このコーナーでは、Jリーグや大学など、トップレベルのチームで監督として豊富な指導経験を持つ、桑原隆さんに、TVやスタジアムで試合を観て、知識や技術を豊かにしていく"コツ"をお聞きしていきます。
■サイドの攻防ではセンターにも注目する
「現代サッカーにおいて、サイドの選手、サイドのスペース、サイドでの駆け引きなど『サイド』というキーワードは、かなり重要な存在になっています。サッカーでは得点が生まれる確率が高いのは、ペナルティボックス付近です。そうなると自然とそこへの守備は強化され、ゴールまでの最短距離である中央突破は難しい状態になってきます。そこでサイドの重要性が出てくるんです。簡単に言うとサイドにボールをちらすとセンターが手薄になってくるということですね。
それでもチームによっては、サイドの守備を緩くして、センターをさらに強化するという戦術をとっている監督もいます。実際、サイドにボールがあるときの守備は非常に難しいんですよ。DFは相手をマークしながら、サイドから入ってくるボールを同一視野で捉えていなければいけません。そういった状況というのは、オフェンスの選手にとっては非常に駆け引きがしやすいんです。 逆にDFは相手を捕まえなければいけないが、ボールも見失ってはいけない。そのどちらかを怠ってしまうとポジション取りやマークにもずれが出てきてやられてしまう。中央突破ではそのような心配は少ないですよね? だから、サイドにボールがある時、中央のそういった駆け引きに目を向けてみると、より深くサッカーを楽しめると思いますよ。
また、オフェンス側がサイドを突破した時、どういったクロスを放り込むのか、センターでボールを受けるFWがどういった動き出しをしているのか、そういった部分にも注目してほしいですね。 何度も動き直しをしたり、ボケーっと立っていていきなりダッシュでマーカーのDFを振り切る選手など、そこには色々な駆け引きがありますから。FWの選手はぜひ、それを見て参考にしてください」
桑原隆//
Takashi Kuwahara
1948年5月5日、静岡県出身。藤枝東高校卒業後、古河電気工業で攻撃的MFとして活躍。現役引退後に指導者となり、96年から9年間にわたって監督・コーチ・強化育成部などを務め、ジュビロ磐田の黄金期を支えた。その後、浜松大学監督、横浜F・マリノス監督を歴任。Jリーグや海外リーグ等、サッカー中継の解説者としても幅広く活躍している。
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