一方、相手がマンツーマンで守備を行っている場合はこのようなギャップは生まれず、以下のような状況になります。
この場合は自分に密着してくる相手のマークを、いかに外すかが大事です。それを実践するためには『チェックの動き』が有効になります。下の図を見てください。
あえて相手ゴールから遠ざかる方向へ1歩、あるいは2歩動き、そこから急激に反転してディフェンスラインの裏のスペースを狙います。このおとりの1歩を『チェックの動き』と呼びます。マンツーマンでマークしている相手は、このような陽動にピッタリとついて来るため、それを逆手に取るわけです。チェックの動きには次の図のようなパターンもあります。
最初に裏のスペースを突こうとして動き出し、そこから急激に反転して足元でパスを受けます。相手は背中を取られることを警戒して必ず下がるため、余裕を持ってパスを受けることができます。
裏と見せかけて足元、足元と見せかけて裏。チェックの動きにより、このような駆け引きを行うことでFWは相手ゴールに近づきやすくなります。
■クロスに対するポジショニング
FWはサイドからのクロスでゴールを決める場面も多くなります。クロスに対してFWが立つべきポジションは、ニアサイド、ファーサイド、マイナス方向の3つです。
この3つの有効スペースの中から空いているスペース、あるいは味方クロッサーが蹴ろうとしている様子などを総合的に判断して走り込むことになります。このとき最も重要になるのは走り出すタイミングです。
クロスに対して走り込むタイミングが早すぎると、その場に立ち止まってクロスを待つような形になり、ヘディングなどで十分な威力をボールに与えることができません。そのため、上図のように味方がクロスを上げるタイミングを図り、ゴール前へ走り込む勢いをそのままボールに伝えられるタイミングでスタートを切ることが大切になります。
今回紹介したオフザボールの動きは、どれも些細なことのように思えますが、点を取る嗅覚のあるストライカーはこのような動きをきちんと実践しています。ぜひ、意識して取り組んでみてください。
清水英斗(しみず・ひでと)//
フリーのサッカークリエイター。ドイツやオランダ、スペインなどでの取材活動豊富でライターのほか、ラジオパーソナリティー、サッカー指導、イベントプロデュース・運営も手がける。プレーヤー目線で試合を切り取ることを得意とし、著書は、『イタリアに学ぶ ストライカー練習メニュー100 』『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』『サッカー守備DF&GK練習メニュー100』『サイドアタッカー』 『セットプレー戦術120』など多数。
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文/清水英斗、写真/小林健志(2012全日本少年サッカー大会より)