「サッカーをやりたいというからチームに入れたのに、一生懸命さがいまいち伝わってこない。もっとがんばってほしい」
「集中してものごとに取り組むことができない。どうしたら集中できるようになるだろう」
あなたはお子さんの行動をみて、このように歯がゆく思ったことはありませんでしたか? サカイク編集部にも似たような意見が多数寄せられています。今回は、そんな読者の悩みを、30年間多くの子どもたちを見てきた“子育てのプロ”足立明美先生にぶつけてきました。(取材・文 竹中玲央奈)
■“集中できない”のか“集中しているけど時間がかかる”のか
【読者からの質問】
子どもがさまざまな局面で集中していない場面が見られますが、どうすれば改善できますか?
【足立先生の回答】
“集中できない”というのがどの範囲なのか、またお母さんがどのように捉えているのかがポイントです。“集中できない”と思うのは、どんなときですか? 短い時間で早く終わらせるという意味で「集中して早くやりなさい」という親御さんもいますが、子どもによってはペースや取り組み方はそれぞれです。しっかりと、その子を見極めてあげないといけません。もしかしたら、その子なりの集中をしているかもしれないですよ。
【読者からの質問】
「うまくなりたいと言うわりに、チームの練習以外ではあまり練習をしない。これでいいのでしょうか? 正直に言うと、自主練などをしてもっとやる気をみせてほしいです」
【足立先生の回答】
サッカーにかぎらずスポーツを練習するときには、きちっとしたコーチのもとであれば悪い癖を直してもらえますが、自分1人で練習しようとすると、悪いところまで伸びてしまうこともあります。その結果、上手くならなくなるということもあります。これは学習にも当てはまることですよね。1人で黙々と漢字練習をやっていても、簡単な漢字のミスを繰り返してしまうこともあります。近くにいるお母さんが気づいてあげることは重要です。
サッカーでも、チームに入っているのであればそこで一生懸命やるのがまず重要です。そこでエネルギーを使い果たしているかもしれないのですから。チームに入っていたら、チームの練習が一番です。体力を維持するために走るとか、ボールに慣れさせるためにはヘディングやキックを1人で軽くする必要があるかもしれませんが……。
子どもが上達しない、熱心にやってくれないというときには、まず立ち止まってみることが大事です。極端な話ですが、そのときに子どもの気持ちがサッカーに向いていなければ辞める決断もありだと思うんです。「子どもがやりたいと言うからやらせた」と親は言いますけど、最終的にそれをやらせたのは親なのですから、そこを間違えないように。勉強でもサッカーでもその他の習い事でも、上手くいっていないと感じたときにはちょっと立ち止まることです。もちろん親としては最短距離を進んでもらいたいと思うのは当たり前です。ところが、それが子どもにとって大きな負担になっている場合もありますから、しっかりと見極めてあげないと。
■がんばるお母さんの多くが子どもに「がんばりなさい」と言っている
【読者からの質問】
子どものサッカーへのサポートをするためのアドバイスが欲しいです。
【足立先生の回答】
ママたちには「がんばりすぎなくていいですよ」と伝えたいです。がんばっているお母さんは子どもにいつも「がんばりなさい」と言いがちです。お母さんも”がんばらなきゃ”と思ってるのではないでしょうか。試合の日には、ママ友と車を出しあうこともあると思います。そういうときに気をつけたいのは、“友だちに頼めることは頼む”ということです。子どもがスポーツを続けていると、ときにママの体調が悪くなることもあるでしょう。そういうときに、「絶対に自分がやらなければいけない」とがんばるのではなく、誰かに頼めばいいのです。お母さんがお願いする勇気を持つと、結果的に子どももスポーツを長く続けられると思います。子どもの遠征の時に自分が車を出す当番のとき、都合がつかないときは誰かにお願いしても良いんです。みんながそういう気持ちであれば協力しあえると思います。
【読者からの質問】
子どもが習い事を複数やっていることで、勉強させる時間がありません。
【足立先生の回答】
子供がやりたい、できると思っていても、大人が「時間がない」というと、子どもは素直にそれを受け止めてしまいます。もしお母さんが「時間がないから無理だよ」といった時点で時間はなくなるんです。思った時点でなくなるので、“時間を上手く作れるんじゃないか”と思うことが重要です。ただ、その時間はまとまった時間でなくても良いと思います。時間を作るというとまとめて1時間と考えてしまいますが、朝ごはんの前の15分やお風呂に入る前での10分とか、そういう細切れの時間の中で習慣化していければ良いのではないかな、と思います。あとは、”子供のために時間を作る”のではなくて、親のライフスタイルに取り入れても良いと思います。10分とか20分という時間は間違いないなくあるんですから。
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取材・文 竹中玲央奈