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香川選手や長友選手も駆使する、速さの質を上げる大きな武器 "アジリティ"とは?

公開:2013年2月15日 更新:2013年2月22日

キーワード:スピードドリブルフェイント

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 サッカー選手が高めなければいけない能力ってなんでしょう? キック力、スピード、テクニック、判断力、結局全部?・・・・・・。今回は現代サッカーで特に重視され、特に日本人選手が世界の舞台で戦うためには必須とも言える“アジリティ”をキーワードに、“スピードの質”について考えてみましょう。
 
 

■最強の必殺技“アジリティ”

 古くはペレのバイシクルシュート、カズのマタギフェイント、メキシコ代表、ブランコのカニバサミなんてのもありましたね。翼くんのドライブシュートに日向くんの雷獣シュート、豪炎寺修也のファイアトルネード・・・・・・あれ? ちょっと話が逸れていますね。古今東西、サッカーのヒーローたちはとっておきの必殺技を持っています。本田圭祐選手の無回転シュートなんかもそうですよね。
 
 必殺技を身に付けて、ピッチで活躍したい! 誰もが一度は夢に見るものですが、現代サッカーの必殺技は意外に地味で、それでいて効果的なものなのです。
 
 先日のチャンピオンズリーグ、レアル・マドリー戦にもトップ下で先発出場した香川真司選手(マンチェスター・ユナイテッド)。身長172㎝の香川選手は、なぜ欧州の大型DFのプレッシャーをかいくぐり、ゴール前で決定的な仕事をこなせるのか? 同じく欧州を舞台に存在感を見せる身長170㎝の長友佑都選手がイタリア、セリエAの名門インテルのレギュラーサイドバックとして活躍できる理由は?
 
 小柄な日本人選手が世界で活躍するキーワードのひとつに“アジリティ”という言葉があります。
 
アジリティ=agilityは、英語で
 
(動作の)敏捷(びんしょう)さ,機敏さ,すばしっこさ(思考・判断の)機敏さ,明敏さ
 
 を示す言葉です。
 サッカー界では、敏捷性を高める「アジリティ・トレーニング」とともに10年くらい前からよく使われるようになった言葉です。
 
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■足の速さとサッカーに求められる速さは違う?

 サッカーでの速さと「あの子は足が速い」という場合の速さは少し意味合いが違います。
 ボールを使ってドリブルする場合は100m走の世界記録保持者ウサイン・ボルトでも世界一の速さとはいかないと思いますし、サッカーで求められるのは5mで一気に加速する速さだったり、ゆっくり走っているジョギング状態からトップスピードに入る瞬間的な速さだったりします。
 
 手数をかけた華やかなフェイントでDFを抜く選手もいますが、香川選手は、スピードの緩急、左右への単純な切り返しで、相手DFの間をすり抜けていくようなスラロームドリブルで見せ場を作ります。長友選手も90分間激しくピッチを駆け巡るスタミナに加えて、その爆発的なダッシュ力、一瞬のスピードで世界有数のサイドバックがひしめく欧州で輝いているのです。
 
 スピードに乗った状態でボールを受けた香川選手が細かいステップでスピードを緩め、ドリブルコースを微調整。バックステップで対応していたDFは、横をすり抜けていく香川選手を目で追うのが精一杯。
 さっきまで自陣深くでゆっくり走っていた長友選手が、カウンターのチャンスと見るや相手陣内に疾走、あっという間にシュートレンジまで迫っている。
 
 よく見るこんなシーンでも香川選手や長友選手は「見えない必殺技“アジリティ”」を駆使しているのです。
 
 スピードの緩急や急ストップ、さらに急発進や急ハンドルなどを組み合わせれば、体格に関係なく、相手DFを手玉に取ることができます。スルスルとゴール前に上がって決定的なシーンを演出する香川選手の“アジリティ”は欧州でも高く評価されていますし、DFとしての巡航走から一気にゴール前まで駆け上がる長友選手の爆発的なフリーランニングは、世界のトップクラスと言っていい大きな武器です。
 
 世界で戦う重要な必殺技になりうるアジリティ。このアジリティを高めるのに最適なのが、さまざまな神経が発達する「ゴールデン・エイジ」(飛躍的に運動能力が伸びるといわれる10歳から12歳)の時期です。
 そんなにすごいアジリティはどうすれば身につくの? という人は、サカイクの過去のトレーニング記事をぜひご覧ください。なかでも代表的なアジリティ・トレーニングとして知られるのがラダーを使ったステップ・トレーニング。ラダーと呼ばれるハシゴのようなマス目に足を置くことでステップやフットワークを身につけるこの練習が、神経を刺激して敏捷性を高めると言われています。
 
 いつも全力で走るのは気持ちの上では必要なことですが、サッカーに必要な“速さの質”を上げるためには、いつも何枚もギアを用意しておいて、相手の動きを見ながらギアチェンジをすることが大切です。スピードの緩め方、一気にトップスピードに入る加速法、踏ん張らずに急ストップをかける身体の使い方などを早くから身体に覚え込ませれば“地味だけど効く必殺技”アジリティを高めることができるはずです。
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹  写真/サカイク編集部(ダノンネーションズカップ2012より)

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