コンフェデレーションズカップ2013、準決勝のブラジル対ウルグアイは2-1でブラジルが勝ちました。もう一方の準決勝、スペイン対イタリアはどちらが 勝つのでしょうか? 決勝はどのような対戦に……?
引き続き、コンフェデに出場した選手の華麗なテクニックを分析します。今回は日本代表から2人の選手、そしてスペインの超攻撃的サイドバックを取り上げました。彼らのプレーから、サッカーがうまくなるコツを盗んでみましょう。
■香川真司(日本代表)
【回転ボレーシュート】
イタリア戦の前半33分、セットプレーの流れからゴール前に上がったボールを、香川真司は見事な左足のボレーシュートでイタリアのゴールネットを揺らしました。
フラフラっと上がったボールを、キエッリーニが突っ込んでクリアしようとして処理を誤り、バウンドしたボールに素早く反応したのが香川でした。体をクルッと回転させ、そのままボールを巻き込むようにシュート。体のバランスを保つのが難しいプレーですが、香川はそれを難なくやってのけ、イタリアのDFに寄せる暇を与えませんでした。まさしくスーパーゴールと言えるでしょう。
■岡崎慎司(日本代表)
イタリア戦で見せたルーレット、メキシコ戦で見せた股抜き。今大会の岡崎慎司は積極的な仕掛けを見せる場面が目立ちました。
厳密に言えば、あまり良い状況判断とは言えません。イタリア戦のルーレットはハーフウェーライン付近で、普通にパスをさばくだけで良いシーン。わざわざルーレットをする必要はありません。メキシコ戦に至っては、自陣の深い位置からの股抜きの仕掛けです。成功したから良いようなものの、失敗したらピンチを招いた可能性もあります。
しかし、岡崎は大会後に次のように語りました。「今までのようなサイドの選手の感覚から、FWの感覚になった」と。
本物のストライカーには、たとえ決定的なシュートを外したとしても、「俺が打って外したんだからしょうがないだろ!」と言い切れるくらいの自信と豪胆さ、そしてそれが許されるチームメートからの信頼が必要です。それくらいでなければ、大きなプレッシャーのかかるゴール前の場面で、冷静にシュートを打つことができません。
岡崎の状況判断は、一般的なセオリーで言えば間違いであり、褒められたものではありません。しかし、彼自身の感覚として、「ストライカーである自分が勝負して打開していく」という決意が芽生えているとしたら、岡崎はむしろワールドクラスの選手になるために、一皮むけたと言えるかもしれません。
シュトゥットガルトからマインツへの移籍が発表された岡崎選手。来シーズンの活躍が非常に楽しみになりました。
■ジョルディ・アルバ(スペイン代表)
【回転キックフェイント】
スペインは個々が非常に技術が高く、「これ」というテクニックを取り出すのが難しいところ。ここではナイジェリア戦でジョルディ・アルバが見せた、演技力に長けたキックフェイントを取り上げたいと思います。
後半43分、自陣からのビジャの素早いリスタートに反応して飛び出したのが、ジョルディ・アルバでした。選手が全員スペイン陣内へ攻め込んでいたナイジェリアは、サッカーのルール上、ハーフウェイラインがオフサイドラインになっており、単独で飛び出したジョルディ・アルバに独走を許します。
そしてGKとの1対1へ。左利きのジョルディ・アルバは、体を開き(体を左回転させ)、ボールを左インサイドで左側へ蹴るような体勢を取ります。しかし、そこから左足で右方向へ切り返し、キックフェイントに引っかかったGKを置き去りにして無人のゴールへボールを流し込みました。
ここでのポイントは、足先の動きだけでなく、体の向きも使ってフェイントを仕掛けたこと。1対1の時間に余裕があってこそのプレーでしたが、ジョルディ・アルバはシュートシーンだけでなく、さまざまな局面でこのようなフェイントを使っています。
すべてのプレーに言えることですが、大切なのは、「なぜそのプレーが成功しているのか?」と自分なりに分析すること。そして、そのポイントを自分の中に取り込み、試合の中で生かせるようにイメージを作ってみてください。何度も挑戦してみましょう!
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取材・文/清水英斗 写真/松岡健三郎(コンフェデレーションズカップ2013より)