コンフェデレーションズカップ2013も、残るは準決勝ブラジル対ウルグアイ、スペイン対イタリア、さらに決勝と3位決定戦でフィナーレを迎えます。
今回はグループリーグの試合に見られた華麗なテクニックを分析!ワールドクラスの選手たちが繰り広げるプレーから、サッカーがうまくなるコツを盗んでみましょう。
■今大会No.1の注目選手、ネイマール(ブラジル代表)
【ボレーシュート】
日本戦のキックオフ直後、前半3分に見せたネイマールのボレーシュートは僕たち日本人としては非常に悔しい失点でしたが、今にして思えば、開催国のブラジルを熱狂させる素晴らしい大会のキックオフになりました。
まずは左サイドのマルセロがクロス。このボールが自分の頭を越えるとわかったネイマールは、素早く反転し、次のボールに反応するための体勢を作ります。そしてフレッジが胸で落としたボールを、余裕を持ってボレーシュートへ。
少し高めに浮いたボールを上から下へ打ち下ろすためには、ネイマールのように体を斜めに倒しながら足を振るのがポイントです。ダウンスイングでボールを斬るように蹴られたボレーシュートは、川島永嗣が守るゴールの隅に突き刺さりました。
【背面への胸トラップ】
メキシコ戦の前半23分、右サイドから蹴られた浮き球パスに対して、ネイマールが面白いトラップを見せました。
もともと浮き球を使うのが得意なネイマール。この場面はボールに対して寄って行き、胸トラップで足元に収めると見せかけて、胸を引きながら自分の後ろ側へボールを流し、食いついたメキシコのDFをかわしました。その後の左足のシュートは枠を外れましたが、グラウンドの足技だけでなく、浮き球に対してもさまざまな駆け引きができるネイマールの巧さが表れたシーンでした。
【足裏ダブルタッチ股抜き】
メキシコ戦の後半アディショナルタイム、パウリーニョが中央をドリブルで進み、左サイドのネイマールへパス。メキシコは右サイドバックのミエル、センターバックのハビエル・ロドリゲスが2人で守備を行いました。
まず、ネイマールは足の裏でボールを左へ転がし、そこからグッと前へ踏み込んで「行くぞ」という陽動のフェイントを仕掛けます。ここで、ハビエル・ロドリゲスとミエルの間に、わずかなすき間が生まれているのをネイマールは見逃しませんでした。
もう一度、足の裏でボールを左へ転がし、素早く左インサイドのダブルタッチでミエルの股へボールを通し、自分は相手2人の間を通り抜けます。2人を一気に抜き去ったネイマールは中央へパスを送り、ジョーのゴールをアシストしました。
一見すると1対2でネイマールが数的不利な状況に見えます。しかし、ディフェンス側の落とし穴は、ついついもう一人の味方に頼ってしまいがちになること。試合も終盤ということもあり、疲れていたのか、ハビエル・ロドリゲスは明らかに動きが緩慢で、しっかりとミエルの背後へのカバーが出来ていませんでした。その隙を見逃さなかったのも、さすがはネイマールと言えるでしょう。
■強さだけでなく巧みなプレーで相手を魅了、バロテッリ(イタリア代表)
【しゃちほこパス】
強さと柔らかさを組み合わせた理想のフィジカルを備えたスーパーストライカー、バロテッリ。メキシコ戦のゴールも素晴らしかったですが、それ以上に圧巻だったのはブラジル戦の後半6分に見せたアシストです。
GKブッフォンからのロングパスを、体を半身にしながら左肩のほうでブラジルのセンターバック、ダンチを押さえ込み、右足のアウトサイドを高く上げて背後のスペースへ走り込むジャッケリーニへワンタッチでパスを流します。これをジャッケリーニが見事に沈めてイタリアは1点を返しました。
普通のFWなら、ダンチを押さえながらトラップを成功させるだけで充分に合格点ですが、バロテッリはダンチを押さえ込みつつ、アクロバティックな足の動きからアシストを成功させました。まさに圧巻のプレーでした。
明日は日本代表の香川真司選手と岡崎慎司、スペイン代表のジョルディ・アルバ選手をお伝えします。
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取材・文/清水英斗 写真/新井賢一(コンフェデレーションズカップ2013より)