株式会社です。同社は2023年3月より、SAMURAI BLUE(日本代表)、なでしこジャパン(日本女子代表)など、すべてのカテゴリーの日本代表チームをサポートする契約を締結しました。
新たにJFAナショナルチームパートナーとなったアパホテルは、どのような想いでサッカーに携わっているのでしょうか? アパグループ社長兼CEOの元谷一志さんに、話をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)
■ジュニア年代のサッカーを支援
――まず、アパホテルとサッカーの関わりについて、お聞かせください。
弊社には『アパリゾート上越妙高』(新潟県)という施設がございまして、そちらで2009年から、小学生対象のサッカークリニックを10年以上続けております。U-11を対象とした『アパ名蹴会レジェンドカップ』という大会を、名蹴会さんと組んで開催しておりまして、こちらは今年で5年目になります。今年2023年は8月27日(日)に開催を予定しており、現在全国から参加チームの募集を行っています【詳細はこちら】。
――小学生年代のサッカーをサポートする理由を教えてください。
弊社が『アパリゾート上越妙高』を取得したときに、広大な施設があったので、それを生かしたいと考えました。地元のみなさまと共創と言いますか、ともに作り上げていく中で、上越妙高を子どもたちのサッカーの聖地にしたいという想いもあります。
コロナ禍に見舞われた2020年以降、ホテル業界は大変で、このようなメセナ活動を継続するにあたり、「赤字を出してまでやる必要があるのか」という意見もありました。
それでも、私は継続することに意味があると思ったのと、子どもたちのサッカーを支援したいという想いで、私財を投じて実施しました。それが結果として、今回のJFAのスポンサードにも結びついたのかなと思っています。
――――元谷社長自身、サッカーがお好きとのことですが、どのような関わりがあるのでしょうか?
私は横浜フリューゲルスのサポーターで、よく三ツ沢競技場に行っていたんです。御存知の通り、フリューゲルスは統合して、横浜F・マリノスになってしまったこともあり、サッカーからは少し離れていたんですね。
その後、日韓ワールドカップがあって、メキシコ対クロアチア(新潟)、ナイジェリア対イングランド(大阪)のチケットが当たったので見に行きました。それを機にサッカー熱が甦って、2006年のドイツワールドカップは、カイザースラウテルンで行われた、日本対オーストラリアを現地で観戦しました。
その頃から、もし機会があれば、日本代表に何かしらの形で携わることができればいいなと思っていました。ただ、その頃は会社も小さくて、大したことはなかったんですけれども。
ちなみにオリンピックの試合も見に行っていて、2000年は日本対スロバキア、2004年は日本対イタリア、2008年は日本対ナイジェリアを見て、2012年はロンドンでなでしこジャパンとアメリカの決勝戦を現地で見ました。
■サッカーは民間外交に近い
――エピソードから、サッカーがお好きなことが伝わります。サッカー日本代表とパートナー契約を結んだことについては、どのようなお気持ちですか?
もし、そのようなお話をいただけるのであれば、前向きに進めたいと思っていました。日本代表とパートナー契約を結んだ企業として、弊社はホテル業界初であり、オーナー企業としても初めてなんですね。
私が2022年にCEOに就任して、半年ほど経過したときにお話をいただいたのですが、日本代表とのパートナー契約はアパブランドとして、もう一段上に行くために重要な意思決定になると思い、即断即決で受諾しました。
――サッカー日本代表をスポンサードする上で、どのようなメリットを感じていますか?
スポンサーとして、森保ジャパンのウルグアイ戦、コロンビア戦を見に行かせてもらいましたが、サッカーは民間外交に近いと感じています。スタジアムでは他の企業や海外の方と話をする機会がありますし、海外のサポーターが日本に来て、アパホテルを利用していただくときに『日本のホテルのクオリティって、こんなに高いんだ』と認識していただくきっかけにもなると思います。
2026年には、アメリカ、メキシコ、カナダでワールドカップが行われますが、弊社はカナダのバンクーバーに『コーストホテル』というブランドを持っています。日本ではアパですが、北米ではコーストホテルとして展開しているので、次回のワールドカップにおいて、シナジーが生まれるのではないかと期待しています。
■ともに、世界の頂点を目指す
――今後のビジョンをお聞かせください。
オーナー企業は長期展望を描きやすいので、いま収益に結び付かなかったとしても、種をまくことが鉄則です。中期5ヶ年計画のみならず、その先の10年、15年、20年を見据えたことをやっていきたいと思っています。
JFAさんとのパートナーシップのコンセプトの中で「ジャパンプライド 日本はもっと強くなれる」というワードを使っていますが、ジャパンプライドという言葉自体は、元々アパホテルのブランドコンセプトの一つとしてありました。
日本代表は「2050年にワールドカップで優勝する」という目標を立てていますが、弊社としても、それと同じぐらいのスピードで成長していきたいですし、そのためにどうするかをいまから備えることが大事だと感じています。
――『JFAの約束2050』が、すぐに出てくる社長さんは珍しいです。
現在、日本のFIFAランキングは20位ですが(注・2023年4月6日発表時点)、弊社はホテル客室数で世界19位なんですね。ともに、世界の頂点を目指すという点においては、立ち位置的にもシナジーを感じています。
昨今、海外のお客様が多く宿泊してくれていることを考えると、アパブランドはワールドワイドになりつつあると思っています。サッカー日本代表と同じく、メイドインジャパンの誇りを持ちながら、世界の頂を目指してやっていきたいです。