■選手の個性をイメージさせる数字でもある背番号
知っていそうで知られていない、世界のサッカー常識についてランダムにとりあげるこのコーナー。世界各国で様々に楽しまれているサッカーというスポーツの奥深さを感じるような話題、子どもとの会話のネタになるような話題を数多くセレクトしていきます。第10回目は「背番号」にまつわるちょっとしたエピソードです。
現在のJリーグではゴールキーパーが「1」と「12」以降の数字をつけることや、登録選手が50人以下の場合は「50」以降の数字をつけることは認められないことは前回、紹介しました。では海外ではどうなのでしょうか。
例えば78年、82年のワールドカップではアルゼンチン代表が、選手の名前のアルファベット順に番号を割り振っていたという過去があります。イタリア代表でもこのアルファベット順の背番号は見られました。イタリアのトップリーグであるセリエAでは、1番から99番まで自由に背番号を決めて良いという規定もあります。これにより、かつてブラジル人のトップストライカー、ロナウドは99番を背中につけてプレーをしていました。先日までACミランに在籍していた同じブラジル人のロナウジーニョは自分の生まれた1980年にちなんで80番をつけていました。そのほかにも77番や90番など大きな数字が多いイタリアでは、生年の2ケタを背番号にするという流行もあるそうです。
また、番号ごとに「何かを連想させる」イメージというものもあります。例えばイングランドでは1900年代初頭、3-2-2-3というフォーメーションを主流としていました。この並びだと一番前のFWは3人。この3人がそれぞれ11番、9番、7番をつけることが多かったため今でもこれらの番号は攻撃的に優れた選手がつける番号というイメージが定着しています。一方、南米のブラジルでは1950年代にワールドカップを制覇したメンバーの中心だったペレが10番をつけていたことから、中心選手は10番というイメージが定着しています。また、1960年代にオランダの名選手として活躍したヨハン・クライフは14番を好んでつけていました。彼は「誰もつけていないこの番号を自分の番号とする」と言い、14番をつけ続けたのです。そのクライフが世界の憧れとなり、同時に、14番は特別な選手がつける番号というイメージが世界中に広がりました。
このように背番号には「個性」や「歴史」が文字通り、背中合わせとなってもいるのです。ポジションを象徴する数字でもあり、選手の個性をイメージさせる数字でもある背番号。こうしたことを知りながらサッカー観戦をしたり、お子さんと背番号について語り合ったりするのも楽しいものですよ。
『知ってます?世界のサッカー常識』全12回