もっと足が速くなりたい! プレーのキレをアップしたい! サッカー選手にとって、『スピード』は永遠のテーマでもあります。その悩みを解決するのが、サカイクでもおなじみ『タニラダー』。現在はJリーグのいくつものクラブが取り入れていて、プロ選手たちのスピードアップに一役買っています。
ヴァンフォーレ甲府のフィジカル・コンディショニングコーチであり『タニラダー』の開発者である谷真一郎さんは、「子どもの時に正しい身体の動かし方を覚えておくと、成長していくにつれて、選手としての伸びしろが変わります」と言葉に力を込めます。ボールコントロールなどの技術が身につきやすいのは、ゴールデンエイジと呼ばれる9~12歳頃。身体の動かし方も同様に、小学生のうちに正しく身につけておけば、選手として伸びるための土台を作ることになるのです。
今回は谷さんに『タニラダー』を使い、小学生に指導してもらいました。選手は体つきも身長もバラバラです。しかし、ラダートレーニングは個にフォーカスするものなので、全員が一緒にトレーニングをすることができます。
■ラダーを使ってドリブルのスピードをアップ!!
谷さんが子どもたちを集めて、トレーニングの内容を説明します。「今日はみんなのスピードをアップするトレーニングをするよ。まずはドリブルをやってみよう」。そう言うと、選手たちはフットサルコートの両端にボールを持って並び始めました。ピッチの中間地点にコーチが2人いて、ドリブルでかわして進んでいく練習です。
選手たちの動きをチェックした谷さんは、子どもたちを集合させました。「ドリブルをするとき、足のどこでボールを触るとコントロールしやすいかな?」子どもたちの顔を見渡し、こう言います。「それは足の中指と薬指のあたりです」。元日本代表のストライカーでもある谷さんによると、「足の中心より外側でボールを押し出すことにより、繊細なボールタッチが可能になり、瞬時の方向転換にも対応することができるようになる」とのこと。
「メッシのドリブルを思い出してごらん? 足の外側でボールを押し出すように進んでいるよね。その動きを、ラダーを使ってマスターしよう」。谷さんはそう言うと、『タニラダー』を地面に並べ始めました。
そして、ステップの踏み方を説明します。「ドリブルの要領で足を少し斜めにして、マスの間に足をついて一マスずつ進んでいこう」。選手たちは谷さんのアドバイスどおり、ラダーに取り組んでいきます。「顔は下げないように。足元を見るのではなくて、ドリブルをするときのように顔を上げよう」。谷さんのアドバイスが飛びます。
最初はラダーのマスを飛ばしてしまったり、足の踏み変えがうまくいかない選手たちも、「つま先を身体の内側に向けて」というアドバイスどおりにすると、スムーズかつ素早くラダーを進んでいくことができました。
取材・文/鈴木智之 写真/新井賢一 (第37回全日本少年サッカー大会決勝大会より)、サカイク編集部