こころ
良い親の定義に縛られていませんか? 子どもがスポーツを楽しむために"本当に必要なこと"とは
公開:2017年7月31日 更新:2021年1月27日
キーワード:サポートスポーツペアレンティング成長良い親親子
子どもが育っていくために、親はしなければいけないことがあります。
乳幼児期には身の回りの世話をしなければいけません。食事を与えず、身の回りの世話も全くしなければ、幼い子どもは生きていくことができません。子どもの養育者である大人が子どもの世話を一切しないのは、児童虐待や育児放棄です。
一方で、食事を与え、体調に気を配る以外にも、親はもっともっと子どものためにやらなければいけないことがあるように感じます。多くの親は、自分が何かをさぼったことで、子どもの将来の可能性がつぶされることのないようにと考えているのではないでしょうか。私もそうです。
子どもの成功を願い、サポートをする「良い親」でいることが本当に子どものためになるのでしょうか。米国コロラド大学の教授、ジェイ・コークリー氏にお話を伺いました。(取材・文 谷口輝世子)
■「良い親」の新定義とは
幼児や小学校低学年の子どもが「サッカーをしたい」と言えば、親はサッカーチームを探します。必要な用具を揃えます。サッカーをやりたいという子どもの願いを、親が取り合わなかったら、子どものやる気や才能をつぶしてしまうのではないかとも考えるでしょう。
良い親とは、子どもの将来の可能性をつぶさずに広げてやり、子どもの成功をサポートできることなのかもしれません。親が熱心に子どもをサポートして、正しい子育てをしたからこそ、競技に秀でた選手に育ったという事例は少なくないでしょう。
しかし、今の時代の「良い親の定義」が、親である私たちと、子どもたちの負担になっている一面もあるようです。
先日、スポーツ社会学研究の第一人者である、コロラド大学のジェイ・コークリー教授に取材する機会があり、子どものスポーツを取り巻く環境についてたずねました。
コークリー教授は「良い親の定義が変わってきています。良い親の新しい定義として、子どもの成功や子どもの夢をサポートしなければいけないということがあります。子どもの成功にも、失敗にも良い親は責任を持つものだ、と」と切り出しました。
そして、コークリー教授は親に対する社会の視線の変化をこのように指摘しました。「私は73歳になりました。私が子どもの時、つまり2世代前の話ですが、私はなかなかいい野球選手だったので、私の親は"ジェイのような子どもがいて幸運ですね"と周囲から言われていたのです。今は、子どもがスポーツで活躍すると、親は周囲の人から"お子さんをどのようにクリエイトしたのですか"と声をかけられます。良い選手の親は良いクリエイターだと見なされているのです」
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文:谷口輝世子