サッカーにおいて守備戦術は時代と共に進化し、現代サッカーでは様々なフォーメーションが採用されています。
その中でも、今回は「スリーバック」と「フォーバック」という二つの主要な守備システムに焦点を当て、それぞれのメリット・デメリットを徹底的に比較解説していきます。
<目次>
1.スリーバックとは?
2.フォーバックとは?
3.3バックの基本的な構成
4.3バックの守備戦術
5.3バックの練習方法
6.4バックの基本的な構成
7.4バックの守備戦術
8.4バックの練習方法
9.3バックの長所と短所
10.4バックの長所と短所
11.3バックと4バック、フォーメーション採用基準
12.まとめ
スリーバックとは?
スリーバック(以下3バック)とは、最終ラインに3人のディフェンダーを配置する守備戦術です。サイドバックが中盤に上がり、攻撃に厚みを加えられる点が特徴で、近年多くのチームで採用されています。
フォーバックとは?
フォーバック(以下4バック)とは、最終ラインに4人のディフェンダーを配置する守備戦術のことです。世界的に見ても多くのチームで採用されており、バランスの良さが特徴です。
3バックの基本的な構成
3バックは、中央に位置するセンターバック1人と、その両脇をカバーする2人のストッパーで構成されます。ストッパーは、状況に応じてサイドバックの役割も担い、攻守において重要な役割を果たします。
・センターバックの役割
3バックの中央に位置するセンターバックは、守備の要であり、最終ラインの中心選手として、広範囲のカバーリング、的確な状況判断、そして強力なヘディングやフィジカルの強さが求められます。
・ゾーンディフェンスの原理原則
3バックは、ゾーンディフェンスを基本とします。これは、ピッチを決められたゾーンに分け、それぞれの選手が担当するエリアの守備を行う戦術です。スペースを埋める意識と、味方選手との連携が重要になります。
・ボール保持者への対応
3バックの場合、ボール保持者へ積極的にアプローチをかけるか、スペースを消してパスコースを限定するかが状況によって異なります。状況判断と連携が重要となり、トレーニングを通して共通理解を深める必要があります。
3バックの守備戦術
3バックの守備戦術は、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。ここでは、基本的な戦術を3つ紹介します。
・相手選手へのマーク方法
相手選手へのマーク方法は、状況に応じてマンツーマンとゾーンを組み合わせます。基本的にはゾーンで守備を行いながら、危険エリアではマンツーマン気味にマークすることで、相手の攻撃を封じ込めます。
・パスコースの遮断
3バックは、中央に人数を配置できるため、相手のパスコースを遮断しやすい点が特徴です。特に、中央への縦パスを警戒し、パスコースを限定することで、相手の攻撃をサイドに追いやることができます。
・守備ラインのコントロール
3バックは、状況に応じて守備ラインを上下させることで、相手の攻撃に対応します。高い位置で守備を行う場合は、オフサイドトラップも有効な手段となります。
3バックの練習方法
3バックの守備を習得するには、個人戦術とチーム戦術、両方の練習が重要になります。
・個人戦術の練習メニュー
個人戦術の練習では、1対1の場面を想定した練習や、カバーリングの練習などが有効です。 例: 1対1の対人練習: ディフェンダーとフォワードに分かれ、1対1の状況を作り出す。ディフェンダーは、身体の向きや距離感を意識しながら、ゴールを守ること。 カバーリング練習: 3人1組でパス交換を行いながら、サイドから突破を図る攻撃者を想定し、中央のディフェンダーがカバーに入る動きを確認する。
・チーム戦術のトレーニング
チーム戦術のトレーニングでは、コンパクトネスを保ちながら、連動した守備を行う練習が重要です。 例: 数的有利な状況を作り、ボールを奪いに行く練習: フィールドを区切り、ディフェンダー3人に対し、アタッカー2人で攻撃を開始する。ディフェンダーは、数的優位を活かし、素早くボールを奪いに行く。 ポジションチェンジを伴う守備練習: サイドからボールを持たれた状況を想定し、ストッパーが前に出て対応し、その後空いたスペースを誰が埋めるのか、ポジションチェンジを含めた守備練習を行う。
・守備側のポジション取り
3バックは、常に三角形を意識したポジション取りが重要です。また、状況に応じてラインを上げ下げし、コンパクトな陣形を保つことが重要です。
4バックの基本的な構成
4バックは、中央に2人のセンターバック、両サイドにサイドバックを配置します。それぞれの連携と役割分担が重要となります。
<h3">・センターバックとサイドバックの連携
センターバックとサイドバックの連携は、4バックにおいて非常に重要です。サイドを突破された場合、センターバックがカバーに入り、サイドバックの上がりをサポートします。
・守備ラインの高さと幅
4バックは、状況に応じて守備ラインの高さと幅を調整します。相手の攻撃が速い場合は、ラインを下げてスペースを消し、遅ければラインを上げてコンパクトネスを保ちます。
・相手の攻撃への対応
4バックは、相手の攻撃に対して柔軟に対応する必要があります。サイド攻撃にはサイドバックが対応し、中央突破にはセンターバックが対応します。
4バックの守備戦術
