インタビュー
元興国高校サッカー部・内野智章さんに聞く、トップレベルの選手に共通する「小学生時代から身に着けたいちから」スキル編
公開:2026年10月16日 更新:2026年10月21日
興國高校サッカー部の元監督で、現在は奈良クラブのTDを務める内野智章さんのインタビュー。
多くのプロ選手を輩出していることで知られる内野さんが考える、サッカーで成功する子になるために小学生年代に身に着けておくべきちからとは?
前回はメンタル面の3つを紹介しましたが、それ以外にも小学生年代からできれば身に着けておきたい力は多数あります。
今回はスキル編。今のうちからできるようになっておくと良いことについて解説します。
(取材・文 内森那恵 写真・内野智章さん提供)
元興国高校サッカー部監督で、現在はJリーグ奈良クラブのTDを務める内野智章さん(写真提供:本人)
■持ってないとマズいちから①自主練をやり続けるちから
サッカーはボールを足で扱うスポーツなので、自分の思ったところにボールを止められて、狙ったところに蹴れるかが重要。サッカーの原理原則を頭と体で知ることともいえます。つまり、自分の足でボールをどう扱えるようになるかが大切ということ。そのために必要なのは自主練です。
日本人は真面目にコーチの指導を身に着けようとしますが、結局は自分の感覚が必要なんです。ブラジルなど、言われても言うことをきかずに自己流を貫こうとする国の子どもたちがボールの扱いが上手なのはそんな国民性もあるはずです。言われたことをそのままするのではなく、自分の感覚でボールを扱えるようになりましょう。
自主練は、うまくいこうがいかまいが、地道に努力し続けることです。その努力を努力と思わないぐらいやり続けれる子はキラリと光ります。数百人規模の大所帯チームでAチームに上がってくる子はみんなそう。やらされているのではなく、自らやる気持ちが強い子たちです。
都会では難しいかもしれませんが、「サッカーの練習に行かないとボールが蹴れない」という環境は残念。親御さんは子どもが自由にボールを蹴ることができる場所を見つけてあげてほしいところです。整備されたグランドでなくてもかまいません。土や整備されていない芝生でボールを蹴ることも実はとても有効で、イレギュラーな状況に対応する能力が伸びます。。
■持ってないとマズいちから②サッカー以外のいろいろなスポーツの経験
小学生の間にメジャーなスポーツはひと通りできるようになってほしいとも思います。サッカー以外のスポーツをすることで、体の動かし方がわかり、コーディネーション能力が伸びます。海外のチームでは柔道を練習に取り入れているところもあって、それにより格段に能力が伸びたというデータもあります。しかも怪我が減ったという嬉しい副次的効果もあるとか。
サッカーを真剣にしてきた今の子どもたちを取り巻く運動能力は、サッカーだけに偏りすぎています、手を使うスポーツや格闘技をしたり、体操で身体操作を学んだりして、スポーツのベースがバランスよく身に着いた状態でジュニアユースやユースに進んでほしいです。
■持ってないとマズいちから③質問するちからとアウトプット力
選手たちと(写真提供:本人)
わからないことをそのままにしない習慣も子ども時代から身に着けたいスキルです。これは、臆せず質問することをやり続けるのが一番。質問力は、自分で考え、それを言語化してアウトプットする力にもつながります。
成功しているスポーツ選手のサクセスストーリーの中に高頻度で登場する「サッカーノート」や「野球ノート」がありますが、これも原理は「学びを言語化する」ことに他なりません。インプットとアウトプットを的確に繰り返すことが成長につながっているわけです。
■持ってないとマズいちから④コミュニケーション能力=愛され力
コミュニケーション能力は、いわば「人間としてのスキル」そのものです。プロの世界にいってもこれがないと通用しないのが実情で、海外ではさらに顕著になります。世界で活躍する日本代表の選手たちも、最初はコミュニケーション不足がプレーにも影響していたというエピソードは多いものです。ロッカールームでひょうきんなことをして笑ってもらうことで存在を認めてもらい、試合中にパスがくるようになったなんていう話も聞きますよね。
高校生の段階でそういったコミュニケーション能力を備え、先輩や大人に可愛がってもらえる、意思疎通がしっかりできるようでないと、卒業後プロになっても伸び悩みます。多くの高校生をみてきて、技術や身体能力よりも、そこが課題な子が多いと思っていました。
そのため、小学生のときから年上の人と接する機会をもって、リスペクトを持って接し合えるような関係性を築く練習をしておきましょう。そして年下の子たちからは慕われるような人間力を磨きましょう。
初めて会う人たちと過ごす合宿や短期留学などで、いつもと違う社会や文化に触れて、そこでちゃんとコミュニケーションを取る能力を育てられる機会を与えるのも意味があることです。
あとは「スベる経験」をたくさんすることも大切。興國高校では、カテゴリーが上がってきた選手には自己紹介時に一発ギャクをしてもらいます。そのときにスベる選手が大半ですが、それが狙いです(笑)。最初にだだスベりすることで、怖いものはなくなりますし、「おまえ、おもんないな」とかわいがってもらえます。大阪っぽいでしょ。
子どものうちに「受けなかった」という小さな挫折経験をするのは、意味があることです。「スベってなんぼ」精神でいきましょう!引っ込み思案なサッカージュニアは、一度関西にお笑い修行に来るのもおすすめです。関西にきてスベりちらかしてもらいたい。 メンタルも鍛えられますよ!
■持ってないとマズいちから⑤凹んでもすぐに回復し、見返してやるという気持ち
監督やコーチに厳しいことを言われても、そこで打ちひしがれて凹み続ける子と、凹む時間は最小限にして受け入れて、自分のプレーの幅を広げる努力を早い段階で始められる子がいるのですが、そういうところが後々大きな差になります。
落ち込む時間は短めで、その言葉を糧に見返してやろうとするくらいの強いメンタリティで、出来なかったことを悔しがって、必死に努力して次のチャンスではできるようになっているような子が伸びます。試合中にできたら「どや!」とこちらの顔を見て褒められようとする選手こそ、将来に期待できます。
■持ってないとマズいちから⑥「休む」余白とよい睡眠
最後に、生活習慣。基本中の基本ですが、「睡眠と食事」は成長期の小学生は重視してほしいところです。しっかり食べて寝て、体を大きくしましょう。
そして休む時間も大切です。サッカー以外のスポーツもしようとお話ししましたが、練習がない日は他のスポーツをしたり、友達と遊んだりする「余白」を持ちましょう。そういった時間がコミュニケーション能力や運動能力を伸ばすことにつながります。
インタビューで内野さんがたびたび口にしていた言葉は「人間力」。
将来、高いレベルでサッカーをするために小学生のときから身に着けておきたいことについてのお話でしたが、人としての奥行きの深さが、サッカーにおける力をアシストしてくれることがわかりました。
的確にサポートするためには、親の「人間力」も大切なはず。子どもとともに身に着けていきたいですね。
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