4バックは、状況に応じてゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスを使い分けます。ここでは、4バックにおける基本的な守備戦術を紹介します。
・ゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスの使い分け
基本的には、ゾーンディフェンスをベースとしながら、危険エリアではマンツーマン気味にマークをつけるなど、状況に応じて使い分けます。
・ボールへのプレッシャーのかけ方
ボール保持者に対しては、素早くプレッシャーをかけ、パスコースを限定します。2人目の選手がカバーに入り、ボールを奪いに行く意識も重要です。
・ゴール前の守備
ゴール前は、特に集中力が必要となるエリアです。ペナルティエリア内では、マンツーマン気味にマークし、シュートやパスをさせないようにします。
4バックの練習方法
4バックの守備を習得するには、守備側の連携トレーニングと、攻撃側への対応練習が有効です。
・守備側の連携トレーニング
守備側の連携トレーニングでは、4人が連動して守備を行う練習が有効です。 例: サイドチェンジへの対応: 攻撃側がサイドチェンジを繰り返す状況を作り出し、守備側はスライド移動をしながら、連動して対応する練習。 クロスへの対応: サイドからクロスボールを入れられる状況を想定し、マークの受け渡しや、ゴール前の危険なスペースを消す動きを確認する。
3バックの長所と短所
3バックには、以下のようなメリットがあります。
・攻撃への迅速な切り替え
サイドバックが攻撃参加することで、数的優位を作りやすく、ボールを奪われた後も素早く攻撃に転じることができます。
・守備の安定性
中央に3人のディフェンダーを配置することで、中央突破を許しにくく、守備の安定感が高まります。
・チームのバランスの維持
サイドバックが攻撃参加することで、中盤の人数が減りますが、3人のセンターバックがバランスを保つことで、チーム全体のバランスを維持することができます。
一方、3バックには、以下のようなデメリットも挙げられます。
・サイド攻撃への脆弱性
サイドバックが攻撃参加することで、サイドのスペースが空きやすく、相手のサイド攻撃に対して脆弱になる可能性があります。
・ボール保持者へのプレッシャーの難しさ
3バックは、ボール保持者へのプレッシャーをかけにくいフォーメーションです。そのため、相手にボールを持たれる時間が長くなり、主導権を握られやすくなります。
・個々の選手への負担増加
各ポジションの選手の活動範囲が広くなり、運動量や戦術理解度など、個々の選手への負担が大きくなります。
4バックの長所と短所
4バックは、守備の安定感と攻撃のバリエーションの豊富さが魅力ですが、デメリットも存在します。
・4バックの長所
サイドバックが守備に専念することで、サイドのスペースを消しやすく、相手のサイド攻撃に対して強固な守備を築けます。
・パスコースの多様性
4人のディフェンダーがバランスよく配置されるため、パスコースの選択肢が広がり、攻撃のバリエーションを増やすことができます。
・守備ラインの安定感
4人が横一列に並ぶことで、守備ラインが安定し、相手の攻撃に対して柔軟に対応することができます。
・4バックの短所
一方、4バックには、以下のようなデメリットも挙げられます。
中央の守備の隙間
中央に2人のセンターバックしかいないため、相手の巧みなパスワークや個人技によって、中央の守備にスペースを作られる可能性があります。
・攻撃への切り替えの遅れ
サイドバックが守備に専念するため、攻撃参加が遅れ、ボールを奪った後、素早く攻撃に転じることが難しい場合があります。
3バックと4バック、フォーメーション採用基準
攻撃と守備のバランスを保つのが難しく、状況判断と戦術理解度が求められます。 どちらを選ぶべきか? 3バックと4バック、どちらのフォーメーションを採用するかは、一概に断言できません。状況に合わせて、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最適な選択をすることが重要です。
・チームの特性と戦術
攻撃的なチームであれば、3バックを採用することで、より攻撃的なサッカーを展開できる可能性があります。逆に、守備的なチームであれば、4バックを採用することで、より安定した守備を築くことができるでしょう。
・選手の能力とポジション
個々の選手の能力や特徴も、フォーメーションを選択する上で重要な要素となります。例えば、スピードとスタミナに優れたサイドバックがいる場合は、3バックを採用することで、その能力を最大限に活かすことができます。
・相手チームの分析
対戦相手のフォーメーションやプレースタイルも考慮する必要があります。相手の攻撃が強力な場合は、守備の安定性を重視して4バックを採用する、といったように、状況に合わせて柔軟に対応することが重要です。
まとめ
サッカーのフォーメーションは、時代と共に進化し続けています。3バックと4バック、それぞれのメリット・デメリットを理解し、状況に応じて最適な選択をすることが、勝利への近道と言えるでしょう。
こちらもおすすめ
- 【動画】サッカーのリフティング練習方法は? 小学生でもできる上達2大ポイント...
- 2020年7月20日
- サッカーを始めたばかりの子供の中には、リフティングに取り組んでいる人もいるのではないでしょうか 。個人技術を身につける練習の定番リフティングですが、ただこなすだけでなく、少し意識を...続きを読む